きのう、2月16日、加藤勝信厚生労働大臣が、官邸で開かれた専門家の会議で、国内の状況については流行の手前の「国内発生の早期」との認識で一致したことを明らかにした。
この間、加藤のほうが、安倍晋三よりも、新型コロナウイルスに関してリーダシップを発揮している。どちらが首相かわからないように見える。横浜港にいる集団感染のクルーズ船の乗員全員の確定検査を検討と加藤は1週間前に言っている。なぜか、そのとき、官邸側はそれを否定した。
「新型コロナウイルス感染者は軽症」ばかりが、メディアで強調されている。きのうの夜のフジテレビ『Mr.サンデー』で、ゲストの専門家の発言を聞いて、82歳の木村太郎が怒った。
「僕は大体、感染したら一番先に死ぬ世代なんですよ。その人間から見てみますと、なんにも分かっていないのに、恐れるなと言われているわけですよ。インフルエンザより怖いかその程度というが、インフルエンザって、関連する死者が年間、日本だけで1万人以上。それから潜伏期間が1日から40日までと説がある。それからさっき言った何人にうつりますかって、2人から6人まで変わって。とにかく何もまだ分かってないんですよ。それなのに手を洗って、とりあえずマスクしてれば、大丈夫とはいわないけど、警戒してくださいねって、言われても」
「インフルエンザというのはワクチンもあるしタミフルもあるんですよ」。
NPOで私の担当の子は新型コロナウイルスが怖いという。デマばかりで、どうして いい加減なことをいうのか、と怒っている。
専門家の会議は「国内発生の早期」と言うが、これは、これから本格的に流行するという意味である。検疫では流行を もう防ぎようがないということである。
きのうのテレビ朝日の『日曜スクープ』を聞いても、岡田晴恵以外のゲストは、中国の悪口ばかりを言っていて、これからの新型コロナウイルス流行が他人ごとになっていた。
「中国の医療体制が低い」「かかっても軽症だ」といわないで、診断と治療の体制を整える必要がある。木村太郎が怒るように、軽症の人もいるし、重症の人もいるのが事実だ。軽症の感染者が動き回れば、新型コロナウイルスをまき散らすことになる。軽症の人がいるから、かえって、厄介な感染症である。
診断はできるのだから、これから1万人が感染しても全員診断できる体制を整える必要がある。また、ウイルス学者の岡田晴恵がいうように症状に合わせての治療システムを確立する必要がある。軽症なら自宅待機とか、肺炎症状がでたらその重さで一般病院か専門病院かを割り振るとか。対処療法でも、何もしないより ましである。感染者の急増に対応できるシステムを構築しないといけない。
ひとりが何人にうつすかといっても、それは結果論。感染した人がどのような行動するかによって、何人にうつすかが変わる。軽症の人が多いというのは、それだけ、感染した人が動き待ってうつす可能性がある。感染者が動き回らなければよい。そのためには、まず、診断が先だつか、あるいは、診断がなくても、具合が悪ければ、仕事を休めばよい。
私は昨年の12月のはじめ、NPOで咳をする子供の相手をして、3日後に風邪を発症した。その子にマスクをさせようとしたが、マスクするのを嫌がってせず、私は飛沫を1時間近く浴びてうつった。発症して、37度台の微熱がでて、3日間仕事を休んだ。
風邪をひいたらまず出勤しないがエチケットではないか。
新型コロナウイルスは感染しても無症状、あるいは、軽症だという。
本当に無症状なのか。体がだるくないのか。微熱がないのか。咳が出ないのか。鼻水がでないのか。無症状だとすると、どうやって、他人に新型コロナウイルスをうつすのか。
軽症とはどんな症状のことをいうのか。普通の風邪とどうやって区別するのか。微熱が続く日数で判断するのか。
無症状の新型コロナウイルス感染者がいるとなると、結局、PCR診断しかないのではないか。
テレビでは、37.5度以上が4日間続くと、新型コロナウイルス感染を疑ってよいという。この症状は肺炎の早期状態を言っているだけで、結局、PCR診断しかないのではないか。
いろいろな病気でも微熱が出てくる。熱がでたら、かかりつけの医師にみてもらい、診断を受け、医師が肺炎あるいは新型コロナウイルスを疑ったら、保健所に連絡し、医療設備の整っている地域の病院に患者を紹介するのが、適切な手順ではないか。
診断と治療の立場からの、信頼できる情報が欲しい。
[追記]
けさ、2月17日のテレビ朝日の『羽鳥慎一モーニングショー』で、厚労省はPCR診断をまだ公的機関に限定していると、出席者が怒っていた。民間によるPCR診断は、すでに、麻疹などの感染症などで使われている。新型コロナウイルスの塩基配列はすでに確定されており、各国でもその変異を含め確認されていて、検査手順も確立している。なぜ公的機関に限定するのか、根拠がない。このままでは、これからの流行に対応できない。
[追記]
けさ、2月19日の朝日新聞を読むと、厚労省の新型コロナウイルスの対応が、横浜港のクルーズ船を含め、右往左往していた様子がまとめられていた。「新型」であるから、右往左往するのはしかたがないか、気になる点が2つある。
第1点は、感染症を診断・治療してきた人たちの意見が尊重されていたか、厚生省官僚のトップは医療の知識がなく政治的配慮が優先され、海外からの批判でその場しのぎをしていたのではないかである。
第1点と関係するが、第2点は、対応の誤りを認めないだけでなく、隠ぺいするために、今もウソを上塗りしているのではないか、ということである。クルーズ船の環境が劣悪で、そこで感染が広がったと識者はみている。クルーズ船に乗り込んだ医療従事者がそれを言うと、排除をうける。また、検査で陰性症状を下船させ、そのまま公共交通機関で自宅に帰還させる方針は、クルーズ船内で感染が広がったということを否定するための政治決断ではないか、と疑いたくなる。
[追記]
2月20日のTBSゴゴスマで、東国原英夫が「若い人は新型コロナウイルスに感染しないと思っていたが、感染しているではないか」と言っていたのにびっくりした。
政府は国民がパニックにならないために、重症者になるのは高齢者か持病のある者だと言っているだけで、若者が感染しないとは言っていない。政府はわざと誤解するように広報しているようにも思える。これは混乱を生むから やめてほしい。
若者も子どもも感染している。たまたま、肺に新型コロナウイルスがつけば、誰でも肺炎になる。特効薬がないから、休息を十分にとって自己回復力にたよるしかない。確かに高齢者や持病のある人が不利になるが、若者だって重症化する危険がある。死ぬのは私のような糖尿病で心臓疾患のある高齢者だけではない。