漫画/ハリソンさんはカノ紳士 Mr.Harrison is THE GENTLEMAN ― フランス通過編 ―(前半)

18世紀欧州が舞台の歴史ロマン。アヴィニヨンの薬屋小町クレールとハリソン&マルセル主従との運命の出会い。

どうしてそんなに雄弁?!

2010年04月24日 10時48分10秒 | 第15話/トリシャン・コード

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* * * この物語は、基本的にはフィクションです。 * * *



 プロジェクト・メンバーの尼将軍様によると、
トゥビー叔父さんのウォルターさんへの態度は、
女性に置き換えた場合で行くと、
若い子ナシ独女が、
既婚で、ちょびっとだけ年長者で、初産で、臨月の妊婦さんに向って、

「 案ずるより産むが安し。 」

― なんて言って、

「 あんたに言われたかぁないわよ! 」 

― と、妊婦さんを怒らせるようなもんだとの事でした。


実際、某女性週刊誌の読者投稿ページに、
夫の妹からそう言われて、
ムカついたという女性の記事があったのを、
見た事があるのだそうです。

 ウォルターさん、トゥビー叔父さんに対して、
「 お前の想像や思い付きだけで言ってんじゃないよ! 」
って所だったんでしょうが、
ウォルターさん自身が、現実の経験や行動から得た知識よりも、
読書で得た知識から発した、妄想や思い付きを話題にしてる方が
圧倒的に多いですからね~。

 それに、結婚して子供を持ったからといって、
人間として全ての経験ができるって訳でもないですからね。
トゥビー叔父さんやウォルポールさんの例でも分かるように、
昔っから、家庭を持たなくても、
それなりに満足して一生を終えられた人もいる訳ですし。

そこまで突き抜けてるんなら、逆に格好イイんじゃないか?

― と、すら作者には思えて来てるんです。

 ウォルターさん、キリスト教徒として、異教徒のような立場から、
哲学者として、夫として、父親として、愛国者として、一人の人間として、
エリザベスさんを多角的に説得しようとするのでしたが、
エリザベスさんは、それらの全てに対して、

「 女の大仕事に、男がうるさく口出しするなっ! 」  

― で、一蹴してしまっているのでした。
理屈っぽいヤツに対しては、
同じ土俵で勝負しないのが、
やっぱし一番なんでしょうな。


 「 トリストラム・シャンディ 」 本文では、
哲学者としての説得以外は、詳しい描写がありません。
( カノ紳 version.2 「 金は出しても口出すな1・2 」 は、哲学者としての説得の場面を描いた物です。 )

 ウォルターさん、after allで、エリザベスさんを説得できずに、

「 自分の頭の良さに釣り合わないバカ妻。 」

― と心の内で憤慨していたのでしたが、


 え~っ、描写が無いだけで、
エリザベスさんがバカだと決め付けるのはいかがなものか?
― なんじゃないのぉ~!?
描写の欠如は、キャラ自身の属性よりも作る側の欠陥からかもしんないよ。

 こんな事ばっかダンナさんから言われて、
素直にハイハイ言う事聞いてる奥さんがいたら、
そっちの方がバカだと思う。

 つーか、命がいくつあっても足んねーよっ。

 「 華岡青洲の妻 」 とも、かなり趣が違うようだしね~。
もし、わたしの他にも主婦が読んだら、むしろエリザベスさんの方を、
「 賢夫人 」 と見る人も多いんじゃないかな。

 おセレブ様の家だから、まだ何とか生活が成り立ってるんだろうけど、
もし日本の一般サラリーマン家庭だったら、
ホラーだぜよ。


女性読者方は、こういう感想を持つ筈です。( キッパリ! ) ←尼将軍様 ( 談 )


 それから、

「 描写の欠如は、キャラ自身の属性よりも作る側の欠陥。 」

― と、いうのは、作者自身がこれを描(書)いてて、痛切に感ずる事でもあるのでした。
ホンニ、キツイお方どすゥ。


 〈 次回の更新は4月30日 ( 金 ) ・ 5月1日 ( 土 ) の予定。 〉