レハ・ヴィジョン(能美)装置を開発
福祉機器開発販売のベンチャー企業、レハ・ヴィジョン(石川県能美市)が、多目的トイレの使い方を外国語でも案内できる音声ガイダンス装置を開発した。目の不自由な人はもちろん、日本のトイレに慣れていない外国人観光客にも役立つという。訪日客の急増に伴い、公共施設などでトイレが汚れたり、誤って壊されるトラブルが増えているとされ、二〇二〇年の東京五輪などを控え、この装置が活躍する場面が増えそうだ。
装置の商品名は「ポッチUD-W」。利用者が多目的トイレに入ると、まず「音声案内です」という日本語音声が流れ、続いて英語、中国語、韓国語で言語選択ボタンを押すよう促す。英語を選択する丸いボタンを押すと、「カギの閉め方」「便座クリーナーでの洗浄方法」「水の流し方」などが英語の音声で伝えられる仕組みだ。
三角のボタンは中国語で、四角のボタンは韓国語。ガイダンス内容は変更もでき、改良を加えれば言語を増やすことも可能だという。
レハ社は一二三(ひふみ)吉勝社長が二〇〇二年に立ち上げ、視覚障害者用の色識別装置や音声案内装置の開発や販売を行ってきた。「ポッチシリーズ」と題した音声ガイダンス装置は、高速道路のサービスエリアや、大型量販店など全国で使われている。
こうした中、一二三社長は、近年の外国人観光客の増加に伴いトイレのトラブルが多発していることを知った。日本トイレ協会(東京)理事で、トイレを研究する団体「アントイレプランナー」の代表を務める白倉正子さんによると、日本のトイレの構造を知らない人が、洋式便座に靴のまま上がって便座を割ったり、向きを間違えて用を足すため便器や床が汚れる被害が多発しているという。水洗ボタンと非常呼び出しボタンを間違えて押し、警備員が駆けつける事態も珍しくないという。
このため一二三社長は外国語にも対応できるガイダンス装置の新シリーズ開発を一四年から開始。昨年、ポッチUD-Wの完成にこぎ着けた。既に郊外型の大手スーパーなどから納品の依頼が来ており、JRや東京、名古屋の地下鉄運営会社などからも相談があるという。
効果を確かめるため、近く関東地方の高速道路サービスエリアトイレ内に装置を取り付けて実証実験を行う予定だ。
一二三社長は「外国人観光客には壁に説明文をはるよりも、音声の方が伝わると思う。これまで医療福祉機器のみを扱ってきたが一般機器にも販路を広げたい」とビジネスチャンスの到来を期待している。
レハ・ヴィジョンが開発した外国語対応のトイレ用ガイダンス装置と開発者の一二三吉勝社長
2016年1月23日 北陸中日新聞
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます