ゴエモンのつぶやき

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「精神科患者の風邪診察を拒否」障がい者調査

2015年04月07日 02時17分40秒 | 障害者の自立

福岡の団体、人権教育や倫理教育の充実を訴える

  福岡市の約40の障がい者関係団体で構成する「福岡市に障がい者差別禁止条例をつくる会」が、3月24日に公表した障がい者の差別に関する体験のアンケート結果が反響を呼んでいる。アンケート結果には、社会生活一般で受けた体験に加え、「風邪のため内科を受診したが、(統合失調症で)精神科に通院していると言ったら診察を拒否された」、「けいれん重積の子供がけがをして病院に行ったら、障がい者は診察していないと言われた」などの福祉や医療現場での暴言や差別的な対応を挙げた回答も多かった。

 同会の福祉医療部会長を務める服部美江子氏は、「精神的に落ち込んでいる時に言われる言葉は、特に傷つく。障がい者の側が過敏になりすぎるケースや、医療者の忙しさや厳しさもある。それでも言葉の一つひとつに人として向き合う時の姿勢が必要だ」と語り、人権教育や倫理教育の充実を訴えている。同団体は、この報告書を県や市などに提出し、障害者差別禁止条例の制定を求める予定。

 アンケートは、障がい者への差別の実態を明らかにする目的で、昨年4月から7月にかけて福岡市に居住もしくは勤務する障がい者とその家族・関係者を対象に実施。10歳未満から70歳以上まで、1148人から1132件の事例が集まり、60人以上の障がい者、家族、弁護士が議論を繰り返してまとめた。

 質問は、「いやな思いをした」「悔しい思いをした」「理不尽な対応を受けた」「不利益に扱われた」経験について、福祉・医療のほか、交通機関・建物・商品、労働、教育などの各項目に分けて幅広く聞いた。福祉・医療に関するものでは、下記のようなものがあった。経験は10年以上前のものから最近のものまで含み、医療者の障がいに対する理解の不足や、障がいのため医療者に上手く説明できず問題になった例があった。

回答例(アンケート結果から引用)
・スタッフ(看護師さん)に、予診の際、子どもが発達障害の可能性があり、落ち着きがない事を説明していたが、先生(医師)には伝わっておらず、「お母さんのしつけが悪い」の言葉から診察が始まり、すごく悲しくなった。(広汎性発達障がい、母)
・手術の前に受診した際「入院時の付添はいるのか。付添がいないと入院は難しい」と言われた。(進⾏性筋委縮症による肢体不⾃由、本人)
・内科の受診した時(風邪のため)、精神科を受診していることをいうと、診察を拒否された。(精神障害・統合失調症、本人)
・腹痛でかかりつけのA病院へ行き、食あたりと診断されたが、翌日(日曜)に強く痛みを伝えるのでB病院で救急外来を受診した。血液検査もレ ントゲンもやらず、かかりつけのA病院が食あたりと言うなら間違いないでしょうと言って帰された。月曜になって、ふるえながら耐えがたい痛みを訴えるのでC病院へ行った所、盲腸で緊急手術が必要となり手術したが、一部癒着し、腹膜炎を併発、1ケ月の入院となった。(知的障がい・⾃閉症、父)
・病院(耳鼻科)に行く前に障害があることを伝えると受け入れを断られた。(ダウン症・無酸素性脳症・感音性難聴、母)
・当時のかかりつけ医に、前立腺がんの検査を希望した時、「異常が見つかったところで、どうしようもないでしょう」と言われ、検査を渋られました。「ともかく、状態を知りたい。」と言って受けさせてもらいました。もし前立腺がんが見つかっても、引きつけの発作があるため手術を受けられないと両親は思い込まされていて、精密検査を受けないまま、いたずらに心配していたようです。母親が亡くなった後、他の病気で地域の中核病院に入院し時に、「引きつけの発作があっても手術はできます」と、こちらの無知に驚かれたように担当医に言われて、私たち兄弟3人はびっくり仰天するとともに、安心した。元かかりつけ医は、その地域 の中核病院の内科部長経験者ということでしたが、知識不足だったのか、不熱心だったのか。私たち家族の長年の不安と心配を思い出すと、悔しい思いが今もします。(知的障害A、兄弟)
・出産した産婦人科の施設内で行われた『生後1ヶ月健診』を同時期にその病院で生まれた(健常な)赤ちゃん達と一緒に受けた。その時、別病院の検査により既にダウン症だとわかっていた。健診を行った小児科医は始めこの子がダウン症だと気づかず普通に語りかけていたが、母が「この子ダウン症です。」と言うと急に顔色を変え黙り込み、最後に「残念でしたね。」と言われた。(ダウン症、父母)

※一部省略。詳細は同会ホームページ

 また、病院での聴覚障がい者への対応の不十分さを指摘する声が多く聞かれた。代表的なものは、病院の待合室で聴覚障がいがあると告げても、呼び出しで対応してもらえず順番を飛ばされて長く待たされたり、胃のバリウム検査で言葉による体位移動の指示が聞き取れないために、検査を断られたり、検査中に叱責を受けたなどの回答があった。また、職員がマスクをしていて読唇ができない、などの声もあった。

・胃の検査を受ける為、病院に行った。胃のレントゲンは耳の聞こえない人はコミュニケーションが出来ないので、他の病院に行ってくれと言われた。(聴覚障がい、本人)
・病院では、こちらは難聴と伝えても、こちらが話せるので少しは聞こえると思われ、大きな声で言われるだけ。病気の事だから詳しく知りたいが 不安になる。(感音性難聴、本人)
・病院の呼び出しが聴こえない。病状説明、書いてもらっても細かいニュアンスが伝わらない。(感音性難聴、本人)
・総合病院の受付の方で、マスクをしている人が多い。分からないことを尋ねてもマスクをしてあると声がはっきり聞こえないので、「私は難聴なので、マスクをしてあると聞き取れません」と言うが、少し声を大きく言われるだけで、マスクを取られないので、説明が中途半端な理解で終わる。(難聴、本人)
・病院の手術室に入るとき、医師や看護師が紙で文字を書いていますが、患者である私が酸素マスクをかけて手が固定されていて、身の不自由さが相手に意思(疎通)が出来なかった。手話通訳士が入室禁止なので、看護師が指文字を読める様にしてほしかった。(感音性難聴・聴覚障害、本人)

 また、幼児期や成人の発達障がいを専門とする医師の不足や、障がい児が成人になり、子ども病院から転院する場合の受け入れ先の整備など制度面の不備を指摘する意見もあった。

 このほかにも、福祉窓口担当者や施設職員からの暴言や虐待があったとする声や、他の項目で、聴覚障がい者が電話での確認が取れないのでクレジットカードが作れないと言われた、などの社会生活一般を通じた体験も多く寄せられた。また、身近な家族や親族からの「死んでくれ」「産まなければよかった」などの暴言を言われた例もあった。

 服部氏は、医療・福祉項目での回答例について、「これまで表になかなか出なかった当事者や関係者の生の声がようやく出てきた。今回は、10年以上前のものも含んでいるが、一部の医療者の対応は変わっていないと感じる」と指摘、障がい者への理解を深められる研修や教育制度の充実が必要だとした。

2015年4月6日 成相通子(m3.com編集部)


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