ホームレス:施設充実で減少傾向 支援団体は「楽観できぬ」--県調査 /茨城
県が1月に行った実態調査で、県内の公園や駅などで暮らすホームレスが86人確認された。昨年同期より8人増えたが、ピーク時の03年(130人)からは減少傾向にあり、県は支援施設の充実などを理由に挙げる。一方、県内の支援組織は「実際はもっと多いはずで、状況は深刻だ」と結果を疑問視。ホームレス支援で官民の連携強化の必要性を訴える。
調査は98年から継続的に行っており、全44市町村の河川敷や公園などを約10日間かけて巡回、目視した。19市町村で計86人を確認し、自治体別では水戸市と土浦市が各10人と最も多かった。県福祉指導課は、ホームレス自立支援法施行後の03~07年にかけて、県内5カ所に生計困難者を支援する民間の宿泊施設が設立されるなど、保護体制が整備されたことが減少傾向につながっているとみる。
一方、「水戸市だけでも50人前後を確認している。目視調査には限界があるのでは」。ひたちなか市でホームレスの自立や社会復帰を支援する共同生活支援施設「ちあきの家」を運営するNPO法人「まごころねっとわーく」代表理事の長谷敏弘さん(45)は苦笑する。
昨年7月に開設した同施設に入所したホームレスは延べ約30人。生活保護費から食費などを含む入居費月7万3000円を受け取り、内職などをあっせんして自立を促す。20代の若者が行政に保護されて入所相談に訪れることも増えているといい、中には車上生活する夫婦で10代の妻が身重のケースもあった。長谷さんは「契約が切れた派遣社員が多い。県内でもホームレスの低年齢化は確実に進んでおり、楽観できる状態ではない」と懸念する。
県は今年度から同法に基づくホームレスの支援体制に対する実施要綱の検討を始める。長谷さんは「町からの排除と同時に何らかの受け入れ先を考えないと人数は増える一方だ。行政だけで解決できる問題ではない。NPOと役割分担をしながら連携して対策を考えてほしい」と話す。【八田浩輔】
毎日新聞 2008年5月3日 地方版
県が1月に行った実態調査で、県内の公園や駅などで暮らすホームレスが86人確認された。昨年同期より8人増えたが、ピーク時の03年(130人)からは減少傾向にあり、県は支援施設の充実などを理由に挙げる。一方、県内の支援組織は「実際はもっと多いはずで、状況は深刻だ」と結果を疑問視。ホームレス支援で官民の連携強化の必要性を訴える。
調査は98年から継続的に行っており、全44市町村の河川敷や公園などを約10日間かけて巡回、目視した。19市町村で計86人を確認し、自治体別では水戸市と土浦市が各10人と最も多かった。県福祉指導課は、ホームレス自立支援法施行後の03~07年にかけて、県内5カ所に生計困難者を支援する民間の宿泊施設が設立されるなど、保護体制が整備されたことが減少傾向につながっているとみる。
一方、「水戸市だけでも50人前後を確認している。目視調査には限界があるのでは」。ひたちなか市でホームレスの自立や社会復帰を支援する共同生活支援施設「ちあきの家」を運営するNPO法人「まごころねっとわーく」代表理事の長谷敏弘さん(45)は苦笑する。
昨年7月に開設した同施設に入所したホームレスは延べ約30人。生活保護費から食費などを含む入居費月7万3000円を受け取り、内職などをあっせんして自立を促す。20代の若者が行政に保護されて入所相談に訪れることも増えているといい、中には車上生活する夫婦で10代の妻が身重のケースもあった。長谷さんは「契約が切れた派遣社員が多い。県内でもホームレスの低年齢化は確実に進んでおり、楽観できる状態ではない」と懸念する。
県は今年度から同法に基づくホームレスの支援体制に対する実施要綱の検討を始める。長谷さんは「町からの排除と同時に何らかの受け入れ先を考えないと人数は増える一方だ。行政だけで解決できる問題ではない。NPOと役割分担をしながら連携して対策を考えてほしい」と話す。【八田浩輔】
毎日新聞 2008年5月3日 地方版