アーセナル 2-2 マンチェスター・ユナイテッド
得点)セスク、ギャラス / OG、ロナウド
HOME)アーセナル
アデバイヨール
フレブ
ロシツキー エブーエ
セスク
フラミニ
クリシー サニャ
ギャラス トゥーレ
アルムニア
交代)エブーエ → ウォルコット
フレブ → ジウベルト・シウバ
ロシツキー → エドゥアルド
AWAY)マンチェスター・ユナイテッド
ルーニー
テベス
ギグス C・ロナウド
アンデルソン
ハーグリーブス
エブラ ブラウン
ビディッチ ファーディナンド
ファン・デル・サール
交代) ブラウン → オシェイ
アンデルソン → キャリック
テベス → サハ
主審)ハワード・ウェブ
「勝てなくて残念だった。」とも、「負けなくて良かった。」とも言える、やはり試合内容を考えれば、「引き分け」が両チームにとって最もフェアな結果だったと言える試合でしょう。
せっかく試合前にプレビューの記事を書いたので、今回はそのプレビューで取り上げたポイントに沿いながら試合を振り返りたいと思います。
・ 前線の組み合わせ
アデバイヨールは、得点こそ決められなかったものの、この日は批判に値する内容ではなかったと思います。
後半は、アデバイヨールが前線で孤立する場面が目立つ、彼にとっては厳しい状況でしたが(試合後にヴェンゲルが、「これは自分に責任がある。」と語っています)、よくボールを収めていた方だと思います。 ファーディナンドとビディッチを背に1人で頑張りました。
やはり、フレブに「ストライカー」の役割を求めるのは酷だと、この試合で感じました。
ファン・ペルシー不在の影響の大きさは、プレビューでは
「マンチェスター・ユナイテッドにとってのスコールズの離脱よりも大きい。」
と書きましたが、実際は、ユナイテッドにとってのルーニーとスコールズの離脱よりも大きかったかもしれません(笑)
それ程、現在のアーセナルの前線ではファン・ペルシーが肝になっています。
今更ながら、4試合連続ゴール中での離脱は痛かったです。
・ 「右サイドハーフ」と「右SB」
セスクの同点弾は、サニャがライン際でよく粘ってクロスを上げたことによるものでしたが、それ以外の場面では、エブーエとサニャの「アーセナルの右サイド」が、攻撃でも守備でも、ギグスとエヴラの「ユナイテッドの左サイド」を相手に掌握権を握っていたとは思えませんでした。
ユナイテッドの右サイドの攻撃をロシツキーとクリシーが上手く抑えていた分、それは余計に目立ちました。
エブーエに、昨季の「右SB」時でのような大胆さが消えているのが気にかかります。
・ 「セスク」 VS 「ハーグリーブス」
セスクが自由なれたのは、同点ゴールの場面ぐらい。
それ以外では、ハーグリーブスとアンデルソン、特にアンデルソンの執拗なマークが厄介で、あまり重要な働きは出来ませんでした。
アウェイのリバプール戦もプレッシャーは厳しかったですが、ユナイテッドはそれ以上。 さすがですね。
今季のエミレーツの試合で、アーセナルが本来の自分達のサッカーをするのに最も苦しんだ試合だったと思います。
・ユナイテッドの攻撃陣への対応
失点シーンは、ユナイテッドお得意のサイド攻撃から崩されたものですが、それよりも苦労したのは、GKファン・デル・サールとファーディナンドから送られてきたロングボールの対処でした。
ユナイテッドは意外にも早い段階からロングボールを放り込んできて、それがルーニーやテベスに綺麗な形で落とされてしまい、そこからチャンスを作られてしまいました。
完璧に崩された2失点目も、実はGKからのロングボールをルーニーに競り負けてボールをサハに渡してしまったところから始まりました。
この辺りは、ギャラスとトゥーレの責任です。
ルーニーとテベスの2人に競り負けていたのだから情けない。 もちろん、彼らは“普通の170cm前後のFW”ではありませんが、ギャラスとトゥーレ程の身長差のアドバンテージがあれば、確実に競り勝たないと。
ロングボールの対処と高さの無さに不安を覚えました。
・選手個々とチーム全体の評価に触れる前に、ちょっと一息
よろしくお願いします!
