ひぐらし農園のその日暮らし

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有機農家の叫び

2011-12-30 21:30:00 | 農の話
ボクも関わっている福島県有機農業ネットワークからの転送です。福島の農家(特に中通り地区)が直面している問題は本当に深刻です。皆さんにこの窮状をご理解頂き、買い支えるという行動と同時に、この状況を多くの方にお伝え頂きたくご協力・ご支援をぜひお願いします。お問い合わせはひぐらし農園 higurasifarmあっとまーくyahoo.co.jp、あるいは下記にある福島県有機農業ネットワーク事務局にお願いします。

(以下転送文)
年の瀬にあたり、ふくしま有機ネットからの訴え
~有機農業者・減農薬生産者のコメの支援をお願いします~


3・11大震災・原発事故に揺れた2011年の年末にあたり、この1年の温かいご支援、ご協力に心から感謝を申し上げます。

年の瀬のこのときに、伊達市(霊山町)のイチゴ農家、二本松市(東和町)のりんご農家が自ら命を絶ちました。もうこれ以上農民から犠牲者を出さないでください。福島県の米は農協の倉庫に業者の倉庫にそして農家の納屋に生き場をなくして年を越す状況にあります。

とくに消費者との産直で取り組んできた有機米、減農薬米の生産者の「これでは年を越せない」との悲痛な声に耳をかたむけてください。

すでに報道されているように、検査の結果100ベクレル以下は95%(不検出は85%)であり、基準値を超えたのは0・3%です。もちろん検査し、不検出の米のみの支援をお願いするものです。出荷停止となっている伊達市小国地区などの地域は特異な例であり、それをもってすべての福島県産米が否定されることは悲しくてなりません。セシウムの米への移行が極力少ないことが検証され、来年の米づくりに光りが見えてきているこのときに、この希望の芽に心を寄せて下さい。

責任は東電にあり、農民を責めることができるでしょうか。

原発のない新しい時代を創るために今こそ、都市と農村の新しい関係を構築していくこと、私たち農民も農の営みを続けて、さらに安全安心なふくしまを再生していくことを約束して、緊急に米のご支援を訴えさせていただきます。

2011年12月30日

NPO法人福島県有機農業ネットワーク 理事長  菅野正寿

※支援を求めている農家は多数あり、販路を求めている米は数十トンにのぼります。詳しいお問合せ・連絡はふくしま有機ネット事務局(齊藤登 yuukiあっとまーくfarm-n.jp TEL0243-24-1795【二本松農園事務所を兼ねる】)までお願いします。

しめ縄つくり

2011-12-27 05:44:00 | 地元学
冬勤めている造り酒屋では新年を迎えるためにしめ縄作りが始まりました。造り酒屋では昔からしめ縄は杜氏さん(越後杜氏)が作っていたそうですが、杜氏が引退した大和川では蔵で一番ベテランの蔵人さんが毎年作っています。
まずは稲わらを横槌と呼ばれる木製の丸太に取っ手のついたもので叩いてわらを柔らかくします。
縄をなう。なう。なうときにより方が普通の向きと逆。しめ縄は全てそうするようです。
細長いしめ縄は蔵の入り口に飾るためのもの。大和川の場合はこのようなものを7本作る。ちなみに神棚に飾る太いしめ縄は今でも引退した杜氏が蔵に来たときに持ってきてくれます。
細かい部分を整える。わらの垂れている部分を〆のコと呼ぶそうですが、作っているご本人はなんて呼ぶかわからんとのことでした。これは全て7本のわらを一定感覚にしめ縄に編みこんでいます。なお越後杜氏が作っていた時は〆のコを3本、5本、7本と順次数を変えていたそうです。
完成すればこうしてまとめて正月前に飾りつけ。なお〆のコの間に入れる紙垂(会津弁ではシデ)はまだ挟み込まれていません。紙垂はお払いを受けたものを使うそうです。

山都から旅立った人たち

2011-12-24 12:14:00 | その日暮らし
先日、Iターン仲間で神戸に移住する家族があって忘年会を兼ねた送迎会を行いました。
山都町は田舎暮らし希望者が多く、毎年出入りが激しいのですが、彼は10年間山都に住み、農業を続けていました。共同で出荷もしていましたから、ひぐらし農園としても大きな仲間を失ったことになります。

今年はIターン歴の長い方の山都町離脱が目立ちました。これで4組目になります。この夏にはやはり親しくしていたお豆腐やさんやお蕎麦やさんが九州、北海道へと移りました。(誰一人実家に帰ったわけでないところが面白いですね。)移住の理由はそれぞれでしょうが、きっかけはやはり原発事故の影響です。みな山都・会津が大好きなことは変わりありません。しかし放射能に対する受け止め方の差異でそれぞれ違う道を選択することとなったのです。

