ひぐらし農園のその日暮らし

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学校給食の有機化にPGSは有効ではないか?

2021-09-06 12:16:00 | 独り言
喜多方市は、熱塩加納町で実践されている町内の有機食材や安心の調味料をふんだんに使った米飯給食を全市に広げることを市長公約としていますが、現時点では有機・慣行に関わらず、市内産の農産物の使用率を上げることに注力しています。

その結果重量割合では市産は40%強、金額割合で33%となりました。これは福島県内でも高いとのことで評価できます。それはJAの給食野菜部会の供給力アップの努力によるところが大きい。

先日「きたかた学校給食を考える会」のメンバーで、喜多方市内のJA学校給食野菜部会長さんのほ場を見学しました。(その詳細レポートはこちらです。)そこで強く感じたのは、有機農産物を望む声が保護者や有機農業関係者から大きくなったとしても、そもそも一日3000人以上の食材を賄う供給力は、現時点での市内有機農業者だけでは難しいこと。そして中心を担っている学校給食部会は、有機栽培は価格面や安定供給力に懐疑的ということです。

突破口としては、まずは千葉県いすみ市のように、喜多方市でも実践者が多い有機米を給食に使用することです。これは上が決断すればすぐに実現可能かと思います。

問題は野菜です。すでに納入実績のある既存の慣行農家さんの日頃の努力の上に、さらに栽培が難しく手間のかかる有機栽培への転換を促すのは容易でありません。
また有機食材使用と公言するには、有機JAS認証を取っている必要があるのではないかという指摘もあります。となるとさらに慣行農家の協力は得にくくなるかもしれません。既存の生産者・協力者を無視して話を進めても、決してうまくはいきません。

現在日本で有機農産物と表示するには、有機JAS法に則った認証を第三者機関から取る必要があります。これは特に少量多品目を栽培する農家にとっては時間や費用面で大きな負担となっており、実際に有機JAS 認証を取っている有機農家は、全有機農家の半分程度です。

そこで提案があります。それはIFOAM(国際有機農業運動連盟)も最近推奨しているPGS(Participatory Guarantee Systems ・参加型保証システム)という方法を取り入れてみたらどうかということです。

PGS は、IFOAM(国際有機農業運動連盟)において、以下のとおり定義しています。
「PGSは地域に焦点を当てた品質保証システムである。それは、信頼、社会的なネットワーク、知識の交換の 基盤の上に、関係者の積極的な参加活動に基づいて、生産者を認証する。」 具体的には、第三者認証より価格を抑え、資料作成の手間を抑制するため、生産者や消費者が参画し取組水準の決定や生産の確認等も実施するというものです。

この仕組みを参考に喜多方市と農家、そしてPTAなど保護者の代表が構成員となって、相互が納得する栽培方法を模索していくのです。保護者は市内農家にいきなり厳格な有機栽培を求めるには難しい状況を理解し、農家は保護者の求めるより安心できる食材生産に段階を踏みながら挑戦して要望に答え、完全有機化に向かう工程を双方合意の上で決めていく。

実は日本にはまだPGSを実践している団体は一つだけ(岩手県・オーガニック雫石)といわれています。ボク自身もPGSについてはまだしっかり理解していない状況ですが、いずれにせよ、市が掲げた熱塩加納型の給食に、生産者の理解と協力を得ながら達成するには、この方法が新たな突破口になるかもしれないと思います。

先日福島農民連主催の学習会で印鑰 智哉氏のアグロエコロジーをテーマにした講演を拝聴しました。ここでも印鑰氏は学校給食の有機化の重要性とその手法としてPGSの導入を推奨していました。

上堰通信62号

2021-09-06 05:50:00 | 今日の早稲谷
上堰通信62号を発行しました。

 相変わらずの新型コロナの禍中ですが、上堰の棚田は無事出穂を迎えました。二年連続で首都圏からのボランティアの受入れを断腸の思いで中止しましたが、今年は県内の方5名の受入れは行いました。先の冬は積雪はほぼ例年並みでしたが、堰の傷みはさほどでもなく、事前に数回にわたって組合員で作業をしていたこともあり、少人数でしたが何とか予定通りに水を流すことができました。

 代かき、田植え後の天候も比較的安定しており、5月末には梅雨のような日が続いたこともありましたが、その後天気は持ち直し、特に例年よりも早い梅雨明け(7月16日)後は35℃を超える猛暑日が数日続いたこともあり、長雨で発生しやすいいもち病の発生も見られません。このまま秋の長雨や台風などの襲来がなければ、豊作の年になりそうです。

 昨年は獣害にも大変苦しめられましたが、今年はイノシシ、サルとも数が減少したように感じます。やはり雪が動物たちの越冬をかなり阻んだのではないでしょうか。上堰の田んぼはほぼ全て電柵が張られていますので、このまま上手く獣害も避けられたと思います。雪国においては降るときちゃんと降ってもらうことが重要で最大の防御だとあらためて感じています。

 さてこのコロナ禍で飲食店の休業要請が続き、お米も野菜も値段が低迷しているそうです。特にお米は6月末時点で民間在庫量が220万〜250万トンと推定されており、200万トンを超えると価格は大幅に下落することが過去の経験から明かなので、令和3年度産米の価格も下落することが予想されるそうです。もしかすると平成26年の時のように一俵1万円程度という超低価格になってしまうかもしれません。そこに輪をかけて豊作だったら…。お米の需要と供給のバランスが崩れて久しい中、豊作だけど笑顔になれないという事態は繰り返されてきました。

 国はその対策として主食米から飼料米に転換するように促しています。これは特別な作り方をするのではなく、目的を飼料用に変更して主食米の市場流通量を抑え、農家の一俵当たりの価格は下がりますが、奨励金を上乗せすることで面積あたりの農家の収入は維持するという方法です。

 いずれにせよ生産コストの高い棚田地域にとっては、米価の下落は非常に厳しいものです。守る会としては「上堰米」拡販による収益向上を、皆さんの応援を得ながら地道に続けていきたいと思います。