■従業員20人解雇、出資者募る
甲府市上積翠寺町の温泉旅館「坐忘庵」(客室28室)が21日のチェックアウトを最後に休館した。施設の維持・改装に伴う資金調達が難しくなったためで、今後は出資者を募りながら再開を目指すが、めどは立っていないという。1月末に閉館した旅館「要害」に次ぐ措置。武田信玄公ゆかりの積翠寺温泉にあった2軒の宿が、いずれも姿を消した。
坐忘庵は「古湯坊」として明治時代から続いた伝統ある温泉宿。現在の建物は平成9年9月に完成した。だが、13年に創業家の法人が経営破綻。その後競売にかけられ、株式会社「坐忘庵」(保坂陽子社長)が落札。同社は建物を改装し、21年7月に開業した。
直近の売上高は約2億8千万円(28年2月決算)。開業当初から1、2割減少したものの、近年は横ばいで推移してきたという。
同社は浴室設備や客室の冷暖房、水回りなど「老朽化でお客さまが期待する水準を維持できなくなった。改装費用が調達できず休業を決めた」(保坂学専務)と説明している。
休館に伴い、正社員、パートなど約20人の従業員は、シェフら一部を除き解雇する。会社は存続させ、支援先を探す。
積翠寺温泉では、もう1軒の旅館「要害」も、施設維持費の将来的な負担を考慮し、1月末で営業を停止した。4月から障害者施設となる。
保坂専務は「積翠寺に1軒残された温泉旅館としての責任を重く受け止めている。早期の再開に務めたい」と話している。
2017.3.24 OBS大分放送ニュース
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