つれづれごと。

SD他、管理人葉月の日常の中で思うことを綴ります。※SDに関しては、必ず5/29「はじめに」をお読み下さい。

『作りたい女と食べたい女』を読んで ※ネタバレ兼ちょっと批判めくので閲覧注意

2023-06-29 15:55:34 | 

『作りたい女と食べたい女』、最近何故か広告にやたら出るので、ちょっと見てみたら面白そうだったためAmazonで注文して一気読み。

面白かった。まだ連載中です。

が、やっぱり世代が違うんだなぁ(多分間違いなく私が年寄り)と思うところがいくつか。

基本的にキャラクターはみんな好感度高いと思います。美味しんぼと違って(あれはあれで好きではありますが)、スーパーやコンビニで買った食材でぱっと作って食べる、というのがなんともすっきり。産地がどうのといううんちくがないのでさらっと読めます。

ヒロインの一人、野本さん。「作りたい女」です。大量に作りたいけれど小食なので、食べてくれる人がいないと料理も成立しないのね、と考えています。この辺は納得です。

作ってはみたくても、自分では食べられるかどうか分からないもの、量の多すぎるものは普通除外してますから。

で、お弁当作って行って会社で食べてると、「いいお母さんになりそう」「俺も彼女には弁当作ってほしい」とか何とか言われて、「自分が好きで自分のためにやってることを、全部男のためって回収されるの辛い」と思う訳です。

ああ、ここから違うなと。

個人的には私もこの男性の褒め言葉?には違和感を覚える方ですが(料理がうまければいいお母さんになれる訳ではない)、男のため、とまでは受け止めないなぁ。

自分も似たようなこと言われた覚えはあるので、どうだったかな~と思ったのですが、多分明確に言葉にするほどどうこうは思わなかったかと。強いて今言葉にするなら、「ちょっとうざいが褒めてくれようとしてるんだからお礼言っとこう」くらいだったと思います。

そして「食べたい女」春日さん。

この人がよく食べる人で、また食べっぷりがいい!と野本さんはうっとりしている訳ですが。私はそれも凄いなと思いつつ、自分とは違うな、と思ってしまう訳です。

私は大量に料理を作ると実はうんざりします。食べてないのに食べた気になってしまい、もうお腹いっぱい!みたいな感じになります。あ、四人分くらいなら作ってもなんともないです。仕事の関係上、百人の生徒たちに料理しなければならない時があって、先生方も含めると百二十人くらいになるのですが、それくらいの人数分作るともう本当にうんざりします。お腹いっぱい。食べたくない。

あと、私たちの世代から上だと、あまりにも大食いの人には引くんじゃないかと思います。美味しんぼにも大食いの男性の話がありましたが、なんかブルドーザーか掃除機が食べ物を吸い込んでいるようでげんなりした覚えがあります。幸いに春日さんの方は、大食漢でも美味しんぼに出て来た男性ほどは食べないし、野本さんが感動しまくってるから平気ですが、あの食べっぷりは美味しそう、なのかなぁ。大食いの人の食べ方ではあるだそうけど、美味しそうには見えない。

野本さんは小食という設定で、後に出て来る南雲さんは会食恐怖で小食の人ですが、小食の人って一杯食べる人を見てげんなりしそうなものですが、そうでもないのがこのお話の面白いというか不思議なところ。しかしある程度食べる人たちからすると、食事の際にあまりにも小食の人も大食いの人もご一緒したくないと思う人は多いと思います。理由は一つ、食べにくいから。自分より小食だと何か自分が卑しく思えてくるし、自分より大食漢だとそれはそれでげんなりして食欲がなくなるので、できれば同じくらいの食欲の方と食事はご一緒したいものです。

