1999年に49歳でこの世を去ったマーク・オブライエン(ジョン・ホークス)は、6歳のときにかかったポリオが原因で首から下に麻痺(まひ)が残る重度の身体障害者だった。しかし、持ち前の明るさで何でも精力的にこなし、大学卒業後は詩人・ジャーナリストとして活動を始める。やがて、愛する女性と心身ともにつながりたいという想いが募り、友人のように慕うブレンダン神父(ウィリアム・H・メイシー)に相談、セックス・セラピストのシェリル(ヘレン・ハント)から"セッション"を受ける...。タブー視されがちな身体障害者のセックスというテーマを扱いながら、与えられた人生を精一杯生きようとするマークと、彼に心を動かされる周囲の人たちの交流を、ユーモアたっぷりに描くドラマ映画『セッションズ』が12月6日から公開される。これに先立ち、当サイトでは読者5組10人に、新宿シネマカリテの劇場観賞券をプレゼント。詳細は記事の文末を参照に。
失恋したマークに舞い込んだ障害者のセックスに関する取材依頼
1988年、米カリフォルニア州バークレー。6歳で患ったポリオが原因で首から下が完全に麻痺し、ベッドでの生活を強いられてきたマークは、カリフォルニア大学卒業後、詩人・ジャーナリストとして活動していた。重度の呼吸障害もあり、自宅では、「鉄の肺(Iron Lung)」と呼ばれるカプセル型の人工呼吸器に入り、ヘルパーによるストレッチャー(車輪付き簡易ベッド)での数時間の散歩が唯一の楽しみだ。
教会に通うことを習慣としていたマークは、新たに赴任したブレンダン神父に相談し、横暴なヘルパーを解雇する。代わりに雇ったアマンダ(アニカ・マークス)は若くて美しく、何よりも優しさに満ちあふれていた。「彼女に触れたい」という想いが日増しに強くなったマークは、ついに愛を告白し、プロポーズする。だが、アマンダはマークの下を去ってしまう。

失意の底にあったマークに、身体障害者のセックスをテーマにした原稿の執筆依頼の電話が入る。新たなヘルパー、ヴェラ(ムーン・ブラッドグッド)に付き添われて取材を始めたマークは、セックス・セラピストの存在を知る。ヴェラに励まされ、ブレンダン神父からは婚外交渉に対して「神も許してくれる」と大胆な託宣を与えられ、「セックス・サロゲート(代理人)」のシェリルと会う決意をする。
"セックス・サロゲート"との出会い、体のつながりが心に波及し...
セックス・サロゲートとのセッション初日、極度の緊張を見せるマークは、シェリルのまとう大人の女性の魅力に圧倒される。料金は受け取るがサロゲートは売春婦とは違うこと、セッションは6回に限られていることなどの説明を受ける。首から下は麻痺しているが、皮膚感覚や性機能が正常のマークは、シェリルの裸体を見たり、彼女に触れられたりすると緊張がさらに高まり、セッションはなかなかうまくいかない。
それでも、「裸の女性とベッドに入って、30年以上も見ていないペニスを触ってもらえた」と、マークはブレンダン神父に喜びを報告する。3回目のセッションでは初体験に成功。しかし、シェリルと体が結ばれたマークは、心のつながりも求め始め、シェリルの自宅に詩をしたためた手紙を送る。妻の仕事に理解を示していたシェリルの夫は、その手紙を見て動揺する。やがて迎えた4回目のセッションで、マークとシェリルは心身のつながりを感じるのだが...。
アカデミー賞ノミネート、日本では何故か「R18+」に
本作に登場するセックス・サロゲートは、一般にはあまりなじみのない職業であり、売春婦と誤解されたり、批判されたりすることもあるようだ。だが、心理学者のような側面も持ち、長年にわたりスキンシップから遠ざかっているような身体障害者に、セックス以上の喜びをもたらす重要な存在になっているという。タブーな領域に挑んだ本作は、サンダンス映画祭などで観客賞を受賞し、アカデミー賞やゴールデン・グローブ賞にもノミネートされた。
