ひぐらし農園のその日暮らし

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『明治維新150年を考える』を読んで

2019-02-19 19:24:00 | その日暮らし
『明治維新150年を考える』に収められている財政社会学者・井手英策さんの講演記録が面白い。
途中まで、そうそう!って思いながら読んでいて、最後の税制の見直し提案にへ〜!そんなこと考えたことなかったという感じ。

以下勝手に要約。

財政危機は30年周期でやってくる。1904年日露戦争、1930年昭和恐慌、1966年初の国債発行、1997年アジア通貨危機。次は東京五輪後?

「高橋財政」と言われた高橋是清以来、政府はインフレを抑えるための総額重視型予算で、国民のニーズに沿った予算配分をしていない。

そしてその中で行われるのは莫大な借金をして公共事業をやることを繰り返す。つまり経済成長を目的に借金をしてきた。

日本は貯金しなければ生きていけない社会。しかし1997年以降、貯金ができなくなっている。その結果日本人の9割は老後に不安。

将来の不安をなくすための借金なら、経済成長がなくても安心できるはず。

もはや経済成長が前提にならない時代。1995年に「財政危機宣言」が出されてから、無駄をなくす「袋叩きの政治」が続き、政治不信、人間不信が広がった。

成長依存型社会をどう変えていくか。
「あそこまで体を張って、日本の経済がもう成長できないことを証明してくれた安倍さんはすばらしい」と褒めてあげたいくらい。

日本社会はデータから見て、格差社会になり、親世代よりも貧乏になったことを認識しているのに、格差は大きすぎると思わないと思っている人が多い。自分は「中の下」と思っている割合が世界でもっとも高く、「下の上」と思っている割合が最も低い。

「勤労の義務」の呪縛から、自ら「下の上」=失敗者になりたくない。

自称「中の下」が低所得層と連帯すればマジョリティになれる。しかし現実は富裕層と組んでいる。
本当は自分は受益者なのに、負担者と思って、弱者を叩く。弱者がさらなる弱者を叩く構図。

日本は平等や自由、愛国心、人権という、人間がこのために血を流し、命をかけて勝ち取ってきた重要な価値観を、もはや分かち合おうとしない「分断社会」になろうとしている。

日本は世界的にも税の安い国の一つなのに重いと感じている。それは受益感が低いから。

これからは転換が必要。増税して、全員がサービスの受益者になる仕組み作りが必要。これが格差の是正になり、みんなが安心して暮らせる社会を作ることになる。

分断を解消し、「家族のように助け合う社会」
今のままなら、富裕層と中間層が連帯し、低所得層を置き去りにする。中間層と低所得層が連帯するモデルを作ろう。