きょうの朝日新聞4面に注目すべき記事『元首相の介入 石川県知事選』がのった。
地方でよくある、いわゆる保守分裂選挙、自民党内のゴタゴタなんだが、つぎの記述が気をひいた。
《 2月8日、日本維新の会が馳氏の推薦を打ち出した。安倍氏は決定の直後、周辺にこう語ったという。「私が維新に頼んだけどね。情勢調査も良くなってきた」。》
これは、安倍晋三が日本維新の会とのパイプがあるということを誇っているということである。
ことしの1月17日の岸田文雄首相の施政演説のあと、国会質問で日本維新の会が立憲民主党より激しく岸田を攻撃していた。昨年の衆議院選挙では、日本維新の会は自民党の公約に一番近かった。だから、同じ保守の日本維新の会が岸田政権を攻撃することに違和感があった。
そのときの日本維新の会の選挙公約をひろってみよう。
「世界平和に責任が果たせる国に向け、防衛費のGDP1%枠を撤廃し、テロやサイバー・宇宙空間への防衛体制を強化する」
「解雇ルールを明確化するなど規制改革で労働市場の流動化・活性化も促す」
「廃炉技術の伝承と使用済み核燃料の有毒性低減のため、小型高速炉など次世代の原子炉の研究開発を強化・継続」
いま、考えると、安倍が岸田を恫喝するために、日本維新の会に激しい国会質問をするように仕向けたのでは、という疑念を私はもつ。
新型コロナの件でも、岸田は、安倍や菅義偉の意見をお伺いに出かけている。
もちろん、岸田は、安倍や菅の無茶ぶりに いじめられている ふりをして、反安倍や反菅の同情を集めようとしているのかもしれない。そうではなく、安倍は、安倍派を固めるために、自分の影響力を必要以上に誇っているのかもしれない。
どちらにしろ、健全な政治とは言えない。
私は、きのうの朝日新聞『(耕論)国民的議論 できるもの?』でニールセン北村朋子が紹介してデンマークの政治風土をうらやむ。政治は駆け引きや勝ち負けを争うものでもなく、だれでもが普通に参加できる日常的な議論にもとづいて政治が行われてこそ、民主的社会ではないか。
[補遺]
地方で保守分裂のゴタゴタが起きるのは、1つは野党が弱いということ、もう1つは、国会が国民の代表であることを自民党幹部は無視し、中央の都合で自民党候補を決めることである。石川県知事選の場合、安倍晋三など中央が決めた候補が馳浩で、地元が押すのは山田修路である。
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