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ゴエモンのつぶやき

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未来担う貧民街の子へ激励 パラ五輪、砲丸投げ・フェヘイラ選手

2016年09月08日 01時54分34秒 | 障害者の自立

 七日(日本時間八日)開幕のリオデジャネイロ・パラリンピックに出場する陸上女子砲丸投げのホジアニ・サントス・フェヘイラ選手(44)は、母国ブラジルで「現役最後の投てき」に臨む。貧しい家庭で育ち、ひき逃げ事故に遭って十代で左脚を失ったが、シドニー大会で金メダルを獲得し母親に新しい家を贈ることができた。「あなたも夢をかなえられる」。貧困や障害にくじけそうな子どもたちへ、大切なメッセージを伝えるために。

◆競技人生20年、母国ブラジルで集大成

 生まれ育ったのは、ブラジル北東部の街レシフェ。母はタピオカの粉を丸めて売り、女手一つで八人を育てた。フェヘイラ選手は、家計を助けるために家政婦をしていた十八歳の時、歩道に突っ込んできたトラックにはねられた。運転席から降りてきた男は明らかに酒に酔っていた。通行人に銃を向け「近づいたら殺す」と叫んで逃げ去った。男はいまも捕まっていないという。

 車いすや松葉づえなしでは動けなくなり、引きこもっていた二十代前半。障害者スポーツの存在すら知らなかったが、地元のコーチから「練習を見学してみないか」と誘われ、障害者がプロを目指して特訓する姿を目の当たりにした。気持ちが動き、アスリートとして踏みだした。

 下半身に障害がある選手の投てき種目は、椅子に下半身を固定し、座ったまま投げる。上半身の強さに恵まれたフェヘイラ選手は二〇〇〇年のシドニー・パラリンピックの砲丸投げと円盤投げの金メダリストに。複数のスポンサーから支援を受けるようになり、〇七年、母親がずっと欲しがっていた新しい家を急逝する直前にプレゼントした。「それは私にとっての夢でもあった」と振り返る。

 現在のトレーニング場所は、リオ市のスポーツ教室「ビラ・オリンピカ」。貧民街の子どもの健全育成を目的に、市が設けた施設だ。生徒四千人が通い、このうち百三十八人は生まれつきや病気、事故による障害がある。

 「彼女はいつも子どもに声を掛け、私ができるならあなたもできる、と励ましてきた」と教室長のヘナト・オアゼンさん(64)は目を細める。

 フェヘイラ選手は「これより先はもう体が持たない。だからパラリンピック出場は今回で最後」。引退後は、二年前に自ら立ち上げた、障害者に運動を指導する支援団体の活動に力を入れながら、児童養護施設の設立を目指す。

 リオ大会では砲丸投げと円盤投げの二種目に出場予定。約二十年間の競技人生を締めくくる競技場では「目をつぶり、支えてくれた人たちを思い浮かべる」。そして力を出し切る姿を、未来を担う子どもたちに見せたいという。

    

スポーツ施設で笑顔を見せるフェヘイラ選手=本人提供         教室に飾られたフェヘイラ選手の写真を指すヘナト・オアゼンさん=リオデジャネイロで

2016年9月6日    中日新聞


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