アーセナルで悔やむべきは、前半ロスタイムの失点はもちろんのこと、後半開始3分にセスクが同点にした後の約10分間の圧倒的攻勢の時間帯で逆転できなかったことです。
明らかに混乱が生じていたユナイテッドの守備陣に、落ち着きを取り戻す余裕を与えてしまいました。
そして、ヴェンゲルの采配にも疑問が。
勝ちに行くため、エドゥアルドの投入はわかりますが、フレブに代えてジウベルト・シウバの投入は理解不能でした。
ジウベルトに“気を使った”としか思えない采配です。 もしヴェンゲルがジウベルトに気を使うなら、次のスラヴィア・プラハとのアウェイ戦に彼を先発させれば良かったのではないでしょうか?
ジウベルトの投入でシステムが、
アデバイヨール
セスク
エドゥアルド ウォルコット
フラミニ
ジウベルト・シウバ
という、未だかつて試したことのない訳のわからないものになってしまい、その直後に失点を招きました。
アルムニアは、トッテナムとのアウェイ・ゲームに続き、ビッグゲームでミスを連発。
1点目はギャラスに当たって少しコースが変わったものですが、トップレベルのGKなら弾き出しているはず。
2点目は飛び出しが問題外。
終始、自信が無さそうにプレーしていましたね。
同じくスパーズ戦で指摘したように、レーマンが、
「アルムニアは重要な試合では勝っていない。」
と批判しているのは哀しいかな事実で、またしてもそれを証明した形になってしまいました。
かと言って、レーマンに戻しても問題は解決しませんし、安定感や、レーマンがチームに与える悪影響を考えれば、アルムニアで継続することに異論はありません。
しかし、やはり、上のステージを目指すならGKの補強は必要でしょうね。
これで、リバプールとユナイテッドの連戦を「勝ち点2」で終えることになりました。
「勝ち点4以上」を期待して、アンフィールドでリバプールに引き分け、エミレーツでユナイテッドに勝つという目論見を立てていましたが、どちらかと言えば、リバプール戦の方が勝ち点3に近い内容でしたね。
ユナイテッドにホームで引き分けてしまったと言っても、決して悲観する必要はなく、むしろアウェイのオールド・トラッフォードでの試合の方が、アーセナルの本来のサッカーが展開できるのではないかと思います。
ユナイテッドが今回のように中盤をタイトに形成することは考えられず、今回よりも攻撃の意識を強くするはずですから、その分のスペースを生かせれば、アーセナルお得意の高速カウンターが見せられるはず、
ということを、試合中の後半に考えてしまったぐらいですから、今回はユナイテッドの試合巧者ぶりが目立ったというか、彼らにとってこれが「アウェイ・ゲーム」であったことが逆に功を奏してしまったのかなと思います。
・2人の監督への怒りを語らせてもらう前に、ちょっと一息
よろしくお願いします!
最後に、
コメントを聞いて腹が立った2人の監督(元監督)への個人的な怒りに、お付き合い下さい。
<黙れ、ファーガソン>
ユナイテッドのファーガソン監督が、またまた“権力者”の顔を見せています。
試合後、主審を務めたウェブに対して、
「ハワード・ウェブはプレミアシップの最高の主審になる機会を持ったし、今回は彼にとってのビッグゲームだった。
だが、彼は時々アーセナルを贔屓にした。
(ギャラスの)2点目は、サハへのファウルを取らなかったことによるものだ。」
と語っていましたが、何様なんでしょうか?
ヴェンゲルを含めて、試合後に主審への文句をぶちまける監督はプレミアにも山ほどいますが、
「I think Howard Webb has a great chance to be the top referee.」
という、明らかな上目線の物言いで審判を語るのは、彼だけでしょう。
それが「Sir」の爵位号に与えられた特権なのでしょうか?
