4月に行われた県議選で、候補者の主張や経歴を紹介する選挙公報が県選挙管理委員会の実費負担で初めて音読、録音され、視覚障害者に届けられた。一方、宇都宮市議選では、ボランティア団体などが実施の可能性を探ったが、準備が間に合わないとして見送られた。視覚障害者団体は4年後の統一地方選に向け、市町議選での選挙公報の音訳が広まることを望んでいる。
生まれつき視覚障害のある宇都宮市の小池上惇さん(67)。県議選宇都宮市・上三川町選挙区の候補者計22人の選挙公報を読み上げたCDを聴き「具体的な政策が分かる」と満足そうな表情を浮かべた。
音声が流れる政見放送は、国政選挙や知事選にはあるが、県議選や市町議選にはない。候補者の情報は、知人からの口コミと選挙カーだけが頼りで、候補者全員の名前や経歴を知る機会はほとんどなかったという。
■国の通知受け対応
選挙公報は候補者が作成した原本のまま印刷して発行することが原則。音声で録音した物を発行することはできないという法解釈が長年、定着していた。
こうした中、政府が設置した「障がい者制度改革推進会議」(議長・小川榮一県身体障害者福祉会連合会会長)が昨年、障害に配慮した選挙公報の提供方法などについて改善を求めた。
これを受け、総務省は今年2月、統一地方選で音声による選挙公報の配布を促す通知を初めて全国の都道府県選管に出した。
本県では、県視覚障害者福祉協会(須藤平八郎会長)の働き掛けで、ボランティアが協力し、県選管の実費負担による選挙公報の音訳が実現した。
■各選管で取り組みを
だが、宇都宮市議選では実現しなかった。県議選の宇都宮市・上三川町選挙区に比べて、同市議選の候補者数は58人と多い上、選挙公報の発行日は投開票日の4日前。市選管は「録音作業や録音後の確認をするのが時間的に困難だった。検討はしていく」という。
同市のボランティア団体は、選挙公報の代わりに、下野新聞に載った市議選候補者の略歴を音訳し配布した。CDやカセットなどの実費はボランティアが負担した。
短期間で多数の候補者の選挙公報を音訳するには、経費やボランティアの確保も課題になる。県視覚障害者福祉協会の須藤会長は「総務省の通知を突破口に、各選管で取り組んでほしい」と、4年後に期待している。
県によると、県内の視覚障害者は約4500人、うち宇都宮市内には約900人がいる。
下野新聞
生まれつき視覚障害のある宇都宮市の小池上惇さん(67)。県議選宇都宮市・上三川町選挙区の候補者計22人の選挙公報を読み上げたCDを聴き「具体的な政策が分かる」と満足そうな表情を浮かべた。
音声が流れる政見放送は、国政選挙や知事選にはあるが、県議選や市町議選にはない。候補者の情報は、知人からの口コミと選挙カーだけが頼りで、候補者全員の名前や経歴を知る機会はほとんどなかったという。
■国の通知受け対応
選挙公報は候補者が作成した原本のまま印刷して発行することが原則。音声で録音した物を発行することはできないという法解釈が長年、定着していた。
こうした中、政府が設置した「障がい者制度改革推進会議」(議長・小川榮一県身体障害者福祉会連合会会長)が昨年、障害に配慮した選挙公報の提供方法などについて改善を求めた。
これを受け、総務省は今年2月、統一地方選で音声による選挙公報の配布を促す通知を初めて全国の都道府県選管に出した。
本県では、県視覚障害者福祉協会(須藤平八郎会長)の働き掛けで、ボランティアが協力し、県選管の実費負担による選挙公報の音訳が実現した。
■各選管で取り組みを
だが、宇都宮市議選では実現しなかった。県議選の宇都宮市・上三川町選挙区に比べて、同市議選の候補者数は58人と多い上、選挙公報の発行日は投開票日の4日前。市選管は「録音作業や録音後の確認をするのが時間的に困難だった。検討はしていく」という。
同市のボランティア団体は、選挙公報の代わりに、下野新聞に載った市議選候補者の略歴を音訳し配布した。CDやカセットなどの実費はボランティアが負担した。
短期間で多数の候補者の選挙公報を音訳するには、経費やボランティアの確保も課題になる。県視覚障害者福祉協会の須藤会長は「総務省の通知を突破口に、各選管で取り組んでほしい」と、4年後に期待している。
県によると、県内の視覚障害者は約4500人、うち宇都宮市内には約900人がいる。
下野新聞