デンマーク・ハーフキッズ

デンマークについての情報やニュースを紹介、またデンマーク人と日本人のハーフの子供たちの子育て日記。

親としてのひたむきさ

2006-11-04 07:06:08 | 国際結婚
 昨日放映された番組「泣きながら生きて」を見られた方もいらっしゃると思いますが、これは約10年に及んで追い続けられたドキュメンタリーで、中国人の3人家族が3つの国に別れて住みます。お父さんは娘の学費のために東京で働き、お母さんは上海に残り働きながら娘を育て、その娘は医者になるという夢のために18歳のときにNYに留学します。両親は15年ほど離れて暮らした後(その間会ったのはたった一回だけでした)、今は上海で一緒にまた暮らしており、娘さんはもうすぐ医師になれるというところで番組は終わるので、明るい気持ちで見終ることができました。

 ご両親は非常にさみしい、辛い15年間を過ごしました。お父さんはどんな仕事でもやり(3つの仕事を掛け持ちしていたり)、風呂のないアパートに住んで、夜中に夕食と翌日のお弁当を作っていました。でも泣き言も言わず、ひたすら「父親として子どもを立派に育て上げる義務がある。その義務を果たしたい」と軸がぶれないのです。見ていて、お父さんはひたむきな、美しい目をしているなと思いました。お母さんがNYに行く娘さんを空港まで見送り、別れるまではわりとさばさばした感じだったのに、娘がゲートに向かって歩き出した途端、わっと泣き崩れた姿も印象的でした。彼らは文化大革命の時代に育ったそうですが、耐え忍ぶということをその時期に身に着けたのでしょうか。それとも中国人の持つ、真の強さなのでしょうか。彼らの姿は私には非常に美しく見えました。

 私にはこの番組は将来の私を少し疑似体験させてくれるものでした。いつかは子ども達を留学させたいというのが、私のうちの子ども達の教育上の願いなのですが、一方で、子どもを手放すことに強い怖れを感じています。そして留学させた暁には、二度と私の元に(または私の住む国に)戻ってこない可能性も高いと覚悟しなくてはいけません。13-4歳くらいで彼らをデンマークに送り出せる?そしてもしそのまま彼らがデンマークの学校を選択したら?とときどき考えてしまいます。

 子どもにとってよい教育とは何かということを優先して、ひたすら働き、もっと稼げるところに移動している人は今の日本人には少ないかもしれませんが、例えば日本ではメイドやベビーシッターにフィリピンの女性が多いようですが、彼らは母国に小さな自分の子どもを残して、日本人の他人の子どもの面倒を見るという仕事についているわけです。彼らの心の強さが私にあるのだろうかと自問してしまいます。選択の余地があるかないかという問題なのでしょうか?

 子どもにとっての本当の幸せは何かということを、決断するのも難しいことです。貧しくて高等教育も受けさせられないけれど一緒にいることが幸せなのか、子どものころは離れて互いにさみしい思いをしても、離れて子どもの学費を作ることのほうが最終的には子どもの幸せなのか・・・。

 私がこれから子育てに置いて選択するときに、いつも「私」ではなく、「子ども」を主体として考えて選択していけるでしょうか。私も含めて、自分優先という風潮をしばしば感じることがあります。それも悪いことではないのかもしれませんが、番組の中で出てきた人が言った「親は子どもの踏み台になるもの」という言葉は真実でもあると思いました。


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (els)
2006-11-05 23:52:15
タイでも、外国への出稼ぎが多いそうですよ。
夫の前妻の両親は二人してサウジアラビアに出稼ぎに行っていたそうです。
でも、月に100万円とか稼ぎながら、サウジで散財プラス送金先の親戚による散財で、一応私立の学校に行っていたみたいですけど、最終的には経済的な問題で高校1年のときに中退したそうです。
彼女は、面倒みてくれるはずの親戚にもよくしてもらえず、小学校のときから弟の面倒と、家事をこなしていたそうで、勉強との両立が大変だったそうです。
それも、トラウマになっているっぽいというか、、息子に対する責任感が小さいのも、自分自身愛情をうけてきた自信に乏しいせいなのかな?とも思ったりもします。
もちろん、出稼ぎによって本当に高い教育を受けている子供もいますが、彼女の例を聞いて、それには大変なリスクも伴うのだな、と。
ただ、彼女の場合、両親が真剣に子供のことを考えていたら、もっと賢くお金を管理をして高い教育を受けさせることが可能だったと思うんですけどね。結局、そのツケが今きて、彼女の母親もデンマーク人と結婚してますけど、子供がいずれも25~26歳にして、いまだ二人の子供に援助しつづけてますよ。

教育はもちろん大事だけれど、同時に、両親もしっかりとしていなければいけないと思いますね。ただ投資をすればいいのではなく、両親のしっかりとした生き様を見せる必要があると思います。機会を与えるだけでは不十分で、その機会を活かして自ら学び自立していくモチベーションを育てる必要があるからですね。
前妻も彼女の弟も、学校では一番の成績を誇っていたけれど、今は仕送りがあってもそれに依存するだけで、自ら自立するためには遣ってないですし。

わたしは逆に、悲しいくらいに娘の教育についてビジョンをもっていません。わたしも親に逆らってきたし。でも、もし留学したいという希望をもったとして、それが真剣なきもちの上でのことなら、支援していけるだけの力はもっていたいと思ってますけどね。
それにしても、娘はわたしの影響を大きく受けていて、つくづくいい加減に生きていけないなぁ、と思いますね。
返信する
Unknown (halfkids)
2006-11-08 13:45:03
elsさん、

一概に言えることではないけれど、やはり落ち着いた愛情のある家庭に育ってない人は、自分が家庭を持ったときにいろいろと出てきてしまうのでしょうね。

出稼ぎも、私が見た番組ではお父さんだけだったのですが、両親ともに、となると子どもは相当さみしい思いをするだろうなと思います。どこの国の子どもも基本的には安心できる環境が必要ですものね。

そうですね、そして親の姿勢、生き様、考え方というのが一番の子どもへの教育なのかもしれませんね。私の両親は田舎もので教育レベルも低かったけれど、あのまじめに働く姿を裏切れないなあとしばしば思っているわけです。私の子ども達もそういうふうに思ってくれれば、そんなに道を外れることもなく、自分なりの道をどこかで見つけてくれるのでしょうかね。

娘さんがいい加減に生きていけないとありましたけど、非常にいいことではありませんか? それだけ壁にぶつかることも増えるのかもしれないけれど、その分、本当に厚みのある、思慮深い人間になれると思います。
返信する

コメントを投稿