デンマーク・ハーフキッズ

デンマークについての情報やニュースを紹介、またデンマーク人と日本人のハーフの子供たちの子育て日記。

2年生になって・・・各教科編 ②

2009-05-17 08:23:33 | ハーフの子どもの教育
(続き)

●道徳

 日本には宗教教育などはないので、この道徳が心の教育として重要なものなのかもしれないのですが、そしてできるだけよい人になろうとすることが大切なのではありますが、道徳の教科書を見てうんざりしたのは私だけでしょうか?
 まず道徳の教科書はなんと100ページもあります。正確に言えば104ページ。そして40話にもわたって、これでもか、これでもかという感じで「道徳」を教え込まれます。まずは1話、ご紹介したいと思います。

「のぶくんはポスター係りになりました。教室に飾る絵を描いてみんなに楽しんでもらうのが仕事です。係りを決めるときにやりたい人が少なかったので、自分がやってもいいかなと思って手を挙げました。のぶくんは何を書くかいろいろと考えて、大好きな虫に決めました。そして何度か描いて掲示板に飾ってもらいました。ある日、まさとくんが掲示板を見て言いました。「ぼく、のぶくんの新しい虫のポスター楽しみにしているんだけどなあ」掲示板にはずいぶん前に描いたクワガタのポスターが貼ってあります。のぶくんはまさとくんの残念そうな様子をみてはっとしました。それからのぶくんは一生懸命絵を描きました。カマキリのポスターです。色を塗りながらまさとくんのことを考えていました。出来上がった絵を先生に渡しました。「先生、ポスターです。飾ってください」「カマキリね、上手に描けたわね」先生はポスターを見ておっしゃいました。近くにいたまさとくんが大きな声で言いました。「のぶくんのポスターだね。カマキリだ。かっこいいなあ」すると声を聞いたみんなが集まってきました。「わあ、つよそう」「本物そっくりだね」といって喜んでくれました。のぶくんはカマキリのポスターをみんなと笑顔で眺めました。」

 こんな話が永遠に続きます。人としての基本的な部分がとても大事なのではありますが、いい子とは何かという洗脳をしようとしているように思えてしまいます。あるいは戦前の教育みたいではっきり言って、なんだか気味悪く思ってしまいました。中には昔の日本の童話やイソップ童話などもあり、そういうものはひねりがあって、物語としても面白くていいのですが、他の話はあまりにも型にはまっていて気持ち悪く感じます。

 こういうことを教科書で学ぶよりも、実生活の中で、いろいろなケースに遭遇する中で、そのたびに子どもと周りの人とで試行錯誤して行くのがいいのではと私は思うのですが・・・。いちいち丁寧に子ども自身が考えて、それなりの答えを見つけていくことを、学校や家で日々行っていくことのほうが大切かなと思います。

 それともこんな40話もかけて、ありとあらゆる方向から道徳を教えないといけないという状況なのかな、親が普段の暮らしの中で子どもにそれを教えられないから、こんな教科書ができちゃったのでしょうか???それもあながち違うとは言い切れないかもしれません。子どもの道徳の前に、親の道徳?だったりして・・・。

 


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2 コメント

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Unknown (els)
2009-05-18 03:56:27
デンマークでは、「キリスト教」の授業で、道徳的なことも学ぶそうです。
教科書をちらっとみたら、現実的なデンマークらしく、いろんなネガティブな感情が芽生えるシチュエーションの話とか書いてあって、なるほどな、と思いましたよ。
いつだかは、「嫉妬」についての授業があったらしく、どういうときに「嫉妬」するのか、ひとりひとり話したそうです。そういうのを素直に打ち明けたりして、そのひとつのエピソードを聞いたときには思わずほほえましいと思いましたが。
こうしなければいけないと教え込まれるよりも、どういうときに嫌な感情が起きるのか、いじめをなくすにはどうするのか、自分たちで考えていくようです。
「こうするべき」とわかっていても、問題が起きてしまうものだから、わたしもhalfkidsさんのおっしゃるように、それを日々の生活の中で学んでいくしかないんだよね。
それに、やっぱり、道徳に関しては、親の姿勢も問われと思う。親が、どのように子供に接しているのか、また親がほかの人にどう接しているのか、大なり小なり子供に影響を与えると思いますね。

わたしも、半年ごとに大使館から教科書を受け取りにいってますが、デンマークと全然違うので新鮮です。
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Unknown (halfkids)
2009-05-22 06:17:05
elsさん、

このへんはさすがデンマークと思いました。
日本の教科書だと、一から十まで書いてあって、はい、これがいい子ちゃんですよ、こうしましょうねと押し付けがましい。デンマークのように、いろいろな状況を設定して、そこから本人たちに考えさせる、それを発表することによって、人の感じ方や意見も聞いてみるよい機会にもなるのにね、と思います。
なんだか上から目線の道徳の教科書に、目を通していたら腹がたってきてしまったのでした。

そういうことは本の中で読んで学ぶのではなくて、日常の中で人々の中で、少しずつ学んでいくものですよね。そして、その一番の影響者がやっぱり親。私たち親こそが子どもの心を形づくる存在だと思います。特にショウミーには私の考え方が、最近徐々に乗り移っているのを感じるわ~(笑)。
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