しかし、諸外国とは異なり、日本では映倫により「R18+」(18歳未満の観賞禁止)に指定されている。メガホンを握ったベン・リューイン監督は、自身も幼少期にポリオにかかった経験を持つ。本作を「いかにして人生を生きる価値のあるものにしたか」についての人間ドラマと語っているだけに、性描写を理由に多感な青少年が人生の価値について感じ、考える機会を奪ってしまうことに、疑問を感じる。
kenko 100-2013年11月12日 10:30 公開
失恋したマークに舞い込んだ障害者のセックスに関する取材依頼
1988年、米カリフォルニア州バークレー。6歳で患ったポリオが原因で首から下が完全に麻痺し、ベッドでの生活を強いられてきたマークは、カリフォルニア大学卒業後、詩人・ジャーナリストとして活動していた。重度の呼吸障害もあり、自宅では、「鉄の肺(Iron Lung)」と呼ばれるカプセル型の人工呼吸器に入り、ヘルパーによるストレッチャー(車輪付き簡易ベッド)での数時間の散歩が唯一の楽しみだ。
教会に通うことを習慣としていたマークは、新たに赴任したブレンダン神父に相談し、横暴なヘルパーを解雇する。代わりに雇ったアマンダ(アニカ・マークス)は若くて美しく、何よりも優しさに満ちあふれていた。「彼女に触れたい」という想いが日増しに強くなったマークは、ついに愛を告白し、プロポーズする。だが、アマンダはマークの下を去ってしまう。

失意の底にあったマークに、身体障害者のセックスをテーマにした原稿の執筆依頼の電話が入る。新たなヘルパー、ヴェラ(ムーン・ブラッドグッド)に付き添われて取材を始めたマークは、セックス・セラピストの存在を知る。ヴェラに励まされ、ブレンダン神父からは婚外交渉に対して「神も許してくれる」と大胆な託宣を与えられ、「セックス・サロゲート(代理人)」のシェリルと会う決意をする。
"セックス・サロゲート"との出会い、体のつながりが心に波及し...
セックス・サロゲートとのセッション初日、極度の緊張を見せるマークは、シェリルのまとう大人の女性の魅力に圧倒される。料金は受け取るがサロゲートは売春婦とは違うこと、セッションは6回に限られていることなどの説明を受ける。首から下は麻痺しているが、皮膚感覚や性機能が正常のマークは、シェリルの裸体を見たり、彼女に触れられたりすると緊張がさらに高まり、セッションはなかなかうまくいかない。
それでも、「裸の女性とベッドに入って、30年以上も見ていないペニスを触ってもらえた」と、マークはブレンダン神父に喜びを報告する。3回目のセッションでは初体験に成功。しかし、シェリルと体が結ばれたマークは、心のつながりも求め始め、シェリルの自宅に詩をしたためた手紙を送る。妻の仕事に理解を示していたシェリルの夫は、その手紙を見て動揺する。やがて迎えた4回目のセッションで、マークとシェリルは心身のつながりを感じるのだが...。
アカデミー賞ノミネート、日本では何故か「R18+」に
本作に登場するセックス・サロゲートは、一般にはあまりなじみのない職業であり、売春婦と誤解されたり、批判されたりすることもあるようだ。だが、心理学者のような側面も持ち、長年にわたりスキンシップから遠ざかっているような身体障害者に、セックス以上の喜びをもたらす重要な存在になっているという。タブーな領域に挑んだ本作は、サンダンス映画祭などで観客賞を受賞し、アカデミー賞やゴールデン・グローブ賞にもノミネートされた。
しかし、諸外国とは異なり、日本では映倫により「R18+」(18歳未満の観賞禁止)に指定されている。メガホンを握ったベン・リューイン監督は、自身も幼少期にポリオにかかった経験を持つ。本作を「いかにして人生を生きる価値のあるものにしたか」についての人間ドラマと語っているだけに、性描写を理由に多感な青少年が人生の価値について感じ、考える機会を奪ってしまうことに、疑問を感じる。
kenko 100-2013年11月12日 10:30 公開