年に一度、十数名で集まりギターを弾く会がある。
聴衆は、ほんの身内だけというささやかな会合である。
風子ばあさんは、そこの会員であるような……ないような。
つまりは練習には出られないけど、楽しい集いなので当日は参加させてもらうという我儘会員である。
昨日がその日だった。
一番若い演奏者は、小学生。最高齢は70ウン歳。
みんなギターが好きで好きでたまらない人たちである。
風子ばあさんは、いつもの仲良し三人と「アルベニスのタンゴ」とソルの「グランドソナタ第四楽章」を弾いた。
練習ではうまくいっていたところもトチったが、でも楽しかった。
しかし、健忘症は明らかに進んでいる。
人の演奏を聞きながら、知っているはずの曲名がすぐに思い浮かばない。
隣の仲良しばあさんに、小声で、この曲、なんだっけ?
「ほら、あれです、あれ、アラビア、アラビア……」
「奇想曲だよね」
三人がかりで、アラビア風奇想曲、つまり「カプリチョアラベ」という曲名にたどりつくころには、演奏はすでに終盤にさしかかっていた。
異国の地の激情と哀歓に満ちた素晴らしい曲を見事な演奏で聴かせてもらった。
こんな日は、いつまでも元気でいたいなあと……と思う。
聴衆は、ほんの身内だけというささやかな会合である。
風子ばあさんは、そこの会員であるような……ないような。
つまりは練習には出られないけど、楽しい集いなので当日は参加させてもらうという我儘会員である。
昨日がその日だった。
一番若い演奏者は、小学生。最高齢は70ウン歳。
みんなギターが好きで好きでたまらない人たちである。
風子ばあさんは、いつもの仲良し三人と「アルベニスのタンゴ」とソルの「グランドソナタ第四楽章」を弾いた。
練習ではうまくいっていたところもトチったが、でも楽しかった。
しかし、健忘症は明らかに進んでいる。
人の演奏を聞きながら、知っているはずの曲名がすぐに思い浮かばない。
隣の仲良しばあさんに、小声で、この曲、なんだっけ?
「ほら、あれです、あれ、アラビア、アラビア……」
「奇想曲だよね」
三人がかりで、アラビア風奇想曲、つまり「カプリチョアラベ」という曲名にたどりつくころには、演奏はすでに終盤にさしかかっていた。
異国の地の激情と哀歓に満ちた素晴らしい曲を見事な演奏で聴かせてもらった。
こんな日は、いつまでも元気でいたいなあと……と思う。