いよいよ、新型コロナのワクチン接種が試験的に明日から始まる、とのことである。
毎年5月に私がいた大学院の研究室のメンバーが集まっていたが、去年は、新型コロナで中止した。メンバーの中で73歳の私が一番若く、80代が中心である。高齢者のワクチン接種が4月から5月にかけてであるので、今年も中止にせざるを得ないであろう。
全世界的に、各国政府は、集団免疫を作るため、ワクチン接種を進めている。「個」ではなく、人類という「種」の論理に立てば、それは正しいのであろう。
ウラジーミル・プーチンは用心深い性格だから、ロシア開発の新型コロナのワクチン接種を受けていない。しかし、ロシアは外交戦略としてロシア開発のワクチンを外国に売り出そうとしているという。
テレビで、新型コロナのワクチン接種は特に痛くないと言っていた。インフルエンザのワクチン接種は皮下注射である。いっぽう、新型コロナでは筋肉注射である。海外の接種の映像では、肩を露出して腕の付け根にずぶりと垂直に注射している。しかし、それほど痛くないそうである。
感覚神経は体の表面、皮膚や皮膚の直下に集中している。したがって、筋肉注射だからといって、皮下注射より痛いことはない、というのは納得できる。
私は心臓の冠動脈が石灰化して詰まってカテーテル治療をした。カテーテル治療とは管(くだ)を手首や脚の付け根から血管に突っ込み、心臓まで誘導し、そこから冠動脈に行きつき、管の中にひそめていた道具で治療するのである。私の場合は、1回目の治療ではドリルで冠動脈の石灰を粉々にし、2回目の治療ではステントが狭窄部分に置かれた。
カテーテル治療では、挿入部分だけに部分麻酔を行う。血管内をカテーテルが通るのは振動を通じてわかるが、感覚神経がないから痛くはないのである。
もちろん、痛さは、感覚神経から伝達された刺激を脳で感ずるのであって、個人差が大きい。筋肉注射だからといって、痛くないわけではない。
副反応(副作用)がなければ、ワクチン接種は益があって害はないということになる。東大先端研の名誉教授、児玉龍彦によると、メッセンジャーRNAを使ったファイザー製薬のワクチンは、理論的には、これまでの生ワクチン、不活性ワクチンに比べて、副反応が少ないという。私はこの「理論」というやつがわからないが、新型コロナの遺伝子のなかで、人体に無害だが抗体を作る遺伝子の部分を切り出しているからだという。理論物理を専攻した私は、「理論」ではなく、「実験結果」を信じる。
テレビによれば、アナフィラキシーなどの重大な副反応はないとのことである。あるいは、重大な副反応は、インフルエンザのワクチン接種より、ちょっと多めなだけ(約10倍)であるという。多くの場合は、接種後15分に重大な副反応が現れるから、接種後15分間その場に残っていて、副反応がでたら手当を行えば良いという。そして、ほとんどの場合、緊急処置をすれば、死ぬことはないという。ただし、危険のあると思われる人たちが想定でき、事前に問診が行われるという。
このように限定がつぎつぎと出てくると、「重大な副反応はないことはない」が、真実であろう。事前の問診がだいじである。
テレビによれば、ちょっとした副反応は「良薬くちに苦し」で、害より益があると、我慢するしかないという。接種した部分が痛くなるとか、頭痛がするとか、熱が出るとか、2,3日仕事にならないとかは、たいしたことのない副反応であるという。
きのう、NPOの同僚とワクチン接種について話し合った。子どもたちを相手にしているから、ワクチン接種が始まったら、同調圧力に負けて接種するしかないね、害より益があると信じてね、と。