ホーホケキョの鳴き声が、真冬のホームに鳴り響く――。JR北海道は、目が不自由な人にホームの出入り口の位置を知らせる「誘導チャイム」にウグイスの鳴き声を使っている。しかし周知が十分でなく、利用者から「何で冬にウグイスなのか」という声が届くだけでなく、視覚障害者にも何の音か知らない人がいるという。
「季節がら不似合いな鳥の鳴き声ですが、ご理解いただきますようお願い致します」
札幌市手稲区のJR稲積公園駅のホーム出入り口には、鳴き声の役割を説明したうえで、こう書かれた駅長名の張り紙が張られている。駅の利用者から「なぜ、ウグイスが鳴くのか」「季節に合わない」などの問い合わせを受けて掲示した。
人が通ると、出入り口の位置を音で知らせる誘導チャイム。改札口では「ピン、ポーン」という誘導音が一般的だが、ホームでは、聞き取りやすく幅広い周波数を持つなどの理由で、国交省が2002年に「鳥の鳴き声を模した音響」とガイドラインで定めた。
これを受けて、JR北海道は道視力障害者福祉連合会(札幌市中央区)や札幌視覚障害者福祉協会(同市西区)と協議。「雑踏の中でも聞き分けやすい」と、ウグイスの鳴き声を選んだ。
05年2月の恵み野(恵庭市)、恵庭(同)2駅を皮切りに、現在は旭川や岩見沢など道内14駅で設置されている。札幌市内は新さっぽろや発寒、森林公園など7駅にあり、30日から白石にも設けられる。
最初の設置から6年。駅の利用者に尋ねてみると、「何の音かわからない」「待ち時間を和ますBGMだと思っていた」などの声が多く、「季節に合っていず、不快だ」との意見もあった。同社によると、設置駅の一つでは付近の住民から「音が大きい」と苦情があり、ボリュームを下げたこともあるという。
こうした状況について、道視力障害者福祉連合会の田中美恵子事務局長は「ホームは目の不自由な人にとって最も危険な場所の一つ。電車によって停車位置が変わるので、誘導音はとても大切な情報になります」と理解を求める。
一方で、札幌視覚障害者福祉協会の澤田勝昭副会長は「実は視覚障害者の間でも、ウグイスの声が誘導音だと知らない人も少なくない」と認め、「せっかくの設備なので、JRにはもっとPRしてほしいし、協会としてもPRに努めたい」としている。
JR北海道広報部は「今後も駅の改修などに合わせ、誘導チャイムの設置を進めていく。ホームページでバリアフリー情報について案内しているが、障害者団体の方々の声を真摯(しんし)に受け止めていきたい」と話している。
朝日新聞
「季節がら不似合いな鳥の鳴き声ですが、ご理解いただきますようお願い致します」
札幌市手稲区のJR稲積公園駅のホーム出入り口には、鳴き声の役割を説明したうえで、こう書かれた駅長名の張り紙が張られている。駅の利用者から「なぜ、ウグイスが鳴くのか」「季節に合わない」などの問い合わせを受けて掲示した。
人が通ると、出入り口の位置を音で知らせる誘導チャイム。改札口では「ピン、ポーン」という誘導音が一般的だが、ホームでは、聞き取りやすく幅広い周波数を持つなどの理由で、国交省が2002年に「鳥の鳴き声を模した音響」とガイドラインで定めた。
これを受けて、JR北海道は道視力障害者福祉連合会(札幌市中央区)や札幌視覚障害者福祉協会(同市西区)と協議。「雑踏の中でも聞き分けやすい」と、ウグイスの鳴き声を選んだ。
05年2月の恵み野(恵庭市)、恵庭(同)2駅を皮切りに、現在は旭川や岩見沢など道内14駅で設置されている。札幌市内は新さっぽろや発寒、森林公園など7駅にあり、30日から白石にも設けられる。
最初の設置から6年。駅の利用者に尋ねてみると、「何の音かわからない」「待ち時間を和ますBGMだと思っていた」などの声が多く、「季節に合っていず、不快だ」との意見もあった。同社によると、設置駅の一つでは付近の住民から「音が大きい」と苦情があり、ボリュームを下げたこともあるという。
こうした状況について、道視力障害者福祉連合会の田中美恵子事務局長は「ホームは目の不自由な人にとって最も危険な場所の一つ。電車によって停車位置が変わるので、誘導音はとても大切な情報になります」と理解を求める。
一方で、札幌視覚障害者福祉協会の澤田勝昭副会長は「実は視覚障害者の間でも、ウグイスの声が誘導音だと知らない人も少なくない」と認め、「せっかくの設備なので、JRにはもっとPRしてほしいし、協会としてもPRに努めたい」としている。
JR北海道広報部は「今後も駅の改修などに合わせ、誘導チャイムの設置を進めていく。ホームページでバリアフリー情報について案内しているが、障害者団体の方々の声を真摯(しんし)に受け止めていきたい」と話している。
朝日新聞