漫画/ハリソンさんはカノ紳士 Mr.Harrison is THE GENTLEMAN ― フランス通過編 ―(前半)

18世紀欧州が舞台の歴史ロマン。アヴィニヨンの薬屋小町クレールとハリソン&マルセル主従との運命の出会い。

お天道様の下を歩けない男

2010年04月10日 10時02分25秒 | 第15話/トリシャン・コード

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *



 トリストラム・シャンディさん、自作の本の中に、
聖書が元ネタの冗談が所々に出て来るので、
「 実は聖職者が書いた、まるっきり創作のウソっこ自伝本なんじゃないか? 」
という噂が発生したのでしょうな。
新聞他の広告では、

This is A TURUE STORY.
これは、真実の物語である。


― とか、書いてあったんですけどね。
もっとも、このキャッチコピー、嘘八百バレバレの、
中世騎士道物語の中にもあったらしい
ようなので。

 「 トリストラム・シャンディ 」 を絶賛する国教会のお偉い様とは、
前にウォルポールさんの手紙にも出て来た、
ウォーバートン主教の事なのでした。

 そして、シャンディ氏と同じ出身州と思われる、
ヨーク州に領地を持つ、フォーコンバーグ卿が、
「 聖公会の牧師様に任命してやる。 」
― と、言っていたのでした。
ちなみにこの方、カトリックから聖公会に宗旨替えしているのでした。
カトリック教徒では公職に就けない他、
不利な事がいろいろと多かったからなのでしょうか?

 フレディ君、優良企業勤めでも、
フォーコンバーグ卿がシャンディ氏に提示した年収の
3分の1も貰っていません。
ちなみに、当時の男子労働者の年収は25ポンドくらいでした。
女子労働者は、2~4ポンドくらいだったそうです。
性差別丸出しだな~。
OL閲覧者様方、歴女閲覧者様方怒るべし!

 上記の2人の他にも世間では、
いろいろといい話をチラつかせて、
シャンディ氏の正体を知りたがっていたのでしたが ― 。

 ところが、1765年秋の時点になっても、
本当のシャンディ氏が名乗り出る事はありませんでした。
偽物は何人か出て来ましたが、その都度ウソがバレては消えて行きました。

 シャンディさん、ユージン様が出席した宮廷でのセレモニーにも、
出ていれば、様々な良い縁を引き寄せられたのかもしれないのに。

 その前に、自作が売れた時点で、勇気を出して姿を現していれば、
( 少なくとも、日本じゃそういう人多いよな~。グチャグチャ半生から超カタギになっちゃったあの人、
難病を克服して、夢見たお仕事とステキな配偶者までもGETしちゃったあの人、
障害を乗り越えて、 ― というか、逆手に取って、世界に名を轟かせちゃったあの人
― の、伝記本を某人気少女漫画そっくりのタイトルで書いちゃったママン…etc. )
たとえ容姿がお世辞にも美しくはなくても、
人々は気にせずに受け入れてくれて、
それが前出の縁へと繋がって、
一気に人生の大逆転となったのかもしれないのに ―― 。

 それなのに、なぜ彼は、人前に姿を現す事ができないのでしょうか ― ?


 〈 次回の更新は、4月16 ( 金 ) ・ 17 ( 土 ) 日の予定。 〉