移った人たちは新しい環境で再び膨大なエネルギーを使って新生活を組み立てなければなりません。そして残った我々も仲間が行ってしまった寂しさを募らせるばかり。原発事故以降、私たちは一瞬たりとも安寧とした気持ちにはなっていません。先日政府の発表した収束宣言は、一体何が収束したというのでしょう。

皆さんの新天地でのご成功をお祈りしております。

米・食味分析鑑定コンクール結果

2011-12-16 05:14:00 | 今日の農園
今年も米・食味分析鑑定コンクールに出品していましたが、その結果が返ってきました。結果は83点。昨年と全く同じ数値でした。85点以上を取ると2次審査に進むのですから、今年も昨年同様一時審査で敗退・・・。ちなみに昨年は上堰で一番美味しいと言われている強粘土質の田んぼのお米を出したのですが、今年は締切日をすっかり忘れていて、ギリギリになってとりあえず籾摺りしてあった手近のお米を送ったという次第。この相も変らぬゆるさで83点はボクにとっては十分な高得点です。
今年の総出品数は約3000点。出品数は年々増えているそうです。美味しいお米を作ろうとがんばっている方が全国にはたくさんいます。そんな人たちの想いがこの分析資料集に垣間見ることができます。ま、中にはボクのような輩もいるかもしれませんが。


佐藤栄佐久氏講演会とスラヴィティチ基本原則

2011-12-10 05:30:00 | 放射能の話
7日に前福島知事である佐藤栄佐久氏を山都・茶房千にお招きして講演会が行われました。栄佐久氏は東電や政府の情報隠遁体質に抗しプルサーマルに反対するなど(そうした面ばかりではないかもしれませんが)「闘う」原子力発電所を抱える自治体の首長として、長く日本の原子力行政を見てきた人です。(彼曰くゆえに収賄容疑の冤罪で逮捕されたと。)講演の中で印象に残ったことを記します。


当然のことながら今回の福島第一原発の事故、そしてその後の対応について強い不満を感じていました。かつて参議院議員時代にチェルノブイリ事故後の現地へ視察に行った経験があるそうですが、そのとき感じたのがソ連という国の体質がこのような大事故を起こしたということだそうです。そして今、フクシマの事故も全く同じことが言える。つまり
「日本は民主国家だったはずなのにいつの間にか原子力帝国になってしまっていた。そんな国の体質が今回の事故を起こしたのだ」と。
「2001年省庁再編で、原子力保安院が科学技術庁から経済産業省の傘下になった時点でこの事故は予想できた。」

2006年フランス・ストラスブール欧州地方自治体会議がチェルノブイリ事故20年記念としてスラヴィティチ基本原則というものを採択したが、その会議に栄佐久氏は知事会代表として出席している。

スラヴィティチ基本原則
(1)各国政府の主たる役割
 原子力産業は複雑で危険な工程を伴うため、とくにエネルギー技術にまつわる重大問題への対処や原子力発電所の立地、安全については政府が本質的に責任を負う。政府は本分野における主たる責任を他に委任することはできない。

(2)地方・地域自治体の不可欠な役割
 地方・地域自治体は最前線に位置し、直接利害をもつ住民を最も身近に代表する機関であり、国との連携のもと住民参画を促し、住民を守ることにおいて、決定的な役割を果たす。

(3)地域住民の連帯
 原子力の安全は国の政治・行政上の制限によって縛られてはならない。国の縛りを越えて関係諸地域すべてをイコールパートナーとする真の地域住民との団結と越境的協力体制が必要である。

(4)透明性と情報
 広範で継続的な情報アクセスが確立されなければならない。国際機関、各国政府、原子力事業者、発電所長は、偽りのない詳細な情報を隣接地域とその周辺、国際社会に対して提供する義務を有する。この義務は平時においても緊急時においても変わることはない。

(5)関係者の関与と協議
 直接の関係者による関与・協議が必須である。国ごとの手続きに従い、国レベルでは重大な技術的選択、とくに原子力エネルギー選択について、地方レベルでは原発の立地と閉鎖、安全対策について、直接協議を含むあらゆる方法で行われなければならない。
(日経ビジネスの記事から拝借)

特に2条地方・地域自治体の不可欠な役割、4条透明性と情報について日本原子力政策の不備を指摘されていました。
そして再三「敵を間違えるな」と言及していました。
「原子力行政は国策であり全ての責任は国が負うべきである。原子力行政の中心は経済産業省である。原子力帝国とはすなわち経産省が牛耳る国なのだ。しかし経産省は責任者としていまだ全く姿を見せてない。」
「今は地方自治、民主主義という言葉全く出てこない」
「自分の頭で考え、自分で判断する」時代。

講演は3時間ほど続きました。栄佐久氏の長い県知事生活の中での正確な記憶に驚かされると同時に、いわゆる政治家という要素の一面を彼に強く感じました。彼自身県政で果たしてきたことに強い自負をもっていて、日頃接することのない行政の裏話を聞くこともでき、政治とは何かあらためて考えさせられました。我々のような少人数の勉強会に快く参加してくれたことを感謝したいと思います。