風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

アタミ

2011-02-16 10:53:15 | 俳句、川柳、エッセイ
 居酒屋のお姉ちゃんが、
「私って、まだ太宰府に行ってないんです」 という。
 私って……ねえ、と思うが、
「ふうん、太宰府くらい行ってごらんよ、梅もいい頃でしょ」
「え? 梅があるんですか」 ときた。

「もういいから、早く串焼き持っといで」 と言った。

 焼き鳥の皿を届けにきて、来週は、新潟へ行くんですという。

 直行便がなくて、アタミで乗り換えですと言うから、ほう、珍しいところで乗り換えるんだなあと思ったら、
たまたま通りかかった店長が、いや、伊丹空港ですと言葉を添えた。

 まったく、今どきの若いもんは……と思いかけたが、ま、仕方ない。
相手は、はたち、そこそこで、こちらは70半ばである。
70年も生きてきたのだから、こちらに多少の記憶の蓄積があるのは当たり前である。

 そのかわり、たったいま聞いたことはすぐに忘れるではないか。
若者の知っているバーコードとQRコードの違いもわからない。
だから、これで、オアイコなのである。

 はい、もう一杯、ビール持ってきて! 
 ハーフアンドハーフ!

 酒は楽しく飲むべし。
コメント
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