ゴエモンのつぶやき

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ALS患者「会話楽しむ」 京都市、意思伝達装置を初支給

2014年04月26日 18時51分00秒 | 障害者の自立

 全身が徐々に動かなくなる神経難病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の京都市左京区の男性に、視線でパソコンを操作し意思を伝える装置「マイトビー」が市内で初めて公費で支給された。男性は顔の一部しか動かせないほど筋力が衰え、家族との意思疎通もままならなかったが、装置を活用して「子や孫とたわいない会話を楽しみたい。続けて来たデザインの仕事もしたい」と意欲を見せている。
 支給されたのは田中豊享さん(69)。着物の図案家やデザイナーを経て、51歳の時に帆布バッグを手がける会社を起業した。仕事も軌道に乗っていた56歳の時にALSと診断された。
 徐々に体の自由が利かなくなる中、仕事への情熱は衰えなかったが、2011年から使用していた額の動きでパソコン操作ができる装置を扱うのも難しくなった。そんな時、知人からマイトビーの存在を知った。
 ただ、マイトビーは100万円以上と高額。障害者の日常生活を支える補装具の公費助成額の上限は45万円で手が届かなかった。そこで、助成額に上限のない特例補装具として、12年9月に左京福祉事務所に支給を申請した。
 特例補装具は本人の生活に必要不可欠な装置との認定が必要で、これまで2度却下されたが、あきらめずに申請を続け、今年1月、2年越しに手元に届いた。近畿では、守山市の脊髄性筋萎縮症(SMA)の少女に支給されたのに続いて2例目になる。
 妻の京子さん(69)は「これまで意思を伝えることだけでも大変だった。装置を介して深い話がしたい」、次男の晶さん(41)は「もう一度仕事をする父が見たい」と期待している。
 田中さんはマイトビーを使って打ち込んだ。「このたびはおおくの人にお世話になり、心から感謝しています」。
<マイトビー>顔の上に取り付けられた画面を見つめると、カメラが眼球の動きを捉え、文章の作成やインターネットなどのパソコン操作ができる装置。ALSや筋ジストロフィーなどの患者が使用している。コミュニケーションに幅が広がることや家族の介護負担の軽減も期待される。
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最終更新:4月21日(月)14時19分 京都新聞

視線入力システム開発 新井さん大臣表彰

2014年04月26日 11時07分57秒 | 障害者の自立
 優れた科学技術分野の開発や研究事業に贈る文部科学大臣表彰に、パソコン画面を見つめるだけで文字入力できる視線入力システムを開発した佐賀大学の新井康平特任教授(65)が選ばれた。同システムは地元の企業体が商品化して実用化が進み、重度の肢体不自由やALS(筋萎縮性側索硬化症)などで自らの意思を伝えるのが困難な人たちに光をもたらしている。

 大臣表彰は、将来性があり、独創性に優れた画期的な研究開発を行った研究者が対象。各大学や研究機関から推薦を受け、幅広い分野の研究者でつくる審査委員会が審査する。今年は全国で43件、佐賀大学からは初の受賞となった。

 視線入力システムは、小型カメラで目の動きを捉え、見つめたキーボード文字や定型文の会話アイコンを音声で読み上げることで意思を伝達する仕組み。電動車いすの操作や摂食支援システムへの応用研究、メガネ型で身につけられるウェアラブル端末「アライグラス」の改良も進めている。

 開発のきっかけは理工学部長だった2001年。学部に肢体不自由の学生が入学することになり、学内のバリアフリー化に取り組み、最後に残った問題が講義ノートだった。「母親が代理でノートを取っていたが、本人が書かないと要点が分からなくなる」。ALS患者が入院する長崎県の病院に通って研究を続け、06年に完成させた。

 09年には県内のICT(情報通信技術)企業10社でつくる県先進IT技術有限責任事業組合(佐賀LLP)と共同で製品化に着手。誤入力が起きない工夫や日常よく使う会話を定型文のアイコン化し、使いやすさを追求した。普及のために価格を大手の類似システムより大幅に抑え、10万円前後に収めた。

 新井氏はJAXA(宇宙航空研究開発機構)を経て1990年、佐賀大に着任。今年3月に退職、4月から特任教授に就いた。「これまで商工業を中心に発達してきたICTを、健康や医療福祉、環境などの分野でもっと活用させたい。賞を励みに世のため人のための研究を続けていく」と話した。


新井康平特任教授が開発した視線入力システム。メガネ型のウェアラブル端末に取り付けたカメラが目の動きを捉え、パソコン画面に映し出された文字を見た通りに入力する

2014年04月22日更新 佐賀新聞ニュース