猫じじいのブログ

子どもたちや若者や弱者のために役立てばと、人権、思想、宗教、政治、教育、科学、精神医学について、自分の考えを述べます。

トンガ海底火山大噴火に伴う津波を予見できなかった気象庁

2022-01-16 22:27:54 | 科学と技術

きのう、トンガの海底火山の噴火によって引き起こされた津波の日本到達を気象庁が予測できなかった。津波が到達してから気象庁は津波警報をだした。

気象庁が津波を予測ができなかったのはある意味ではしかたがない。これまでになかったことだから、予測できないこともあるだろう。責めるわけにはいかない。

しかし、深夜の午前2時の気象庁の記者会見がいただけない。弁解が先だち、起きている事象の説明がほとんどなかった。そして、起きた事象は「津波」でないとまで言う。津波でないが、津波の警報システムを使って、津波の警報を発信したと言う。

たぶん、海底火山の噴火があったとき、どうすればよいかのマニュアルが気象庁になかったのであろう。また、津波予測ソフトは地震のマグニチュードと震源の深さと位置の情報がないと機能しないのであろう。

しかし、日本以外の太平洋沿岸諸国は津波の警告を出していた。日本はわざわざ津波が来ないという予測を津波到達の前にメディアに流していた。

今までない事態に対してどう行動するのかが、その人の能力である、と私は思う。

海底火山の噴火がどうやって津波を引き起こすのか、という機構がわからなくても、海底でこれまでに例のない大規模な噴火が起きたのだから、津波ということを心配する人が気象庁にいても良かったのではないか、と思う。

トンガの海底火山の噴火は、気象庁の観測衛星「ひまわり」にも、アメリカの気象衛星NOAAにも映っていた。噴煙の影を見ると、噴火は2段の重ねの爆風を引き起こしている。水平方向に広がる噴煙の直径は300kmを越えている。

トンガの大噴火は日本時間で午後1時10分ごろ、日本の奄美大島に津波が到達したのは、午後11時50分だから、日本到達に10時間と40分かかっている。トンガと日本との距離は、8150 kmであるから、時速800km弱で到達したことになる。太平洋を伝わる津波としては普通の伝達速度である。決して音速で伝わったのではない。

大気中を伝わる波は、周期が短かろうが、長かろうが、衝撃波であろうが、音速で伝わる。気圧の変化が日本に音速で伝わったが、海面の波は普通の津波の速度で伝わったのである。

気象庁は、潮位の変化が10分前後の周期を示していたことを、津波でない証拠にあげていたが、周期をもって津波か否かを論ずるのは不適切である。

大きい変動がごく短時間で起きる現象では、発生する波の高周波成分が大きくなる。これを衝撃波ともいう。すなわち、突然の海底火山の大噴火と、比較的ゆっくり海底で断層が広がる大地震とでは、発生する波の周期は異なる。

発生の機構にかかわらず、潮位が大きく変動すれば、津波とすべきである。爆風が上から波を引き起こしたのか、噴火が下から海面を押し上げたかは、津波を警告してから、ゆっくりと議論すれば良いのである。

いままでの気象庁のマニュアルやソフトではどうしようもなかったというのは本当だろう。しかし、マニュアルに従わないで判断できる「能力のある」人が他国にいて 日本にいなかったのも本当だと思う。

日本人が「能力がない」と私は思わない。ただ、気象庁は「能力のある」人を雇わないだけだ、と思う。「能力のある」人は、慣例やマニュアルに従わず、常識に従う人である。常識があれば、いままでに例のないことが起きたら、マニュアルになくても、心配して情報を集めるはずである。

[補足]

1月18日の朝日新聞が、トンガで最大15メートルの津波があったと報道していた。15日、トンガとの通信が途絶えたというのに、トンガには80センチの津波しか起きなかったというニュースだけが、世界をめぐった。

いま、トンガの港湾施設が使えないとか滑走路が使えないというニュースが世界をめぐっているが、そんな施設は昔なかったわけだから、それでもトンガ支援はできる。港湾施設がないときは、大きな輸送船からボートを下ろし、ボートで島に物資を運べる。また、滑走路がなくても、パラシュートで上空から物資を落とせる。

教育の欠点は、教えられないことをできないと人びとが思うようになることだ。常識をもって、自分の頭で考えることの重要性を、トンガ海底火山噴火の事例は物語っている。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