指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

雪村いずみ

2022年08月16日 | 大衆芸能

「ひばり、チエミ、いずみ」の三人娘の映画で、最初に見たのは東宝の『ジャンケン娘』で、池上映画劇場だったと思う。

                   

この頃、一番好きだったのは、いずみで、彼女が一番ダサくないと思っていたからだ。

だが、その後、三人娘の歌等を聞いて、まったく変わった。

歌も演技もひばりが最高で、芸人の娘のチエミも凄いが、いずみはほとんど素人だと。

それも、そのはず、雪村いずみは、家庭の事情からいきなり素人から歌手になった女性なのだ。

彼女の父・朝比奈愛三氏は、戦前に慶応大学を出た人で、他の大学の学生たちとハワイアン・バンドをやっていた方だった。私は、彼らのレコードを持っている。

戦後は、通信社にいたが、特異の英語を生かしてGHQと連絡するなど活躍されていたが、家庭の事情で自殺してしまい、母親は映画会社を作っていたが、それも駄目になったしまう。

そこで、いずみが歌手になったというのだ。

だから、彼女には、西欧的な雰囲気はあるが、実力はほとんどない歌手だったのだ。

1950年代は、東宝の若手女優としての方が良い仕事を残しているようだ。

1970年代に、日生劇場での『ウエストサイド物語』を見たことがあるが、劇団四季の若手に混じってかなり違和感のあるできだった。

そこには、劇団四季の連中の他、元日劇の立川真理なども出ていて、彼女たちくらいしか、歌って踊れる女優はいなかったのだ。

今とは、相当に芸能界の事情は違っていたのだと言える。

現在では、AKBをはじめ多くのタレントは、歌って踊れることが最低の条件であり、訓練もで来ているようだ。

雪村いずみで、特筆すべきは、彼女は、創価学会員であり、おそらく一番早い方の芸能人だと思う。

 

 

 


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