指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

『阿片戦争』1959

2012年10月20日 | 映画

1959年に中国で作られた、阿片戦争を林則徐を主人公として描く作品。

特に、歴史的経緯については、変わったところはないが、清朝の官僚たちの「官僚主義的振る舞い」が面白い。

英国の横暴は言うまでもなく、このやり方はひどいが、それが19世紀の帝国主義というものであり、それを許されることとして、20世紀に遅れてきた帝国主義国の日本が行ったことは、まことに愚かなことである。

清朝内の派閥抗争で、林則徐は更迭され、中国軍は英国軍に敗退する。

だが、民衆のゲリラ軍が蜂起し、英軍に立ち向かう。

外国の侵略への戦いは続く、ということで終わる。

まだ、日本の侵略を撃退した記憶が残っていたいた時代の映画だろう。

映画館は、新宿の元昭和館の K’Sシネマ


これも、もうひとつの「血脈主義」ではないか

2012年10月20日 | 政治

作家佐野真一が週刊朝日で、橋下大阪市長の出自に触れたの記事に対する、橋下市長の記者会見をテレビで見た。

書店に行くとすでに売り切れだった。

記者会見の中で、橋下市長は、朝日新聞の大阪市政記者室の記者に対し、

「週刊朝日の100%出資の親会社である朝日新聞の責任がないのか」と激しく追求していた。

これは、よく考えれば、「親会社は、子会社に100%セントの責任がある」という、もう一つの血脈主義である。

親会社は、子会社の行為に対して責任があるだろうか。

勿論、経理上の連結決算の責任の範囲になるだろうが、それもあくまで親会社の株主総会で問題になるだけであろう。

第三者が親会社に対し、子会社の行為にも責任を取れ、いうのは非常におかしな、通らない論理だと思う。

 

行政の場合は、親会社である市役所と子会社の外郭団体との関係は地方自治法等で定められている。

50%以上の出資、出捐等をしている場合は、報告義務団体として議会に報告して議会による監査の対象になる。

また、それ以下の団体については、「報告団体」として議会への報告義務がある。

だが、このことは外郭団体の法人としての個別性を認めていることであり、たとえ外郭団体で問題があったとしても、それがすぐに市役所や市長の責任になることはない。

あるとすれば、「外郭団体の監視を強化せよ」という程度の意見がつくくらいである。

報道でしかその内容は分からないが、週刊朝日の記事にはかなり問題があるようだが、橋下大阪市長の「江戸の敵を長崎で」的な、もう一つの血脈主義にも首を傾げざるをえない。

 

 


香道は難しい

2012年10月20日 | その他

7月から、カルチャーセンターで香道を習っている。

始めた理由は、小さい頃から嗅覚に少々自信があったからだ。

大学生の頃、家で貰い物のリンゴを食べていた。そのとき、リンゴにかすかにモミガラの匂いがした。

そこで、「美味しいけれど、籾殻の匂いがするね」と言ったが、皆が「ええっ」という顔をした。

その時、兄嫁が言った。

「これリンゴ箱に籾殻を詰めて送ってきたの、よくわかるわね」

 

人間の感覚には、視覚、味覚、聴覚、触覚等があるが、嗅覚は触覚などと同様に比較的原始的な感覚らしく、私は原始的な人間のようだ。

そこで、嗅覚を活かして香道を始めることにした。

教室は、泉山御流の小林芳香先生、まだ4回目だが、香道の奥深さに驚いている。

主に、組香という、あらかじめ数種類のお香を聴き、その後に順番を替えて再度お香を聴き、その順のお香がなんであったかを当てるもの。

因みに、香道では、お香の匂いをかぐことを、聴くという。

一般に、西欧やインドのお香は、きわめて匂いの強いもので、その違いはすぐにわかるものだ。

だが、日本の香道でのお香の匂いの差異は、きわめて微妙で小さく、容易には判別できない。

しかも、組香でも、順に回されてきたお香の匂いを記憶しておかなければならない。

だが、匂いを記憶しいておくためには、言語表現に換えておくことが一番簡単だが、匂いほど言語表現することが難しいものはない。

4回受けて、当たったのは、1回だけで、香道の奥深さを知る次第である。