goo blog サービス終了のお知らせ 

功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『セブン・ウォリアーズ 戦神灘(戦神灘)』

2007-06-12 23:07:12 | 王羽(ジミー・ウォング)
「セブン・ウォリアーズ 戦神灘」
原題:戦神灘/戰神灘
英題:Beach of the War Gods
製作:1973年

●ジミー先生がゴールデンハーベストに渡り、色々あって香港から台湾へと本拠を移していたころの作品です。この作品はJoy Salesこと樂貿影視から発売されたVCDで視聴したのですが、同社は他にも多数のハーベスト系作品をリリースしているので、今後が楽しみなメーカーのひとつと言えます。
ただ、少し前にショウ・ブラザーズの旧作を販売していた天映娯樂は、すべての作品にデジタルリマスターを行っていました。しかし樂貿影視では一部の作品にしかリマスター処理は行われておらず、字幕の表示・非表示も変更できないという欠点を抱えています。そんなわけで画質に関してはそれほど綺麗というわけではありません。
とはいえ、天映娯樂の方でも余計なCG処理や改題などを行っていた前科があるので、当時の字幕や画質そのままでリリースする樂貿影視にも分はあります。結局はどちらも一長一短というわけなのですが……そろそろ内容に触れておかないとキリがないので、この話題はまた別の機会にしたいと思います(爆

 本作は先ほども言った通り、ジミー先生が台湾に都落ちした以降に作られたものなのですが、なかなかスケールの大きい作品となっていました。
ストーリーは『七人の侍』パクった意識したものとなっていて、倭寇の侵略から漁村を守るためにジミー先生率いる侠客たちが戦いを繰り広げます。台湾で製作しているとはいえ、ハーベストの息がかかっているのでセットや衣装などはかなり本格的ですし、アクションシーンについても規模の大きなものになっています。
当時のハーベストはショウブラに先んじられてはいたものの、李小龍(ブルース・リー)作品の大ヒットなどによって急成長を遂げていました。かつては荒野や小ぢんまりとしたセットで撮影していたハーベストですが、本作はそんなハーベストが着実に力を付けてきた事を示している作品…と言えるのかもしれません。
 出演者はジミー先生以外に目立ったスターは出演しておらず、悪役の倭寇にはいつもの龍飛(ロン・フェイ)&山茅(サン・マオ)が扮しています。正直言ってキャスティングにあまり面白味が感じられないのですが、一方で功夫アクションについてはインパクト重視の派手な立ち回りが主でした。
ラストバトルではジミー先生と龍飛が巨大な風車に登り、回転する風車の羽に捕まりながらのデンジャラスな戦いが展開されます。全体的に『七人の侍』を意識しすぎて氏の作品特有のハチャメチャさが発揮できていない本作ですが、ここだけはジミー先生らしさが炸裂したケレン味のある立ち回りになっています。
やっぱり、ジミー先生はこうでなくちゃ!(笑

『片腕カンフー対空とぶギロチン』

2007-06-09 23:29:42 | 王羽(ジミー・ウォング)
「片腕カンフー対空とぶギロチン」
原題:獨臂拳王大戦血滴子/獨臂拳王大破血滴子
英題:Master of the Flying Guillotine/The One-Armed Boxer vs The Flying Guillotine
製作:1974年

▼8年ほど前、私はこの作品とレンタルビデオ店の隅で偶然出会いました。いかがわしいタイトル、華のない主役、そして面白くなさそうなタイトル…パッケージを手に取った時に抱いた印象がそれでした。しかしこの時私は何も知らなかったのです、奇天烈でアイディア満載の映画に命を賭ける、ジミー先生の勇姿を!
そんなわけで本作は、世界で一番有名なジミー先生こと王羽(ジミー・ウォング)の主演作にして大傑作、そして私が視聴した記念すべき最初のジミー作品です。当時、ジャッキーと李小龍と李連杰が香港映画の全てだと思っていた香港映画かぶれの私に、本作は大きな衝撃をもたらしてくれました(遠い目)

■清朝が誇る暗殺武器・空とぶギロチンの使い手である金剛(カム・カン)は、自分の2人の弟子が片腕カンフーのジミー先生に倒されたと知り、復讐を決意する。一方、ジミー先生は鷹爪道場で開催される武道大会へ、弟子を伴って観戦しに向かっていた。
ところが、その大会に復讐鬼となった金剛が乱入し、会場を爆撃して地獄絵図に変えてしまう。怨敵の襲来に警戒するジミー先生であったが、彼の前に次々と強敵が立ちふさがる。タイ人の岑潛波、トンファー使いの侍・龍飛(ロン・フェイ)、ヨガの王永生…果たして、ジミー先生は地獄の4番勝負に勝てるのか!?

▲道場主の主人公が清朝の手先と戦う…こういう構図は功夫映画ではとてもありふれたものであり、本作と同じようなストーリーの作品は無数に存在します。しかし本作でジミー先生は、手を変え品を変えた奇抜な展開を駆使し、他者との差別化を徹底して図ったのです。
そもそも、決戦に備えて罠を張り巡らし、門下生を使って敵を火あぶりにし、オノを打ち込んで老人をボコボコにする主人公なんて前代未聞です。しかも敵がホラー映画も真っ青な空とぶギロチン使いのラマ僧ですから、これでマトモな映画になるはずがありません(爆
のちに世界的にファンを獲得するカルト・ムービーとなり、今もジミー先生の代表作の1つとして君臨している本作。メジャー作品から一歩踏み入って、よりディープな功夫映画に興味がわいてきた人は、ぜひ本作と前作『片腕ドラゴン』からの視聴をオススメしたいと思います