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ゴエモンのつぶやき

日頃思ったこと、世の中の矛盾を語ろう(*^_^*)

<更生園虐待>防止法の理念 施設で共有欠如

2015年01月17日 01時06分30秒 | 障害者の自立

 湯沢市が運営する障害者支援施設「皆瀬更生園」で、2人の職員が知的障害者にノートを投げ付けるなどの虐待をした問題が発覚し、秋田県は近く、市に改善計画書を提出するよう指導する。2人とも20年以上勤務する40代のベテランだが、障害の特性に応じた対処法を十分に学んでいなかった。障害者虐待防止法の理念を施設として共有しようする意識の欠如が、虐待の背景にありそうだ。

<周囲にも恐怖感>
 「普通の人は毎日1万歩以上も歩けない。明らかに虐待だ」。女性職員から長時間の歩行運動を強いられていた女性入所者の実態について、秋田県南の障害者施設長はこう憤る。
 市などによると、この入所者は他人に迷惑を掛ける行動障害があったため、医師から以前、行動障害を起こす時間の余裕を与えないよう指導されていた。
 施設は自由な時間を制限するため、入所者との間で、肥満防止名目の歩行運動と漢字の書き取りを決まり事として口頭で「約束」した。だが、こうした対応は入所者の支援計画書やケース記録に記されず、親族にも知らされていなかった。
 秋田県社会福祉士会の和田士郎会長は「医師から指示されたのなら、保護者に説明して同意を得る必要がある」と対応を疑問視する。
 一方、男性職員の場合は、入所者を床に伏せ倒し、頬を平手でたたいた。入所者3人に争いがあった後、興奮した1人が向かってきた際の対応だった。
 県北の施設長は「平手打ちは、周囲の入所者にも恐怖感を与えたはずだ」と批判する。

<甘い指導認める>
 市によると、職員2人とも他の施設で勤務した経験はない。更生園として、2012年に施行された障害者虐待防止法の理念や対処法を共有してこなかった。
 立ち入り調査した秋田県障害福祉課の担当者は「更生園として、技能の向上や危機管理の取り組みが不十分だった」と職員の未熟さを指摘する。「障害者が興奮した時の対処法を職員が身に付けていなかった。研修の機会が十分設定されていたのに、職員に周知されていなかった」と話す。
 県障害福祉課によると、県内で虐待防止の研修会があっても、出席者が持ち帰って施設内の全職員に周知するとは限らないという。
 市福祉課も取材に対し、更生園に対する指導の甘さを認めている。
 秋田県知的障害者福祉協会の桜田星宏会長は「全職員や市町村が障害者の権利意識を高める必要がある」と力説する。

[皆瀬更生園の虐待問題]2013年4月、女性職員が女性の入所者にノートをぶつけて頬を切るけがをさせた。この職員は同じ入所者に対し、平日は1万5000歩、休日は2万歩の歩行運動を達成できないと食事を遅らせることが複数回あった。男性職員は14年4月、男性の入所者を床に倒し、平手打ちをした。市が14年12月、検討会議を開き、一連の行為が身体的虐待、心理的虐待に当たると判断した。

2015年01月16日     河北新報


正しい知識を広め、希望者は誰でも「胎児診断」が受けられる社会を

2015年01月17日 01時00分38秒 | 障害者の自立

 もし、あなた、あるいはあなたの家族が妊娠をしていて、お腹の赤ちゃんに何らかの障害があることがわかったら、どうするだろうか?

 赤ちゃんが生まれてから、どのように生きて行けるのかを考えるのではないだろうか。教育はどう受けるのか。社会でどう生きていくのか。経済的にはどうなのか。そして、ビジョンが描けず愕然とするのではないだろうか。

 日本は、他の先進国に比べて、障害者の社会参加を推進し差別をなくすための法整備が遅れていると言われる。たとえば、学校では障害児が普通に受け入れられ健常児と共に学んでいたり、職場でも障害者が働いているのが当たり前であれば、産まない選択をする人はもっと減るかもしれない。

 出生前診断は、生まない選択を助長するものだから反対だという論調もある。しかし、本当は、障害者と健常者が共存する社会でないことが、生まない選択を助長しているのかもしれない。

「胎児診断」で助かる命が増える

「産まない選択については、簡単には結論がでない問題です。たとえば、アメリカでは、『命を奪うことであるからすべきでない』という意見と『女性の権利として認めるべきだ』という2つの意見があります。結論は出ないが、議論はします。日本では、議論そのものをしようとしない傾向があるように思います」(中村院長。以下同)

 ちなみに、日本の母体保護法では、分娩が身体的、あるいは経済的理由で母体の健康を害する恐れがある場合などに指定医師の判断の元で人工中絶が認められており、産まない選択が「女性の権利」とは考えられていない。

 出生前診断が、結論が簡単にでない問題を含んでいることは、長年、胎児と赤ちゃんを見守り治療してきた中村院長にはよくわかっている。その上で「助かる命が増える。やはりそこが、私の原点です」と、院長は「胎児診断」の意義は小さくないと考える。赤ちゃんの約2%は、各臓器の形態異常などで生まれてくるが、「胎児診断」を行えば、多くは前もって知ることができる。早くわかれば、治療できることも多い。

