ひぐらし農園のその日暮らし

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加工品販売の難しさ

2013-10-27 21:10:00 | 農の話
ひぐらし農園では、様々な原材料を業者に持ち込んで、いろんな加工品を作ってもらっています。例えば鶏肉ソーセージ、納豆、乾麺。販売はしていませんが醤油麹、豆腐などなど。

ひぐらし農園の製品で起きたことではありませんが、今回、同じように加工品を委託している有機農業の仲間にとてもおおきな問題が降りかかってしまいました。
自家大豆を持ち込んで委託加工してもらった納豆を販売したところ、小石のような異物が混入していたらしく、購入者が保健所に届け出たのです。ちなみにこの納豆屋さんはひぐらし農園もいつも委託加工をお願いし、とてもお世話になっているところです。

加工食品の異物混入はあってはならないことです。この部分については弁解の余地はなく、製造者・販売者とも責任を取らなくてはいけません。

ただ今回は、その問題がいきなり保健所マターになってしまったために、私たちの想像を超えた事態に発展してしまいました。

その状況は以下の通りです。

同じロットで製造された合計78個の納豆が販売されたのは3回。10月6日の百姓市収穫祭の時とその後会津若松で行われた直売市2回。それぞれ売れたのは百姓市21個、その他直売市6個の27個だったそうです。

その内会津若松で購入された1個に異物があった訳ですが、保健所の指導としては他にも異物混入の可能性がある以上、残りの納豆すべてを回収する必要があるということになるわけです。当然その責任は販売者にあります。しかし市(いち)という場で不特定多数の方に販売しているので、回収するには多くの方が目にするであろう新聞などのメディアを使って明示する必要があるというのが保健所のスタンスでした。

販売された数はわずか27個です。不特定多数の人が集う市とはいえ、定期的に開催され固定客も多いので、記憶を丹念にたどっていけば誰が買ったか判るかもしれないと友人は考え、保健所の担当者にもそう伝えてメディアへの明示は少し待ってほしいと訴えたそうです。が、もちろん聞き入れられず、保健所はメディアに一連の事象を発表し、翌朝当然のことながら記事となり、テレビニュースでも放送されました。

記事になる前夜、百姓市では出展者が集まって10月6日収穫祭の時に誰が客として来てくれていたか、うち誰が問題の納豆を買ってくれたかの記憶を絞りだし、電話して購入したか、その数は? すでに消費してしまったかを調査しました。その結果、我々自身も驚いたのですが、百姓市で販売された21個全ての購入者とその数が判明したのです。

つまり保健所が懸念した追跡調査は、私たちのネットワークで幸いなことに見事クリアしたこととなったのです。これは災い転じてではありませんが、ちょっとうれしいことです。
相川百姓市は、できれば私たちが住む地域に外から人が来てもらえる場所、来たくなる場所を創ることを第一の目的としています。そして来てくれた人たちと生産者自らがコミュニケーションと取り、繋がっていく。そのためにはそれなりの仕掛けを用意してきたのですが、今回のトラブルを通して、その成果が着実に広がりつつあることが明確になりました。(意地悪な見方をすれば、客の数がまだまだ少ないということでもありますが)

そして今回感じたことは表題にもあったように、加工品を売ることの怖さでした。加工食品を扱っている人たちからすれば当たりまえのことかもしれませんが。
紙面に「相川百姓市」という文字が掲載され、心配された方も多いかもしれませんが、問題は無事に終息しそうですので、ここで改めてお知らせ致します。


百姓市収穫祭

2013-10-07 18:39:00 | 今日の農園
10月6日に行われた百姓市収穫祭。天気にも恵まれ、実にたくさんの方が来てくれました。ありがとうございました。一時期百姓市前の道路が路上駐車の車であふれるほど。お振舞いのカレーもあっという間になくなりました。これだけの人が来てくれるということは、大きな可能性を秘めているということですね。来年もみんなで盛り上がっていきましょう。




上堰だより第42号

2013-10-05 06:22:00 | 農の話
上堰たより第42号が完成しました。
一枚目

二枚目

ぼくが担当した文章(一枚目)は下記を参照ください。

上堰の田んぼでは今、まさに稲刈りがピークを迎えています。今年も無事収穫の時期を迎えることができました。ただ長梅雨の影響か、例年よりも稲の背丈は長く伸び、そこに加えて8月の好天で実入りも良かったため、穂の重さに耐えきれず倒伏している稲が多いようです。さらに9月に入ってからは雨天の日が続いたせいで田んぼの乾きが悪く、稲刈りにやや苦労しています。
とはいえ上堰周辺では豪雨や干ばつのような極端な気象がありませんでしたから、総合的に見れば今年の稲つくりは天候に恵まれたと言えるでしょう。もっとも大きな災害は7月18日山形県に甚大な被害をもたらした豪雨で、上堰からほど近い山形県境を源とする一ノ戸川上流部、つまり「いいでのゆ」の上流で河川氾濫による道路崩落(しかも6~7か所)などがあったことでしょうか。しかし私たちの地区にはそれほどの大きな影響はありませんでした。このときに上堰には土砂が流入した所がいくつかありましたが、半日の不時人足(災害復旧などで臨時に召集される共同作業)で処置できる程度のものでした。9月16日には台風18号が県内を縦断しましたものの、やや強い雨と風をもたらした程度でした。昨年は7月下旬から9月上旬にかけて猛烈な暑さと干ばつが続いたことを思えば、農家にとって今年の天候はここ数年でもっとも穏やかなものだったのではないでしょうか。
もちろん稲刈りが完了するにはもうしばらく時間がありますし、水を止めたからといって上堰に被害をもたらす災害がこれからも起きないとは言えません。最近の気象はそれほど極端で油断ができないものですから。また今年度米の放射能対策の結果、さらに福島県産米が世間からどう見られるか等の不安も消えたわけではないのです。実際にもう早場米が出回り始めているというのに、浜通り地方の相馬市や新地町の2012年度産米は売れ残り農協の倉庫にうずたかく積まれたままだと聞きました。市場の福島県産に対する態度は依然厳しいようです。会津産はそこまでではないと思いますが、同じ福島県民としてこの不条理な苦しみを対岸の火事として済ます訳にはいかないと思っています。
一方でうれしいニュースもあります。それは今年の春から募集していた「上堰米のお酒」、つまり上堰米を喜多方市の造り酒屋・大和川酒造に持ち込んでオリジナル純米酒にしてもらう新企画について、無事予定の100口の出資者が集まり成立の運びとなったことです。今までは皆さんには「堰浚い」で、そして上堰米を「食べて」堰を支えてもらってきましたが、今年からはさらに「飲んで」支えて頂くこととなります。この場を借りて御礼申し上げます。なお仕込みは11月になります。まだ口数を増やすことは可能ですので、追加あるいは今からでも参加したくなったという方は、お早めに事務局へご連絡下さい。
もちろんこの取り組みで、福島の農家が直面している困難な状況が変わるわけではなく、極々小さなものであることは十分承知しています。しかし皆さんのような理解者・応援者が増えていて、活動も着実に広がっているという実績が未来につながるはずだと私たちは信じています。