ひまわり博士のウンチク

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『ヒトラー 最期の12日間』

2007年04月02日 | 映画
12nichikann 一昨年の7月に公開された『ヒトラー 最期の12日間』をBS放送で見ました。
 実は偶然、数日前に書籍の『ヒトラー 最期の12日間』を書店で見つけて買ってあって、いずれ読むつもりでいたところ、先に映画を見てしまいました。

 この映画は、ドキュメンタリーをもとに映画化したもので、1945年にドイツが降伏する直前のヒトラーと側近の様子が描かれています。
 敗戦の色がますます濃くなるにしたがい、ヒトラーは正気を失っていきます。書籍の方でどう表現されているのか、まだ読んでいないのでわかりませんが、印象的な台詞がありました。
 
 モーンケ「300万の市民は避難させませんと」
 ヒトラー「心を鬼にしろ。市民などかまっている暇はない」
 モーンケ「恐れながら、女子供はどうなります? 負傷者や年寄りは?」
 ヒトラー「戦時に市民など存在せん」
 この言葉は、昭和天皇の独白録にも見え隠れしている考え方ですです。つまり、国とその国を支配する人間を生き残らせるためには、国民などどうなってもかまわない、といっています。
 昭和天皇が終戦を決意したのも、玉音放送で語るような臣民(国民)のためではなく、自身を含む国体が崩壊することを恐れたからであることが、「昭和天皇独白録」の検証でわかっています。

 敗戦が現実になったとき、ゲッベルス婦人は自分の6人の子どもたちに睡眠薬を飲ませ、子どもたち一人ずつの口の中に青酸カリを含ませていきます。原作のドキュメンタリーにもあるこのシーンは、映像にされると見るに耐えません。

Hitler_dvd この映画はDVDでも発売されています。

 ヒトラーの野望は、あまりにも大きな犠牲を残して終焉を迎えましたが、恐ろしいのは、この狂気のさなかにいるときには、だれもがその異常さに気づかないことです。
 物事を客観的にかつ、自分自身のこととして見続けることは、ひとりひとりが努力し続けなければできることではありません。最近の世の中の動きを見ていると、その努力を怠れば、日本は必ず過去の悲劇を繰り返すことになるでしょう。

 ドイツを含むヨーロッパの多くの国々は、ナチスを正当化する発言をすると、刑法で処罰されます。ドイツなどは、法律で禁止しなければならないほど、ナチス信奉者が多いせいだともいわれます。
 しかし日本では、南京事件や731部隊、従軍慰安婦などについても、平気で「なかった」と発言をする人がいます。状況や環境が違いますから、まったく同じにとは言えませんが、学ぶ必要があるところは少なくないと思います。
 アジア太平洋戦争や旧日本軍の行いを正当化することは、ドイツがナチスを正当化することに等しく、日の丸をかかげることは、ドイツがハーケンクロイツをかかげることと同義ではないでしょうか。

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