猫じじいのブログ

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原発事故を反省しない日本政府にオリンピックを開催して欲しくない

2021-03-06 23:00:09 | 原発を考える


3月11日が近づくと、10年前の東日本大震災と原発事故を思い出す。

2011年3月11日、大地震が起きた日は、曇りのどんよりした空であった。横浜の集合住宅7階にある私の住まいは大きく揺れた。妻はちょうど外にいて、私のいる建物が左右に大きく揺れるのを目撃していた。そのころ、地震で送電線鉄塔も倒れ、高さ20メートルを超える大津波が福島第1原発を襲い、緊急停止していた原子炉を冷やせないという事態が生じた。その日、大津波に多くの人が呑み込まれる一方で、原発のメルトダウンが始まったのである。

新型コロナの感染爆発より、私にとって重苦しい日々であった。悪夢のような日がつづいた。福島の多くの人が、メルトダウンした原発から吹き出る放射能を避けて、逃げ惑ったのである。

ところが、テレビをみると、あの原発事故に何の反省もせず、菅義偉首相はポンポンと死者たちに手を合わせて、それで忘れてしまおうとしている。

私が、ドイツのアンゲラ・メルケル首相を尊敬するようになったのは、福島第1原発事故を受けて、彼女がすぐに原発事故の倫理委員会を設置し、2011年6月6日に、当時17基あるドイツの原子炉のうち、8基を、即、閉鎖し、残りは2022年12月11日までにすべて閉鎖すると決定したのである。

去年までに、さらに、3基廃止されている。きょうの新聞によれば、ドイツ政府はスウェーデンやドイツの電力会社、4社と、それぞれ、原発廃止に伴う補償問題で合意に達したという。いよいよ、原発の全廃の実現が近づいている。

日本政府やメディアは、原発を廃止すれば、石炭などのCO2排出が増えると、ドイツ政府の悪口を言っているが、ドイツの連邦会議は2038年までの石炭火力発電所を全廃する『脱石炭法案』を、昨年の7月3日に可決・成立させている。

日本を除く各国は、原子力も火力も使わない方向に順調に転換しているのだ。

メルケル首相は、新型コロナ感染対策でも、リーダーシップを発揮している。昨年の彼女の新型コロナ対策のスピーチにも心が動かされた。

ところが、安倍晋三はオリンピックを使って、原発事故を風化させようとし、日本の原発依存体制を改めようとしない。

原発事故後、日本では、一度、すべての原発が稼働しなくなったのに、政府は、いま、つぎつぎと再稼働している。去年のIAEAの報告書によれば、日本の54基あった原子炉のうち、33基を動かすことになっている。そして、経済産業省は、日本の電力の20%から22%を原発で満たすという、長期計画を発表している。IAEAの報告書によれば、原発事故の前の2010年の原発の依存率も29.21%であった。すなわち、原発事故前に復帰するのが、自民党政権の目標である。

安倍晋三は、世界で一番厳しい規制で原発を稼働しているという。1カ月ほど前、原子力規制委員会の前委員長は、「世界で一番厳しい」というのは事実に反するから言わないで欲しいと苦言をのべていた。

6,7年前、安倍晋三は、福島第1原発の汚染水がコントロールできていると言って、「おもてなし」の滝川クリステルを使って、たぶん、オリンピック関係者にわいろを払って、東京オリンピックを引っ張ってきた。

そして、安倍晋三はうれしそうに、リオ・オリンピックの閉会式でマリオの扮装して、電通との蜜月を示した。その後、滝川クリステルは環境相の小泉進次郎と結婚した。一昨年、オリンピック関係者にわいろを払ったという記事がでたが、どうなったのだろうか。

いまだに、福島第1原発の汚染水がコントロールできていない。原子炉はメルトダウンしてデブリになっている。中性子を吸いとるホウ素いりの冷却水をデブリに注いでいるが、三重水素(トリチウム)を含む水となって戻ってくる。東芝のALPS汚染水処理システムでトリチウムが除去できないといって、福島第1原発に汚染水タンクが立ち並ぶ。

しかし、東芝のALPS汚染水処理システムで除去された放射能物質はどこに保存されているのだろうか。また、どうして、いまだに、注ぎ込んだ冷却水の水素がトリチウムになるのだろうか。

放射能物質を除去といっても、ほかに移動するだけで、人工的に消去できない。東芝がウソつきなのか、東電がウソつきなのか、それとも、経済産業省がウソつきなのか。汚染水から放射能を除去するというストーリーそのものが意味がないのである。

さらに、水素が三重水素になるのは、中性子を吸い込むからで、デブリが中性子を放出しているとしか、考えられない。すなわち、核分裂連鎖反応が小規模に いまだに起きているからだ。だから、原子炉の解体撤去は危険で進めることができない。最終的には、チェルノブイリ原発事故処理のように、コンクリートの壁で原子炉建屋全体を覆うしかないのかもしれない。今後、原発事故処理が300年つづくだろう。

それなのに、安倍晋三は昨年1月20日の内閣総理大臣施政方針演説でつぎのように言う。

〈2020年の聖火が走り出す、そのスタート地点は、福島のJヴィレッジです。かつて原発事故対応の拠点となったその場所は、今、我が国最大のサッカーの聖地に生まれ変わり、子どもたちの笑顔であふれています。〉

安倍晋三は大うそつきで非情な極悪人だ。他の国は、太陽光発電や風力発電の技術を高め実用化しているのに、日本ではそれを抑え込んでいる。そして、原発事故を風化させ、何もなかったことにしようとしている。菅義偉はそれを継承している。

先日、森喜朗の女性蔑視発言で、自民党政権の復権とともに起きた闇の世界の復帰が、明るみに出たが、その象徴といえる東京オリンピックは開催して欲しくない。

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