それに、サハへのファウルを言うなら、それよりも先に、先制点の前のシーンでブラウンがフレブを腕で突き飛ばしたシーンこそファウルです。
サッカーの世界には、手を使って相手の体を押さえていい「ハンドオフ」という、ルールブックには掲載されていない暗黙上のルールがありますが、あれはハンドオフを超えて単なる突き倒しでしょう。
また彼は、エミレーツの警備についても問題視するコメントを出しましたが、
ベンチのすぐ傍にいた記者が語るには、
「普通だった。 どのスタジアムでもよくある程度。」
との話。
また同じく試合を観戦していた元主審のデルモット・ギャラガーも、
「おそらく、終了間際に同点されたことによる怒りがそういうコメントを出したのだろう。」
と語っています。
もちろん、この気持ちはわかりますが、1つ忘れて欲しくないのは、
「ユナイテッドも前半のロスタイムに点を取ったこと」
です。
自分達だけがアンラッキーと思うなら、こちらもアンラッキーであったことをお忘れなく。
そして、
“favoured”という直接的な言葉を使って主審を侮辱したファーガソンに対し、FAが調査に乗り出すようです。
過去の判例を見れば、罰金処分は間違いありませんが、果たして。
確実に言えるのは、ヴェンゲルなら間違いなく処分を受けています。
<よく考えてから物を言え、ヨル>
そして、もう1つは、トッテナムを解任されたマルティン・ヨルに向けての怒りを1つ。
彼は、ヴェンゲルと比べた場合の与えられた時間の短さを嘆き、
「ヴェンゲルはここ何シーズンもリーグ4位だ。 2004年のリーグ優勝以来何かタイトルを取ったか?」
と、まるでここ3年のヴェンゲルの成績が酷く、他のクラブなら解任されているとでも言いたげな言い草ですが、彼は大きな勘違いをしています。
まず、アーセナルは2005年のFAカップで優勝しています(ちなみに、モウリーニョもいつもこれを忘れて語っています)し、その年はリーグでも「2位」でした。
その翌シーズンが、スパーズと最後まで争ってのリーグ「4位」でしたが、ここでヴェンゲルは「CL準優勝」を果たしているのが大きな違いです。
個人的には、「カーリングカップ優勝」よりも「CL準優勝」の方が価値あることで、クラブ首脳陣が監督を評価・査定する場合にも、後者の方が考慮されるべきことであり、CL決勝に勝ち進んだヴェンゲルがマイナス評価を受けて解任されるはずがないと思うのですが。
何も成果を残せなかったのは昨季だけで、それでもカーリングカップでは決勝に行き、その前の準決勝ではスパーズに勝利しています。
ヨルは、他の監督を批判し羨む前に、自分が残した成果をよく見直すべきしょう。
まず、彼はここ3年間、ホームでのチェルシー戦1試合を除いて「ビッグ4」のクラブに全く勝っていないわけで、
「ビッグ4の牙城を崩そう。」
というモチベーションを持つ首脳陣が、この戦績を疑わないわけがありません。
そしてまず何よりも、彼は、「アーセナルに1度も勝てなかったこと」を反省するべきだと思います。
ボカ・ジュニオルスとリーベル・プレートの「スーペル・クラシコ」で敗れた方のチームの監督が解任される事例が多いように、「ローカル・ライバル」相手に結果が出せないことは、ファンの怒りと失望を招き、監督の評価・査定が致命的になるのは必然の流れでしょう。
昨季のカーリングカップ準決勝でアーセナルに勝って決勝に行っていれば、ヨルの評価も違っていたかもしれません。
その重要なことを、彼は忘れています。
彼がヴェンゲルを羨むのはお門違い、“wide of the mark”なことです。
今週水曜には、CLのスラヴィア・プラハ戦があります。
しかし、アーセナルにとっては来週月曜のレディング戦の方が勝ちに行くべき重要な試合であり、このスラヴィア戦は多少のメンバー変更をした方がいいのかと思います。
フレブかロシツキーを休ませて、エドゥアルドやウォルコットを試しましょう。
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