風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

2011-02-22 13:39:07 | 口は災いのもと

 風子ばあさんたちの世代は、家庭でも、職場でも、電話のマナーはやかましく、しつけられた。
 だから、いまでも電話に出るときは、明るい声で、朗らかに名乗ることにしている。

 先日、あるショップに、掃除機の付属品を取り寄せてもらうように頼んでいた。

 中々連絡がないので、こちらから問い合わせの電話をかけた。
もちろん、明るく朗らかな声を出した。

 受話器の向こうで、受けたひとが、別の店員さんにその件を尋ねるやり取りが聞こえた。

「ええ、一週間ほど前だそうなの……、××風子って。……、年寄りの声よ」

 今の電話の感度は大変よろしい。全部聞こえている。

 顔も見ないで、声だけで、年寄りってわかるんだよねえ、
明るく朗らかな声を出したつもりのばあさんは、ちょっとばかりショックではあった。
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