猫じじいのブログ

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ディケンズ原作の映画『どん底作家の人生に幸あれ!』の配役に驚く

2022-02-03 22:21:26 | 映画のなかの思想

昨夜、2019年公開のコメディ映画『どん底作家の人生に幸あれ!』をテレビで見て、その配役に驚いた。新型コロナ感染拡大のなかで公開されたので、ウィキペディアによると、まだ、映画製作費を回収できていないが、映画批評家の受けは良い。

映画は、ヴィクトリア朝時代を代表する英国の人気作家チャールズ・ディケンズの半自伝的長編小説『デイヴィッド・コパフィールド(David Copperfield)』を原作としている。英文科卒の私の妻もあまりにも長くて読みきれなかったという原作を、映画は思い切って短く書き換え、120分のなかに抑え込んでいる。ちなみに、岩波文庫は原作の翻訳を5冊に分冊している。新潮文庫は4冊に分冊している。

原作では、主人公デイヴィッドをはじめ、みんな生粋のイギリス人であるが、この映画ではそうではない。人種という概念を打ち破っている。ナスにウリがなっても、トンビがタカを生んでも構わないという感じの配役である。親子で人種が異なる配役である。

デイヴィッドにはインド系イギリス俳優のデーヴ・パテールをあてている。11年前に『スラムドッグ$ミリオネア』に出てていた名子役である。デイヴィッドが思いを寄せているアグネスにはアフリカ系俳優のロサリンド・イレアザルをあてている。その父親には、香港系俳優のベネディクト・ウォンをあてている。また、デイヴィッドの悪友ジェームスの母親である貴族には、アフリカ系のニキ・アムカ=バードをあてている。

この人種という思い込みを打ち破る配役で、ヴィクトリア朝の上流社会の気取りを、笑いものにするコメディである。

ディケンズは大衆に人気があったというから、多分、原作にも上流階級をコケにするところがあったのではないか。私は、早速、新潮文庫の原作の翻訳を図書館に予約した。



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