『 ヘボのアルバム 』

“ヘボ”ちゃんをこよなく愛する蜂狂さんとのコミュウニケーションの場です・・・

      『 井伏鱒二 と “スガレ”追ひ(7)・・・ 』

2008-02-10 23:56:50 | Weblog
             


井伏鱒二の“スガレ追ひ”の話も終わりに近づいてきた。   この短編集を読んでいると井伏鱒二の人柄が覗える・・・何んとマァー、温厚な爺だったのだろう?

ホラ拭き吉川爺に次いで、登場するのは、阿智村の屋号『お下』の当主が、この村のトップクラスの蜂狂を紹介してくれる・・・という。
まず、登場するのは、大工、園原の安武さん・・・
この爺様は、“スガレ”の事を“ハエバチ”と呼んでいる。面白い事に、この蜂狂爺は、蝉や蛙の肉で蜂追いはしない。 檜や杉の皮に巣財取りに来る“ハエバチ”を追い掛け、見付けるという・・・何とまァ~~~
巣材の削り跡で、スズメバチかアカンバチか“ハエバチ”を判断出来るというのだ。“ハエバチ”に赤巣、白巣がある事を説いて居る。そして、赤巣の方が巣を大きくすると・・・  何処かの蜂狂達が言っている事と同じだワイ?
“ハエバチ”に似たヤツで、“スガラ”が居るという。“スガラ”とは、“ツヤクロスズメバチ”の事らしい。死に餌には付かず、専ら蚊や虻等の生餌を漁ると説いているから判断が付く。
次いで、蜂狂:米沢・山田さんからの聞書がある・・・
この蜂狂達のでは、“スガラ”の事を“タマ”と呼ぶらしい。所変われば品変わる!!!とは言ったものだ!!! そして、この辺には、“黄バチ”が居るという。。。“黄バチ”は、標高の高い所で熊笹の多い所しか生息しないと・・・
“黄バチ”は、多年生でミツバチと同じように越冬する?と説いているが、この情報は、実に、怪しい!!!   10日ばかり白骨温泉で湯湯治をし、透かしで“黄バチ”を仕留め、旅館の親父と真っ暗の夜、熊笹を分け、燻しに行ったという・・・“黄バチ”は獰猛だから夜でないと燻すのは難しい等と説いている所を見ると、たいした蜂狂ではなかったのでは?と、思いたくなる・・・   
“ハエバチ”には、2種類あって、早稲の方は“ピンピン”、晩生の方は“ブン”と呼ぶ・・・“ブン”の方が、性質がいいので、飼うのは此方だと・・・まあー、この辺は一端の事を言っている。。。
時々、螺旋状の巣を上げる事があるが、何故、螺旋状になるのか判らない?今までに5巣上げた事があるという・・・

阿智の一級と言われる蜂狂の話はこの程度であった。

伊那谷からの帰り道、井伏鱒二は、釜無川の鮎釣り場を見学し、志田甚五郎さんと言う人とバッタリ会う!!! 
明日は、甚五郎さんの“ヘボ講”を・・・ 
この逸話は面白い!!! 10分程腹を抱えて笑い転げた。。。  

写真は、Kanai邸から見た『井伏庵』・・・

 

     『 井伏鱒二 と “スガレ追ひ” (6) 』

2008-02-10 00:56:07 | Weblog
                


井伏鱒二は、それから、益々、“スガレ”にノメリ込んでいく・・・
より多くの情報を得んが為だ!!! 
諏訪近郊ではもの足りず、何処で情報を嗅ぎ付けたのか?伊那地方が本場だと!!! 此処ではかなり昔から『蜂の子』を食っているという・・・事まで嗅ぎ付けてしまったのだ・・・
著書『スガレ追ひ』に依ると、伊那の飯田市を中心に上郷、阿智辺りまで出掛けている。この頃は、真剣そのものの取材!!!録音器まで持参している。
産婦人科医の後藤さんと言う方に、長々“スガレ”の自慢話を聞いている・・・
録音器の操作ミスで、大方の録音ミスを犯してしまった事を悔いている。でも、幾らか入っていた録音をベースに延々と書き綴っている。

伊那詣では、果てしなく続く・・・
次に訪れた時は、透かしの実演を見たいが為だった。折しも、飯田の旅館で、大鹿村の蜂取り名人が、アカンバチに刺されて死んだという新聞記事を見て驚いている。直径60cmもあるアカンバチをビニール袋を被り取り上げての災難だったという・・・ 今の常識では、笑い話にもならない!!!
そして、翌日、飯田の米山さんの紹介で、上郷の吉川さんと言う老人に会っている。
井伏鱒二が、昨日の新聞記事の話をすると、吉川老人は、自分もアカンバチにこっ酷く遣られ、その甲斐あって今では、免疫が付き、幾ら刺されてもヘッチャラだ!!!等と自慢話をしている。 蜂狂っちゅうもんだ!!!  アハハ・・・
吉川老人は、アカンバチからススメバチ(どうやら『オオスズメバチ』の事らしい、が・・・)へと話は展開していく・・・ スズメバチの蛆は、腹を裂いて黒い腸綿を出さないと腹痛を起こす等と説いている・・・そして、アカンバチの子よりスズメバチの子の方が美味しいとまで・・・
話の中に、クマンバチが出て来るが、察するに『チャイロスズメバチ』の事らしい? 言って見れば異化物食いの爺様で、今日、よく見る蜂狂の先輩のようである!!!
面白い事に、吉川老人は、スズメバチ(オオスズメバチ)を飼育しているという。。。 根っからの蜂狂だったんだろう?
この地域には、大型スズメバチを飼育する風習があるのだろうか?    
此処で、井伏鱒二は書いているが、スズメバチは、田圃の鯉子をハントする!!!と・・・この事実を嗅ぎ取った吉川爺は、村人を掻き集め、滔々、御神木のサワラの洞にある巣を見付け、石油玉(?)を2日2晩焚いて掻き出したら、何と4貫5百匁もあったと・・・ 4貫5百匁?????  怪しいな? 何となく吹かれてるようにも思える?  此処が蜂狂らしい!!!

さて、目的であった『透かし』の事だが、9月になっても吉川爺は、井伏を『透かし』に連れて行ってやるとは言わなかった。そして、『ヂバチ』を飼う心得だけ話してくれたという。。。  ウウ~~~~ん?  何となく怪しげな蜂狂だ?
教えてくれた『ヘボ講』は、かなり幅広いものだが、怪しい御高説もかなりある!!! が、『ヒチガラ』といい、どうやら『ベッコウハナアブ』の事まで説いているから満更の蜂狂でもなさそうだ?  真意の程は判らない?

明日は、天竜峡の近くの阿智村の『竹林軒:お下』の家を訪ねた話を書いてみたい。   
後二回位でこのシリーズは終わりとしたい・・・

今夜も、また、深々と雪が降り続いている・・・ 綺麗な雪景色が見れている。
夜、雪降りを撮るのが好みになった・・・  アホカイナ!!!