指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

「女中映画」

2024年02月08日 | テレビ

かつて日本には、女中映画と言うジャンルがあった。左幸子の『女中っ子』が典型だが、若水ヤエ子の「女中シリーズ」もあった。小沢昭一によれば、女中と言うのは、「お女中」と言うように尊敬語だったが、いつの間にか差別用語になった。

ただ、つい最近まで、女中は普通にいたもので、私の元妻の家でも、そう裕福ではなかったようだが、いつも女中がいたそうだ。それだけ、若年の女性の人件費が安かったからだろう。

だが、差別用語のなったので、1976年の森昌子主演の映画化に時は、左幸子と同じ原作なのに、『どんぐっ子』に替えられた。

             

最近の女中映画と言えば、テレビの市原悦子主演の「家政婦は見た」シリーズである。

これは、テレビ、マスコミが持っている「のぞき見」的本質をよく生かしたシリーズだったと思う。

世田谷線沿線にある家政婦紹介所にいる市原悦子主演で、主に富豪の家の裏を暴く筋になっている。

録画で2本見たが、一つは衆議院議員長門裕之の家と、その死後に、実の息子と秘書のどちらが後継者になるかで、佐藤B作のやりすぎ演技が大いに笑えた。

もう一つは、往年の大女優大空真弓の、カムバック映画の制作を巡るドラマで、監督が藤田敏八、製作は村井国夫で、その他カメラマンとして中尾彬等が出てくる豪華キャストで、意外な新人女優がデビューするかという、『女優志願』的ストーリーだった。

どちらも、最後の結論を出さないのは上手いと思えた。

見る者の興味は、家ののぞき見にあるわけで、最後はどうでも良いからだ。

製作の柳田博美は、大島渚のテレビ映画もやった方だが、大映テレビで活躍されていた。

藤田も、最後は役者で結構やっていたんだなあと思って見た。