hiroの花便り

我が家に咲く花や日々の暮らしを綴っていきたいと思います

「十二月八日」 太宰治 

2019-09-06 | 本・雑誌など

先週、映画「アルキメデスの大戦」を見たことがきっかけで、
太宰治の「十二月八日」を青空文庫で読んでみました。
これは、後に歴史の参考になるかもしれないからと、
太平洋戦争【昭和16年(1941年)12月8日】が始まった一日を、
妻の日記という形で書かれたもので、初出は『婦人公論』1942年2月号。
文字数は7000字ほどの短編小説なので、30分もかからずに読めます。

12月8日早朝、蒲団の中で、朝の仕度に気をせかせながら、
妻(太宰の妻らしい)は、園子(今年六月生れの女児)
に授乳させている時、近所のラジオから
太平洋戦争の開戦を知るが、たいして驚く様子もない。
隣室の主人に知らせるが、西太平洋がどこにあるかもわからない。
井戸端へ出て顔を洗い、おむつの洗濯に取り掛かっているとき、
お隣りの奥さんが出てきたので、「これからは大変ですわねえ。」
と話しかけても、先日から隣組長になった事かと思い、
まったく戦争のことを気にする様子もない。
普段の日常生活と変わらないこの緊迫感のなさは、戦時中の昭和18年に
「南の花嫁さん」がヒットしたことを知った時の驚きにも似ている。

本文より
台所で後かたづけをしながら、いろいろ考えた。目色、毛色が違うという事が、之程までに敵愾心を起させるものか。滅茶苦茶に、ぶん殴りたい。支那を相手の時とは、まるで気持がちがうのだ。本当に、此の親しい美しい日本の土を、けだものみたいに無神経なアメリカの兵隊どもが、のそのそ歩き廻るなど、考えただけでも、たまらない、此の神聖な土を、一歩でも踏んだら、お前たちの足が腐るでしょう。お前たちには、その資格が無いのです。日本の綺麗な兵隊さん、どうか、彼等を滅っちゃくちゃに、やっつけて下さい。これからは私たちの家庭も、いろいろ物が足りなくて、ひどく困る事もあるでしょうが、御心配は要りません。私たちは平気です。いやだなあ、という気持は、少しも起らない。こんな辛い時勢に生れて、などと悔やむ気がない。かえって、こういう世に生れて生甲斐をさえ感ぜられる。こういう世に生れて、よかった、と思う。ああ、誰かと、うんと戦争の話をしたい。やりましたわね、いよいよはじまったのねえ、なんて。

一番驚いたことは、当時の平凡な主婦がこんなこと↑を考えていたこと。
戦争を否定する気持ちはまったくない。

ラジオでは、朝から軍歌ばかり流されていたこと。
いままで髪を長く伸ばしていた学生が丸坊主になって徴兵の挨拶に来たり、
市場には品が乏しくなってきたこと。
烏賊やめざしの値段。
三円以上の買い物に二割の税が附くという事。
清酒の配給券九軒で一升券六枚しか無いので、六升を九分する事。など、
当時の生活の細々としたことが書かれていたが、
一番ほっとしたのは最後の、銭湯に行き、園子をお湯に入れる場面と
銭湯の帰りに夫に会い一緒に帰る場面。
幸せ感にあふれていますが、こんな幸せが続くのもそう長くなかったことでしょう。

青空文庫:十二月八日
https://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/253_20056.html

庭の花



満開に近い百日紅の花。
アップをするのを忘れているうちに散り、今はこの半分くらいしか咲いていません。
(2019.8.23撮影)



ピンクの大きな花を咲かせるアマクリナム
ヒガンバナ科の植物でアマリリス・ベラドンナとハマユウの交配種。
花言葉は「惑わされない心」だそうです。
育て始めて20年にもなりました。
(2019.8.27撮影)



シコンノボタンは2度目のアップ。
いちどきにたくさん咲くことはないのですが、
8月初めから、咲いては散り、咲いては散りを繰り返しています。
(2019.8.27撮影)


ウォーキング記録
9月04日(水)6285歩・40分 (室内・ウォーク&ジョグ)一日合計08610歩
9月05日(木)4555歩・35分 (住宅地内)卓球・90分 一日合計11610歩
コメント (8)
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