風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

冥土の土産

2011-02-27 15:48:48 | 口は災いのもと
 若い仲間と、海辺に牡蠣を食べに行った。
砂浜の小屋で、コンロの炭火に生牡蠣をのせて焼く。

 十名を超す仲間の中で、風子が一番年長である。
年をとって嬉しいことのひとつに、みんなが大事にしてくれることがある。

 風子さん、これ焼けましたよ、と殻まで剥いてくれる。
「ありがとう」
ビールはいかがですか。
「ありがとう」
握り飯もありますよ。
「ありがとう」

 うちわエビはどうですか?
「え? 食べたことないなあ」 と言ったら、
冥土の土産に食べてみませんか?……ときた。

 冥土の土産ねえ……。

そうまで言われる年になったかと思ったら、大事にされても、喜んでばかりはいられない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする