ひぐらし農園のその日暮らし

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東和での講座に参加その2

2011-09-19 15:27:00 | 放射能の話
続いて新潟大学・野中昌法先生が登壇。土壌学が専門。

・ふくしまは史上最大の公害の被害者である。
・不安を可視化して生産者と消費者が情報を共有する。
・モニタリングと情報公開の大切さ
・今回の事故を通して自信と確信を持って有機農業を進める
⇒哲学としての有機農業
⇒問われているのは「人」としての生き方」「農業のあり方」「食のあり方」
⇒有機農業により養われた「創造あふれる人たち」「生物が多様な土壌、生態系」「様々な人が繋がる地域」「多様な能力を持った作物」は日本農業を救う。

ん~、土壌学の先生の話っぽくないけど、こういう話は共感できて大好きです。

で、肝心の(?)土壌と放射能の話。
・土壌肥沃性が高いほど放射能の作物への移行係数は低くなる。=作物に移行しにくい。
・土壌の粘土含量、有機物含量が低いとセシウムは固定されず、移行係数は高くなる。
・除染だけでなく、農地土壌の肥沃性を高めることも必要。
・土壌中から稲への吸収は潅水状態で高くなる。稲ワラに吸収されたセシウムの70~80%が蓄積。20%ほどが玄米に蓄積。
・玄米から精米にする時の米ぬかに60%程度含まれる。40%は白米に残る。

・新潟県南魚沼市の水田土壌から400ベクレル検出。
・夏に再調査したら上昇していた。7月の洪水で田に流れ込んだか。
・同阿賀市でも200ベクレル検出
・1960年代の核実験により日本でもバックグラウンドとしてセシウム137が30~50ベクレル程度事故前から存在していた。


・今回は、今後の日本農業のあるべき姿と食のあり方を国民が考えるチャンス。
・「医食同源」「食農同源」
・工業化農業とグローバルな食のあり方を反省してローカルから「農」と「食」を発信する時が来た。
・福島から日本の農業のあり方を変えることができると確信している。

もちろんこれが講演の全ての内容ではありませんが、福島で有機農業を続けていくために、とてもよい話が聞けました。

東和での講座に参加その1

2011-09-19 06:02:00 | 放射能の話
土曜日は二本松市東和町、翌日は福島市と農作業そっちのけで行ったりきたり。でも実りある週末でした。

東和で行われた第1回ふくしま有機ネット講座に参加してきました。備忘録を兼ねてここに講座の内容を記しておきます。結構専門的で判らなかったことも多いのですが・・・。

木村園子ドロテアさん(東京農工大 大学院農学府准教授)
「チェルノブイリからみる循環系に及ぼす放射性物質の影響」

・セシウムの挙動⇒下方浸透速度は年間1センチ以下。チェルノブイリ事故から7年後表土0~10センチ以内に78~99%
・作土ではセシウムの半減期は早い。18~25年。
・セシウムは固定されやすいので動きにくい。ストロンチウムは水に抽出可能であるため動きやすい。
・ドイツバイエルン地方における作物のセシウム137濃度は事故後1~2年は高い値が存在するが4年以降は落ち着く。
・同森林土壌では20年ほどで減少に。つまり減少が遅い。
・同キノコは20年たっても高いまま。
.同野生動物も高いまま。

日本の場合
・土壌のカリ含有率が高いほどセシウム吸収率は減少。粘土質土壌の方が砂質土壌より吸収(移行)が少ない。
・日本の土壌のバックグラウンド値は280ベクレル/㎏(主にカリウム40)
・植物のカリウム含有率はセシウム吸収の指標。(レタス、ほうれん草、白菜、キュウリ、トマトなどが高い)


・植物によるセシウム除去(ファイトレメディエーション)の効果は小さい。長期的取り組みが必要。
・吸収効率の高いもの。アブラナ目、ナス目、キク目、ナデシコ目
・土壌の有機物含有量と植物への吸収量には関係はない。しかし腐植が多いほど交換性セシウムの割合が増加する危険。その一方バランスのとれた養分状態(マグネシウム、カリ、カルシウムのバランス・量)により、有機物の施用による吸収の低下報告もある。
・窒素(アンモニア系)施肥は削減すること。
・堆肥の施用はセシウム吸収削減に効果がある。