ひぐらし農園のその日暮らし

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会津盆地にて

2016-08-01 08:11:00 | 独り言
すごいなぁ、途切れることなく続く田んぼ。日々の営みの積み重ねで守られてきたもの。
緑豊かとは言え、これは人の手によって作られた人工の自然美。そう田園風景は、世界の歴史遺産にも引けを取らない究極の人工造形品だと思うのです。

人工だから人でなければ守れない。人がいても、生業として成り立たなければ守れない。多くの理解者と協働者がいなければ守れない。

でも今の時代の流れは厳しい方に向かっています。過疎、米価低迷、食の多様化・中食化、TPP推進、そして何よりも農業や郷土文化、食そのものに対する軽視。
何百年にもわたり、数え切れないほどの人たちの手で作り上げられ積み重ねてきたこの美が、ほんの数十年の間に、しかもボクら自身の手で葬ってしまうなんて耐えられない。

ではどうしたら田園風景は守られるのか。

市場経済という荒波に飲み込まれそうなこの風景を、耕し続ける仕組みを守るには絶対に「集団」が必要です。
かつてはそれを村=地縁コミュニティが担いました。これが積み重なってできたのが郷土文化です。
村の再生が全国各地で取り組まれてきましたが、上手くいってません。それは時代を読まず、郷土文化を地縁だけで再生しようとしたから。

村が弱体化し再生が困難な今、それを補完する新たなコミュニティが必要になってきました。
それは地縁ではなく、目的やミッションが共通していることで集まったコミュニティ、テーマ型コミュニティです。

つまり日本の農業を、食を、田園風景や郷土文化を守りたいという意識をもった農村の外に住む人たちと、農村に住む人たちがつながって新たなコミュニティを創る。
CSA(コミュニティ・サポーテッド・アグリカルチャー)という言葉が最近広がり始めています。欧米が発祥で直訳すれば「地域が支える農業」、すなわち地元の消費者が生産者から直接農産物を買い支え、地域全体を守るというものです。

いま日本各地でもCSAを目指した活動が起きています。各地で発刊されている「○○たべる通信」も最終的にはCSAを目指しているそうです。
食べる通信そのものはテーマ型コミュニティでしょう。その着目点はとても良いと思います。

でもまだ何か足りない。それはたぶん地縁コミュニティとの融合だと思うのです。一人の生産者や農産物にクローズアップしても村は再生しません。そして田園風景を維持するのに必要な要素は一つではありません。ただ篤農家を見出し農産物を買い支えれば十分というわけではない。

だからテーマをもっとそれぞれの地域全体に落とし込んでいかなければならない。そういう点ではまだ食べる通信はカバーしている地域が大きすぎますし、取り上げるテーマも限定的です。
この時代で日本の宝、田園風景を守るために、必要なもの。

本当のCSAとはたぶん「地域が支える農業」ではなく、「テーマ型コミュニティ=ミッションを持った人が支える農業」だと思うのです。