机の上

我、机の上に散らかった日々雑多な趣味(イラスト・劇画・CG・模型・HP・生活)の更新記録です。

わが世の春

2024-05-19 10:09:38 | 日々是茶飲み話
 季節は初夏ともいうべきなのだろうが、ここはようやく春である。長い人生を振り返ってみても今は怖いくらい平和で人生の春である。

 子供の頃を振り返ると辛い事が多かった。冬などは、朝目覚めると布団の襟元などは自分の息と隙間から入り込む寒気で白く凍っていた。

 流しの瓶の貯め水には厚い氷が張り、隙間から入り込んだ雪で床の板の間は白くなっている。石炭ストーブを燃やし、湯沸かしが沸騰する頃に気も和む。

 トイレは昔乍らの直便所で、便は寒さで凍っていて、しゃがむと便の先がお尻を突く。大雪で冬場は汲み取りが出来ずに溜まっているのだ。

 よって子供の頃は便所に行くのがいやで、慢性の便秘になっていた。夏になっても治らず、その習慣は大人になっても続き往生した。

 学校に行こうと戸を開けようとするのだが凍っていて開かない。ヤカンのお湯を戸の引き滑り元にそそいで、やっと開く。凍っているのである。

 開けると目の前には大雪が立ちはだかっている。身の丈の倍はあろうか。それをスコップで掘り階段を造り、五、六段登って這出る有様である。

 外は吹雪。生半可な吹雪では休校にはならない。近所の学童が誘い合って上級生が先頭に立ち学校に向かう。皆無口だ。

 教室も寒くて、皆外套の着用が許可された。それほど過酷だったのだ。全てがみな冷たく物によっては触れるとひっついて血がでるほどであった。

 ふっと子供の頃の事を思い出してしまった。今だって冬は厳しいが昔よりは随分と楽になった。ゆっくりと劇画を描いている。わが人生の季節は春である。