 その院長のひとつの夢は「胎児診断」が普及して、希望する人は誰でも受けられるようになることだ。

「現在は、『胎児診断』について知っている方、また年齢が高い方、不妊治療をされた方などが主に検査を受けておられます。また、近くに診断をできる施設がないことも多く、費用も高い。もっと若い方でも、どこに住んでおられる方でも、経済的に余裕がない方でも、希望される方はだれもが、『胎児診断』を受けられるような体制が整うことが望まれます」

 たとえば、イギリスでは、産まない選択についての議論は当然あるものの、妊婦さん全員が診断を受ける制度が整っている。日本で同じような制度を整えるためには、まず検査方法と診断基準の標準化が必要だと、中村院長は考えている。

「現在は、施設によって基準がまちまちです。これでは、同じ検査結果が出ても、場所によって診断が異なってしまうということになりかねません。いろいろご意見もあると思いますが、私はまず世界標準を作って、国ごとにどこまで利用するのかを決めていくというのがよいと考えています」

「早くわかれば、早く治せる」を追求し続ける中村院長の目は、一人でも多くの赤ちゃんを救うために、将来を見据えているのだ。

 中村靖(なかむらやすし)
順天堂大学医学部卒業後、同大学医学部附属順天堂医院で、超音波診断、合併症妊娠の管理を中心とした診療・研究に従事。3科(産婦人科・小児科・小児外科)合同の「周産期カンファレンス」において、草創期の中心メンバー。
2005年には順天堂大学医学部附属練馬病院の産科婦人科科長に就任、その後順天堂大学助教授(先任准教授)。2009年、米国留学(ボストン小児病院、シンシナティ小児病院、フィラデルフィア小児病院)。10年からは、ベルギー・ルーベンカトリック大学産婦人科で胎児治療の臨床・研究に携わる。同年、帰国後、茅ヶ崎徳洲会総合病院(現・湘南藤沢徳洲会病院)に、「胎児科」を新設。13年9月、よりきめ細かな胎児診療をアクセスしやすい都心で提供するため、胎児クリニック東京を開院。
一方、勤務医時代からタバコ対策・禁煙指導にも積極的に関わり、順天堂大学および附属病院の禁煙化に尽力。産婦人科分野の禁煙指導の中心者として、禁煙ガイドラインの作成にも参加。現在もNPO法人禁煙ネットで活動している。
臨床遺伝専門医、超音波専門医・指導医、産婦人科専門医、禁煙専門医、FMF(Fetal Medicine Foundation)認定妊娠初期超音波検査者。

2015.01.15     Business Journal


【障害年金】どこで暮らしても平等に

2015年01月17日 00時06分13秒 | 障害者の自立

 国の障害年金を申請して不支給と判定される人の割合に都道府県で最大約6倍の差がある問題で、厚生労働省が是正に乗り出すことになった。 
 年金を受給できる権利は、どこに住んでいても平等に保障されなければならないはずだ。対象となる障害者が漏れなく受給できるよう、客観的で慎重な判定を確立してもらいたい。 
 ばらつきが判明したのは多くの人が受け取る障害基礎年金。都道府県に置かれた年金機構事務センターの委託を受け認定医が審査する。2010~12年度の不支給割合が、最高の大分(24・4%)と最低の栃木(4・0%)の間で6・1倍の差があった。 
 申請の多くを占める精神、知的障害の人について、障害の程度に関する認定医の判断が分かれやすいことなどが原因だ。 
 具体的には「日常生活能力の程度」という5段階評価のうち、不支給が少ない自治体は障害の程度が軽い方から2番目の段階以上に支給していた。逆に不支給が多い自治体は3番目以上でないと支給しないという、より厳しい判定が行われていた。 
 そもそも外見などで判断しやすい身体障害に比べて、精神、知的障害は医師の主観や裁量が入り込む余地が大きいとされる。認定医の個人差も要因ではあろう。 
 しかし認定医が少ない地域では、1人で膨大な数の判定を引き受けざるを得ない。そうした医師からは「間違った判定が確実に存在する」といった声さえ聞かれる。判定のばらつきが生じやすい状況を長年「放置」してきた行政の責任こそ、より問われなければならないだろう。 
 厚労省は今後、客観的な判定指標づくりに取り組む。その際、支給の目安を先の5段階評価で3番目以上に統一するのではないかと指摘されている。それでは審査が厳しくなり年金を打ち切られる人が増える可能性がある。 
 年金支給の不公平を是正しなければならないのに、機械的な判定統一によって新たに支給停止を生みだしては本末転倒だ。 
 本当に年金を必要とする人が苦境に陥らないよう、指標の策定には当事者である障害者やその支援者らの声が十分に反映されなければならない。 
 求められているのは「法の下の平等」に基づき、障害者福祉行政が公正に、誠実に行われることだ。

2015年01月16日    高知新聞