その店は小さな雑居ビルの地下一階にあった。階段をくの字にまがり降りると細長い廊下に突き当たる。五、六軒の居酒屋やらスナックが両側にへばりついている。目指す入口は昔のままだおそらくは中もそうだろう。違うのはギターケースがドアの両側の壁に所狭しと立て掛けられその狭い廊下を学生らしい若い男女が忙しそうに行き来していた。いつもならこの時間帯は静かなはずなのだ。入口の横に仮設の受付があり若い男女が数人、座っていた。ドアを開けようとするとその内の一人が声をかけてきた。「あのうチケットが要るんです」
「えっ!?今日はここでいつもならブルースを演っている筈なんだけど…」
「いや今日は僕達のコンサートなんです」
別の方から若者が答えてくれた。そうか今日ではないのか…。
「えっ!?今日はここでいつもならブルースを演っている筈なんだけど…」
「いや今日は僕達のコンサートなんです」
別の方から若者が答えてくれた。そうか今日ではないのか…。