あと、春日さんは親との間に確執を抱えており、祖母の介護のため呼び戻されそうになりますが(本人はきっぱり断ってる)、その際の「お母さんが分からない」の一連の台詞。後々への伏線なのかな、とは思いますが、昭和ひと桁の親を持ってる私としては、お母さんの生き方分からないでもないんですよ。自分のことは諦めてる。夫にも姑にも逆らえない。だから彼らの目に触れないお弁当は大盛りにしたり、娘が家を出るのにも反対しなかったりする。介護の件でも、自分から娘に助けてとは言わない。娘を呼び戻したいとは思ってない(少なくとも今はまだ)んでしょうね。本当にせっぱつまったら分かりませんが、自分で間に合ううちは自分で何とかしようとする。…まんまうちの母です。うちは姑はいなかったし、ご飯差別はないけど。父は大黒柱の自分におかずが一品多いべきだ!と言ったことはあります。「何言ってんの、親なら子供に食べさせるものでしょ」と母の一言で終了しましたが。

母は昭和一桁世代、戦前戦中戦後を生きて、食べ物に苦労したためか、食べ物の喧嘩は嫌がる人でした。つまみ食いも大嫌いでした。だから子供にはそういう真似はさせまいと、お菓子も自由だったしもし万が一なくなっていても明日買ってくるから黙ってなさい、と言う母でした。

母の、自分はいいけど、という生き方が娘としては歯がゆく、もっと父に言うべきだ!とよく怒ったし父とも衝突していた娘である私としては、春日さんが実家にいる間お母さんと話さなかったのかなと気になって仕方がない。令和の今は離婚なんて珍しくなくなりましたが、昭和の頃は離婚はおおごとでしたし、ほとんど周囲でも居なかったと思います。世間体が悪い、そんな風に言う世の中でした。今でも田舎ではそんなところがあると思います(どのレベルの田舎かで話は違います)。そこで育った春日さんなら、離婚と言える雰囲気か否かは分かると思うのです。また、自分の母がどういう人であるかも分かるのではと思うのです。…あ、でも話してないから分からないのかな。一番もやもやしたのはこのあたりです。

父親からは頑張って逃げ切ってくれ!と思います。私も絶縁した組なので。

「食べさせてやったのに」という春日さんの父親ですが、充分食べさせてないじゃないか、と個人的に思いました。ついでにその辺も言い返してしまえ!とか。今時は親だから子供を産んだら育てて当たり前なんだ、育ててくれて有り難いとは思うが親本人が言ったら子供はそのありがたみが薄れるんだ!とがっちり言い返した娘です私。いや、うちの親は昔なら相撲に売ったとかチンドン屋に売ったとか言う父だったもので。時代が違うだろう、いつの話してるんだ!と言い返しはしていましたが、ある程度成長してくると、そこまで言ったら終わりだと我慢していたこと(前述の親だから~のあたり)も我慢できずに言ってしまいましたね。教育を受けさせない親だっている、とか言ってきましたが、何で下と比べるんだ、比べるなら上と比べろと言い返してました。こっちの成績とか性格とかはもっと良い子と比べてどうこう言うのに、自分は最低の親と比べていい親だ!というのはずるい、とも言ったな。おかげである程度、私には父は言うことを控えるようになりました。それでも性格が治るわけじゃないので、色々あったあげくに、母が死んで父と絶縁することになるのですが。…うーん、自分の黒歴史が刺激される。困ったな。…という訳で話題を戻します。

この後、野本さんと春日さんがお互いを好きだと自覚して告白したりして、当初の料理漫画っぽい話でなく、女同士の恋愛ものだったのね、と気付いた訳ですが(私も大概鈍い)、うーん、こういう話になっちゃうのかとちょっと残念。いや、女性同士のカップルも別段いいんですが、正直言うと興味ない。料理でつながったお友達、でよかったのになぁ、という感じです。まぁ私はペリー・メイスンシリーズでもメイスンと秘書のデラ・ストリートがくっつかない方が好みなので(恋愛に話が行くと、そっちがメインになってつまらない)、この辺は好き好きですね。

キャラクターは好きなので多分今後も読んでるとは思います。色々書きましたが、読んでる時はそういうことをあまり考えずにさらっと楽しく読めます。何度か読み返すと、まぁいろいろ言いたくなる訳ですが…だからいいんでしょうけどね。

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