井伏鱒二の“スガレ追ひ”の話も終わりに近づいてきた。 この短編集を読んでいると井伏鱒二の人柄が覗える・・・何んとマァー、温厚な爺だったのだろう?
ホラ拭き吉川爺に次いで、登場するのは、阿智村の屋号『お下』の当主が、この村のトップクラスの蜂狂を紹介してくれる・・・という。
まず、登場するのは、大工、園原の安武さん・・・
この爺様は、“スガレ”の事を“ハエバチ”と呼んでいる。面白い事に、この蜂狂爺は、蝉や蛙の肉で蜂追いはしない。 檜や杉の皮に巣財取りに来る“ハエバチ”を追い掛け、見付けるという・・・何とまァ~~~
巣材の削り跡で、スズメバチかアカンバチか“ハエバチ”を判断出来るというのだ。“ハエバチ”に赤巣、白巣がある事を説いて居る。そして、赤巣の方が巣を大きくすると・・・ 何処かの蜂狂達が言っている事と同じだワイ?
“ハエバチ”に似たヤツで、“スガラ”が居るという。“スガラ”とは、“ツヤクロスズメバチ”の事らしい。死に餌には付かず、専ら蚊や虻等の生餌を漁ると説いているから判断が付く。
次いで、蜂狂:米沢・山田さんからの聞書がある・・・
この蜂狂達のでは、“スガラ”の事を“タマ”と呼ぶらしい。所変われば品変わる!!!とは言ったものだ!!! そして、この辺には、“黄バチ”が居るという。。。“黄バチ”は、標高の高い所で熊笹の多い所しか生息しないと・・・
“黄バチ”は、多年生でミツバチと同じように越冬する?と説いているが、この情報は、実に、怪しい!!! 10日ばかり白骨温泉で湯湯治をし、透かしで“黄バチ”を仕留め、旅館の親父と真っ暗の夜、熊笹を分け、燻しに行ったという・・・“黄バチ”は獰猛だから夜でないと燻すのは難しい等と説いている所を見ると、たいした蜂狂ではなかったのでは?と、思いたくなる・・・
“ハエバチ”には、2種類あって、早稲の方は“ピンピン”、晩生の方は“ブン”と呼ぶ・・・“ブン”の方が、性質がいいので、飼うのは此方だと・・・まあー、この辺は一端の事を言っている。。。
時々、螺旋状の巣を上げる事があるが、何故、螺旋状になるのか判らない?今までに5巣上げた事があるという・・・
阿智の一級と言われる蜂狂の話はこの程度であった。
伊那谷からの帰り道、井伏鱒二は、釜無川の鮎釣り場を見学し、志田甚五郎さんと言う人とバッタリ会う!!!
明日は、甚五郎さんの“ヘボ講”を・・・
この逸話は面白い!!! 10分程腹を抱えて笑い転げた。。。
写真は、Kanai邸から見た『井伏庵』・・・