「カンフーエンペラー」
原題:功夫皇帝
英題:The Kung Fu Emperor/Emperor of Kung Fu
製作:1981年
▼雍正帝といえば功夫映画では定番の悪役としてお馴染みの存在。『血滴子』『少林皇帝拳』『神鳳苗翠花』などに登場し、日本のファンには郭南宏(ジョセフ・クオ)作品における『少林寺への道2』や『少林寺炎上』などでの姿が、最もよく知られている事だろう。本作はその雍正帝が主演の上に善役を勤める作品である。
雍正帝が善役という時点で?と思ってしまうが、名匠・張徹(チャン・ツェー)の弟子である鮑學禮が監督しただけあって、出来に関してはショウブラ作品に近いものがある。出演は狄龍(ティ・ロン)を筆頭に陳星(チン・セイ)・王清(ワン・チン)・蔡弘とショウブラ系のスターが勢揃い。加えて張一道や譚道良(ドリアン・タン)といった面子がプラスアルファされ、そこに師匠譲りの鮑學禮的な演出が加味されることで、単に豪勢な顔を揃えただけではない作品に仕上がっている。
■時は清朝、宮廷内では次期皇帝の座を巡る熾烈な争いが起きつつあった。皇帝候補の1人である狄龍はその争いに興味は無く、俗世の中で施思や譚道良らと親睦を深めていく。だが、すべてを掌握せんとする陳星と王清の策謀に巻き込まれ、否応なしに闘争の渦中へと叩き落とされる事となってしまう。度重なる襲撃に遭遇していく内に、狄龍は立派な皇帝になるべく立ち上がることを決意する。
宮廷に戻った狄龍は皇帝が死去するに至って、いよいよ譚道良たちを引きいて行動を開始する。『少林寺への道2』でも黄家達(カーター・ワン)の雍正帝が行った"遺書の書き換え"を敢行する狄龍。余談だが、この場面で狄龍たちは遺書が封印された宮殿へ正面切って襲撃しているのだが…こんなに堂々と攻撃したら絶対に不正がバレると思うけど、コレって大丈夫なんだろうか(笑
そんなこんなで遂に狄龍は雍正帝としての地位を得るも、逆上した陳星は大勢の兵をけしかけて他の皇子ともども狄龍を亡き者にしようと目論む。「暗躍していた陳星も陳星だけど、不正を働いた狄龍も同罪なのでは?」という疑問はさておき(爆)、宮殿を舞台に狄龍と協力者たちVS陳星と共謀者たちの死闘が繰り広げられる!
▲…というわけで『少林寺への道2』と同様に雍正帝の成り上がりサクセスストーリーを描いた本作だが、役者のボリュームやスケール感はどちらかというと本作の方が絢爛豪華。功夫アクションに関しても同様で、狄龍の力強い手技や譚道良のテコンドーキックが乱れ飛ぶアクションシーンの数々は、見事の一言に尽きる(武術指導は陳木川)。特に主演の狄龍は功夫シーンのみならず、演技面でもショウブラ全盛時代を髣髴とさせるような精鋭さを発揮しており、皇帝としての決意を語る場面はとても格好良い。
だが本作は、狄龍の演技が見事であればあるほど引っ掛かるものを感じてしまうようになっている。何故なら狄龍の役柄は曲がりなりにも雍正帝…のちに臣下を粛清したりする暴君と化す事を考えると、なんだか複雑な気分になってしまうのだ(将来的に『刺馬』みたいな状況になって、譚道良と闘ったりするんだろうなぁ…)。そう考えると『少林寺への道2』の強引なラストも、のちに暴君になる事を考えると非常に自然な展開だったのかもしれない。
結論としては雍正帝に善役を宛がうと不自然に見えてしまうという結果を残したが、作品自体は非常に良く出来ているので、功夫映画ファンは是非とも必見の作品といえるだろう。
原題:功夫皇帝
英題:The Kung Fu Emperor/Emperor of Kung Fu
製作:1981年
▼雍正帝といえば功夫映画では定番の悪役としてお馴染みの存在。『血滴子』『少林皇帝拳』『神鳳苗翠花』などに登場し、日本のファンには郭南宏(ジョセフ・クオ)作品における『少林寺への道2』や『少林寺炎上』などでの姿が、最もよく知られている事だろう。本作はその雍正帝が主演の上に善役を勤める作品である。
雍正帝が善役という時点で?と思ってしまうが、名匠・張徹(チャン・ツェー)の弟子である鮑學禮が監督しただけあって、出来に関してはショウブラ作品に近いものがある。出演は狄龍(ティ・ロン)を筆頭に陳星(チン・セイ)・王清(ワン・チン)・蔡弘とショウブラ系のスターが勢揃い。加えて張一道や譚道良(ドリアン・タン)といった面子がプラスアルファされ、そこに師匠譲りの鮑學禮的な演出が加味されることで、単に豪勢な顔を揃えただけではない作品に仕上がっている。
■時は清朝、宮廷内では次期皇帝の座を巡る熾烈な争いが起きつつあった。皇帝候補の1人である狄龍はその争いに興味は無く、俗世の中で施思や譚道良らと親睦を深めていく。だが、すべてを掌握せんとする陳星と王清の策謀に巻き込まれ、否応なしに闘争の渦中へと叩き落とされる事となってしまう。度重なる襲撃に遭遇していく内に、狄龍は立派な皇帝になるべく立ち上がることを決意する。
宮廷に戻った狄龍は皇帝が死去するに至って、いよいよ譚道良たちを引きいて行動を開始する。『少林寺への道2』でも黄家達(カーター・ワン)の雍正帝が行った"遺書の書き換え"を敢行する狄龍。余談だが、この場面で狄龍たちは遺書が封印された宮殿へ正面切って襲撃しているのだが…こんなに堂々と攻撃したら絶対に不正がバレると思うけど、コレって大丈夫なんだろうか(笑
そんなこんなで遂に狄龍は雍正帝としての地位を得るも、逆上した陳星は大勢の兵をけしかけて他の皇子ともども狄龍を亡き者にしようと目論む。「暗躍していた陳星も陳星だけど、不正を働いた狄龍も同罪なのでは?」という疑問はさておき(爆)、宮殿を舞台に狄龍と協力者たちVS陳星と共謀者たちの死闘が繰り広げられる!
▲…というわけで『少林寺への道2』と同様に雍正帝の成り上がりサクセスストーリーを描いた本作だが、役者のボリュームやスケール感はどちらかというと本作の方が絢爛豪華。功夫アクションに関しても同様で、狄龍の力強い手技や譚道良のテコンドーキックが乱れ飛ぶアクションシーンの数々は、見事の一言に尽きる(武術指導は陳木川)。特に主演の狄龍は功夫シーンのみならず、演技面でもショウブラ全盛時代を髣髴とさせるような精鋭さを発揮しており、皇帝としての決意を語る場面はとても格好良い。
だが本作は、狄龍の演技が見事であればあるほど引っ掛かるものを感じてしまうようになっている。何故なら狄龍の役柄は曲がりなりにも雍正帝…のちに臣下を粛清したりする暴君と化す事を考えると、なんだか複雑な気分になってしまうのだ(将来的に『刺馬』みたいな状況になって、譚道良と闘ったりするんだろうなぁ…)。そう考えると『少林寺への道2』の強引なラストも、のちに暴君になる事を考えると非常に自然な展開だったのかもしれない。
結論としては雍正帝に善役を宛がうと不自然に見えてしまうという結果を残したが、作品自体は非常に良く出来ているので、功夫映画ファンは是非とも必見の作品といえるだろう。