第14回全日本スノーボード技術選手権大会(新潟県南魚沼市・3月2日〜5日)のアルペン男子部門に出場した平塚市役所スキー部所属の渡部亮さん(37)=代官町在住=が、総合1598点で準優勝に輝いた。2年前に患ったガンとの闘病を乗り越え、自身初の表彰台にのぼりつめた。
スノーボードのインストラクターや有資格者の日本一を競う同大会。全国から男女285人が参加した。
2日間の予選は、約200mコース上のウェーブをターンし、速さを競う「ショートターン」「フリーライディング」など4種目を実施。渡部さんは「いいペースだった」と、初日をトップ通過するも、2日目は柔らかな雪質に苦戦。予選2位で決勝に駒を進めた。
迎えた決勝戦。得意のショートターンでは、持ち前の集中力を発揮し、1位通過。最終種目は「上越のカベ」と言われる最大傾斜38度の会場で行われた。「緊張と恐怖心が出てしまった」とボードコントロールに苦労するが、上位をキープした。「昨年は5位だったので準優勝はうれしいが、最後のミスで2位だったので、うれしさ半分、悔しさ半分です」と振り返る。
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それは2015年夏、突然の宣告だった。「趣味のサーフィンをした後に耳に水が溜まり、病院で受診したら発覚した」と渡部さん。病院の検査結果は「舌ガン」だった。すぐ手術を決行するが、2カ月後に再発。再び手術を余儀なくされた。
闘病中は「何度も死にたいと思った」とポツリ。しかし「ガン患者や障害者に希望を与えたい」「諦めなければ夢は叶うことを伝えたい」――。その思いが自身の気持ちを支えていた。
術後は経過良好で、昨年から練習を開始。体重は62kgから52kgに減った。リハビリを重ね、昨年3月の同大会では5位入賞を果たした。同時に県内初となるスノーボードのデモンストレーターにも認定された。
渡部さんは「スノーボードのおかげで今がある。インストラクターとして、ウィンタースポーツの価値を高めていきたい」と意気込んでいた。
試合後に笑顔を見せる渡部さん
2017年3月23日 タウンニュース