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ぽかぽか春庭「カンチュウハイ飲んでおしゃべり」

2023-08-17 00:00:01 | エッセイ、コラム
20230817
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>2023文日記夏(3)カンチュウハイ飲んでおしゃべり

 NHKの番組「イイいじゅう」という番組をときどき見ます。都会から山奥や海辺、島などに移住した人々の「自然豊かな田舎暮らし」のドキュメントです。
 移住を決意し、都会の快適な暮らしを捨てて、ときには周囲の反対を押し切って元のすみかから移住した人々。移住が成功して周囲のもともとの住人とよい関係を築いて移住先に定着した人々のストーリーが画面に写ります。
 しかし、移住に成功した人よりはるかに多くの人々が「地域の人間関係がうまくいかなかった」「半年がんばって畑仕事を続けたのに、収穫は全部猿とイノシシに荒らされた」などなどのさまざまな理由で成功はしないままフェイドアウトもあるのだろうと思う。番組には「移住から退却」した人の話は出てこない。

 友人のA子さんが飛騨に移住した時、「遊びにいくからね」と、私も喜んだ。昨年8月に移住直後のA子さんをたずね、A子さんの移住先に3泊、そのあと高山のホテルに1泊してたのしい飛騨の旅を続けることができました。
 夏から秋、問題はありながらもA子さんの移住生活はなんとか続けることができました。しかし。

 雪深い飛騨の里。A子さんの話では「屋根の雪下ろしが女手ひとつではできず、近所からも苦情がくる。小学生が屋根から急に落ちてきた雪の下敷きになる事故も起きたことのある地域だ、ということで「雪下ろしをしない家は、近所迷惑になる」と、だいぶめげたようだったけれど、それでもがんばって住み続けていました。入居するとき、おふろのバスタブやシャワーも自費で整備し、築何十年だかの古屋を、なんとか住めるようにしてきたのに、「さらに家の補修をめぐって、家主さんともめてしまって」というトラブルが勃発。古屋をまるごと託されたというのなら家の修理を自分で続けるのも納得できるが、光熱費などを払いつつ借りている身では、借り手が勝手に修理を業者に依頼することもできず、何度も修理依頼をしても家主は応じてくれなかった。
 話し合いも埒があかず、これ以上のもめごとで神経すりつぶすのは不毛と、退去を決めたと言う。

 移住全部が上首尾となるわけではない。私としては1年間よくがんばったと思います。A子さんの場合は、家主側に問題があった感がありますが、これは当事者でなければわからないことですから、部外者としては、もう一度飛騨の旅をするのは、もうしばらう先になるだろうなあ、ということを残念に思うのみ。

 A子さんは一人息子さんが8月に結婚式を終え、これで子育て完全卒業です。お嫁さんのご家族もよい方々のようで、結婚式も盛大なものだったと、写真を見せてもらいました。バスケット選手として活躍してきて、今はIT関連の希望の職場で望みの仕事をしているという183cmの自慢の息子さん。結婚式の親の挨拶では、花嫁のパパが「おかあさん、よくぞ息子さんを立派に育ててくださいました。この先、私の息子とともに、私の事業を受け継いでいってほしい」というような挨拶をされたそうで、まるで嫁さんの一家に息子をさらっていくようなご挨拶だった、ということですが、「結婚した息子がこの先どういう生き方をするのかは息子にまかせる。私は私で暮らしていくから」と、今後の一人暮らしをどうしていくか、思案中。一人暮らしのために飛騨への移住を模索したのだけれど、今は都会のシェアハウスを検討中、だそう。

 これまでは、生活のため収入のための仕事として翻訳を続けてきたけれど、これからは「ほんとうに訳したい本を、自分なりに翻訳していく」ということ、応援したいです。まもなく65歳になって年金受け取りも開始する、ということなので、しっかりと退職後生活ができるだろうと思います。

 私ときたら、今後のめどはまったくないまま「ジャンボ宝くじ、買わなかったけど、宝くじあたらないかなあ」程度の計画しかないので、A子さんは私を見ていると、「こんなズサンな生き方でも元気そうにやっている」と思えるようになり、心配を吹き払えるみたい。よかったよかった。アホな生活もだれかの役にたっているのかも。

 東京に戻って、シェアハウスで新生活が始まったらまたおしゃべりにでかけたいです。

<つづく>
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