新設された足利インターチェンジ近くの山林を見渡すと、三角屋根の家のように切り開かれた斜面が目に留まる。スキー場のゲレンデにも見えるこの空間。実は、極上のワインを生み出す平均勾配三八度のブドウ畑だ。
ブドウを栽培しているのは、障害者支援施設「こころみ学園」の利用者たち。昨年亡くなった創設者の川田昇さんらが一九五八年に開墾し、知的障害者が汗を流して働ける自立支援の場とした。
学園併設の醸造場「ココ・ファーム・ワイナリー」でつくられたワインは、二度のサミットの晩さん会で使われたほどの高品質。カフェでは、ブドウ畑を眺めながらそのワインが味わえる。
ワイナリーの池上知恵子専務は「温かい、心のおもてなしをしたい」と、訪れる人が増えることを楽しみにしている。

山の斜面を利用したこころみ学園のブドウ畑(下方、やや左寄りの三角の部分)。右上は北関東道=足利市で(本社ヘリ「おおづる」から)
東京新聞