県は、知的障害者を対象とした全国唯一の全寮制の職業能力開発校「春日台(はるひだい)職業訓練校」(春日井市)を三月末で閉鎖することを決めた。一九六九年の開校以来、障害者の就職を支えてきたが、近年は県による他の支援策も充実し、定員割れが続いていた。県は関係議案を県議会二月定例会に提案する。
同校では、義務教育を修了した知的障害者が一年間、機械や縫製、紙器製造、木工などの科目に分かれ訓練する。訓練生は集団で寝食や運動、掃除洗濯をこなしながら自主性と社会性を身に付け、就職率も高い。全国障害者技能競技大会(アビリンピック)でも、多くの入賞者を出してきた。
一方、時代の変化とともに習得技術を生かせる就職先が減り、特別支援学校で中等部から高等部への内部進学率が上昇したことなどから、最近は定員割れが続いていた。二〇一七年度は定員五十人に対し十四人と職員数を下回り、厳しい運営を余儀なくされていた。
障害者への就職支援では、県は一七年度から、健常者向けの高等技術専門校(名古屋、岡崎市)に知的障害者コースを、特別支援学校二校(一宮、春日井市)に職業コースをそれぞれ新設。社会福祉法人などに委託する「障害者就業・生活支援センター」も十二市町に開設され、地域内で小まめに就労を支える体制が整ってきたことから、春日台職業訓練校の閉鎖を決めた。
同校や医療機関、入所施設などの複合拠点「県心身障害者コロニー」は一九年三月から、施設を統廃合するなどして「医療療育総合センター」に再編される。同校はこれに先駆け、半世紀近い歴史に幕を下ろすことになり、安藤秀之校長は「多くの関係者の尽力で三千人以上の卒業生を送り出せた。時代のニーズがなくなってきたのであれば、仕方ない」と話す。三月六日の卒業式で、ささやかに閉校式典をするという。
県が3月末での閉鎖を決めた春日台職業訓練校
2018年1月26日 中日新聞