漫画/ハリソンさんはカノ紳士 Mr.Harrison is THE GENTLEMAN ― フランス通過編 ―(前半)

18世紀欧州が舞台の歴史ロマン。アヴィニヨンの薬屋小町クレールとハリソン&マルセル主従との運命の出会い。

標的(12/16) 猟奇的でない僕

2008年05月31日 10時27分02秒 | 第8話/標的

 十数年前の話になりますが、
ウフィーツィ美術館には、楽しみにしている絵がありました。
美術書で見て、本物はもっと素晴らしいんだろうなと―。

 でも、実物を見た時、作者の思い入れや憧れが強すぎたせいなのでしょうか?
「印刷物で見た方が素敵な絵」
― と正直思ってしまいました。

 ウフィーツィの至宝への防犯対策なのかどうかは分りませんが、
背伸びしても絶対手の届かない、かなり高い場所に展示していたため、
心理的距離までもが開いてしまったのでした。

 その絵を見終わった後は、いつ果てるとも知らず
中世からルネッサンス期にかけて描かれた、
イエス・キリストの磔刑図などの血みどろの絵が、
延々と並んでいた部屋があった記憶が…。

 その上、展示し切れない収蔵品がしまってある部屋には、
同種の絵が沢山あったようでした。
ヨーロッパの美術館って、特にカトリック系の国では、どこもこんな感じなのでしょうか?

 そういう部屋をやっとこさ抜けて、ロココ時代のカナレット(1697-1768)やピエトロ・ロンギ(1702-85)
の絵が並んでいるのを見た時には、本当にホッとした物でした。

 作者が印刷物の方がいいと思った絵って何だと思います?
ウフィーツィと言ったら、もう、ボッティチェリの2枚の絵。
「ヴィーナスの誕生」と「春」が有名中の有名なのですが、
「本物なのに、何か学生がポスターカラーで描いた複製画みたい…。」
― 何て思ってしまったのでした。

 良く言えば、「写真写りがいい絵」なんでしょうけどね…。


うぇ~ん!ハリソンさんがスゴく恐い事言ってるー。

矢で射られたのは聖セバスティアヌス。
車輪は聖女カタリナ。実際は引き裂けなかったらしいけど、
皮を剥がれたのは使徒聖バルトロマイ。
のこぎりで切り刻まれたのは同じく使徒聖シモン。
他にも歯を全部抜かれた聖女アポロニアもいるぞ。
それから…

パンダニムス、その辺でやめておくがいいぞ ― 。

じゃ、ちょっと方向を変えて、
聖セバスティアヌスの絵は、男子同性愛者に人気があるそうだぜ。

引き締まった美しい裸体が縛められ、
矢の刺さった苦しみに耐えているのが萌え萌え
― って?

やめなさーいっ!!!


中世の艶笑話では、
画家の夫がイエスの磔刑の姿を描いた実物大の十字架へと、
妻が浮気相手を布で覆って隠していたけれども、
夫に見つかってしまい、夫は間男のナントカを斧でぶった切ろうとして大騒動!
― なんて話があったそうな。

今日の続きは明日。