「福島県有機農業推進計画(第3期)(案)」のパブコメを福島県が3月13日まで受け付けています。
https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/36021d/yuki-keikaku-3.html?fbclid=IwAR0ML_CBaISmkYuGaXJyxPdwBbkIIqXPvZoitn-jppN-YHcKdlCT1DtGyb8
3月1日にオンラインにて推進計画の内容についてふくしま有機ネット会員
同士で意見交換しました。アーカイブがありますので、興味のある方はご連絡ください。 また是非パブコメを県に送ってほしいと思います。
今回の推進計画は、「みどりの食料システム戦略」後に出されることもあり、個人的には期待していたのですが、はっきり言って 全く残念な内容といえます。
まず総論として
第二期の総括が全くされていません。総括しているのかもしれませんが、少なくともネット上では公表されていません。
また全体を通して、有機農業の環境や社会に対する先進性についての理解が不足しているため、従来の慣行農法の手法やマーケティング、ブランディングをそのまま有機という言葉に置きかえただけの内容となっており、全く魅力のない推進計画となっていると思います。
さらに立案担当が環境保全農業課単独となっているために、従来の縦割り行政の域を超えていません。結果、有機農業推進に大きな効果が期待できる学校給食等の言及がありません。
ぜひこちらにも目を通してください。農水省の方がはるかに有機農業の現状と歴史的流れを把握したうえで、本気で有機農業を推進しようという気概が感じられます、
農水省「有機農業の推進に関する基本的な方針」(令和2年4月)
https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/yuuki/attach/pdf/sesaku-11.pdf
各論としては、
(1)有機農業に位置づけ
有機JAS認証面積に固執しており、未認証有機農家などに関する供述がない。(視野に入っていない)
これに対して、国は「地域の実情や農業者その他の関係者の意向に配慮し、各種取組みが画一的に推進されることのないよう留意することが重要であることから(中略)幅広く施策の対象とし、必要な支援に努めることとする」とある。(「有機農業の推進に関する基本的な方針」第3有機農業に推進に関する施策に関する事項 1施策の考え方)また国は環境保全型農業直接支払交付金に対して、有機農業を有機JASに限定していない。
重点方針Ⅱ「消費者や実需者ニーズに対応した生産力強化」
ニーズに対応とあるが、国は「地域の実情や農業者その他の関係者の意向への配慮がないままに、これらの者に対し、、有機農業により生産される農産物の生産、流通又は販売にかかる各種取組みが画一的に推進されることの内容に留意する」とある。
既存有機農業者に対するリスペクトが県は国よりも欠けているし、有機農業の現状に対して理解が不足している。
5.有機農業の推進に関する施策の展開方法
重点方針Ⅰ「ふくしまの有機農業を担う人材確保・育成強化」
新規就農希望者のための施策に偏っていて、転換者に対する視点が欠落している。
認定新規就農者制度などは、撤退した時の返還金などの問題があり、お勧めできないとしている県(埼玉県)がある。また失敗しないように就農希望者の意に沿わない営農計画になる傾向がある。
農業大学校にはHPを見ても有機コースは見当たらない
有機JAS認証取得にこだわりすぎており、未認証有機の促進などについての視点が欠落している。国は「農業者が有機JAS認証を取得するかしないかについては、農業者の販売戦略や経営判断によるものであることを前提としつつ」とある。(同第3有機農業の推進に関する施策に関する事項1施策の考え方)
JAS,GAP推奨による経営強化はそもそも議論のすり替えであり、取得には膨大な書類作成が必要でモノカルチャー(単作化)につながりかねない。
第三者認証GAP等の導入支援の項で「本県独自のFGAPなど第三者認証GAP等」とあるが、福島県が定めたFGAPを県が推奨することは第三者認証とはいえない。
重点方針Ⅱ「消費者や実需者ニーズに対応した生産力強化」
非常に短期的な視点になっており、策定の趣旨などで触れられている地球環境保全などの視点が全く見られない。
小さな農家、小さな消費者(地産地消)などの視点が欠けている。
スマート農業のコスパをもっと慎重に検討すべき
生物多様性などの言及がなく、震災前の資源循環利用からの発展が見られない。
重点方針Ⅲ「消費者や実需者ニーズに対応した販路の確保」
まずは県内でも十分需要を喚起することが可能であり、まずは学校給食の有機化などを行い、販路の安定を確保したうえで、県外販路開拓へ向かうべきである、
従来の取組みの域から出ておらず,真新しさや覚悟が見られない。学校の有機化という目標を入れるべき
重点方針Ⅳ「有機農業推進体制の強化」
技術指導体制強化とあるが、そもそも有機農業技術は篤農家が先行しており、まずは県職員が技術指導を仰ぎ、あるいはその内容をほかの有機農家に伝える役割を担うべき
6.有機農業推進に関する地方の展開方向
(2)目標とする増加率が国よりもはるかに低い。令和12年の目標は500ヘクタールを目指すべき
(3)環境直接支払の有機栽培面積が他県よりも断然低く、せっかくの有機JAS認証ほ場をすべて拾い上げていない。各市町村特に未実施の自治体に早急に指導すべき。