風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

干し柿

2011-11-18 11:14:05 | グルメ
      風子ばあさんには、爺さんメル友がいる。
     彼は、目下パソコン修業中だから、風子ばあさんへのメールは、
     丁度よいレッスンになっているようなのである。

      先日は、浮羽へ柿もぎに行ったそうで、
     100個ほどちぎってきましたとメールが入った。

      翌日は、一日がかりで、その皮を剥き、湯通しをして
     干し柿作りで大変だったと知らせてきた。

      さらに二、三日後は、黄金色に輝く干し柿を見てくださいと
     添付で写真が送られてきた。 見事なものだった。

      気温が高くて何個か落ちたというメールも届いた。

      それから十日ばかり後に、風子ばあさんは、
     もうひとりの女友だちとその彼に会う機会があった。

      あれだけ、干し柿、干し柿と言ったのだから、
     きっと土産に柿を持ってくるよと、風子ばあさんは友だちに予告した。

      三人で会食しながら雑談を交わしたとき、
     蝿が寄ってきて困るんですよ、と彼はまた干し柿のことを話題にしたが、
     土産に干し柿は持ってきていなかった。

      あとで、友だちに、
    「蝿のたかった干し柿なんていらないよね」
    と負け惜しみを言ったが、本心を言えば、あれだけ期待させられたのである。
    一個でも二個でも賞味してみたかったよね、と
    風子ばあさんは、ちょっと無念だったのである。


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