ひまわり博士のウンチク

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沖縄3 渡嘉敷島

2009年05月21日 | 旅行記
 渡嘉敷島に渡った日は、ちょうど梅雨入りで雨模様だった。
 前日までの猛暑がウソのように肌寒い。
 朝10時、那覇市の船着き場「とまりん」からフェリーで1時間10分である。
 夕方のフェリーで那覇に戻るつもりなので、3時間だけレンタカーを借りる。
 小さい島なので、一通りまわっても3時間で十分余裕がある。
 徒歩か自転車でと考えがちだが、ほとんどが山道なので、それは無謀だと、観光事務所で注意された。
 
 期待していた戦跡案内図は用意されていない。
 それに比べてダイビングスポットの案内はやたら詳しい。
 
 案内図にない戦跡と、注意を聞いて出発。
 
Tokashiki1
 
 「集団自決跡地」の碑は国立青少年交流の家の敷地内にあった。
 実際に「集団自決」があったのは、この碑の裏側だが、ハブが恐くて入れなかった。
 
Tokashiki2
 
 この獣道のような薮の隙間を降りたところにある。
 右に碑文の一部が見えるが、内容は酷いものである。
 
 「……米軍の上陸により追いつめられた住民は友軍を頼ってこの地に集結したが敵の砲爆は熾烈を極め遂に包囲され行く場を失い、刻々と迫る危機を感じた住民は 「生きて捕虜となり辱めを受けるより死して国に殉ずることが国民としての本分である」として昭和20年3月28日祖国の勝利を念じ笑って死のうと悲壮な決意をした。兼ねてから防衛隊員が所持していた手榴弾2個づつが唯一の頼りで 親戚縁故が車座になり1ケの手榴弾に2、30名が集まった瞬間不気味な炸裂音は谷間にこだまし……」
 
 誰一人「祖国の勝利を念じ笑って死のうと悲壮な決意をした」人間などいない。
 ウソの情報で怯えきった悲壮な死だ。手榴弾では死にきれず、自分で死ぬことの出来ない年寄りも子どもを大人が殺し、大人たちは包丁や丸太で殺し合ったのが真実である。
 
Tokashiki2b
 
 「集団自決跡地」の碑は、このような扉の奥にある。
 知らなければ誰も気づかない。ハブよけのためのフェンスだと説明があるのだが、だったら碑の後ろに作ればいいものを、わざわざ碑を隠すように作られている。
 この島はどうも戦跡を隠したいような意図が見え隠れする。
 
Tokashiki7
 
 「集団自決跡地」とは好対照に、道路際の目立ったところにある「戦跡碑」。
 紹介するまでもないこちらの碑文は、曾野綾子選による。
 言わずもがなだ。
 
Tokashiki4
 
 沖縄は、本島、離島含めて多くの碑があり、1951年に建てられたこの「白玉之塔」はもっとも古い碑の一つだろう。
 
 「日本軍の特攻部隊と、住民は山の中に逃げこみました。パニック状態におちいった人々は避難の場所を失い、北端の北山に追込まれ、3月28日、かねて指示されていたとおりに、集団を組んで自決しました。手留弾、小銃、かま、くわ、かみそりなどを持っている者はまだいい方で、武器も刃物ももちあわせのない者は、縄で首を絞めたり、山火事の中に飛込んだり、この世のできごととは思えない凄惨な光景の中で、自ら生命を断っていったのです。
 満6年忌を迎えた昭和26年3月28日、住民集団自決の現地北山(現青少年交流の家敷地近く)で、白玉之塔の除幕式と合同慰霊祭が行われ、戦没者(日本将兵81柱、軍人軍属92柱、防衛隊42柱、住民383柱)の御霊を島守りの神として仰ぎ祭られています。
 毎年3月28日を慰霊の日(住民玉砕の日)と定め、本土や沖縄本島から遺族が参列して慰霊祭が催されています。
 昭和35年現地西山が軍用地に接収されたため、昭和37年4月19日現在のギズ山に移動し新しく建立されました」
           (渡嘉敷島ホームページ)
 
Tokashiki5
 
 この壕に隠されていた木製の特攻艇は、一隻も使われることはなく、日本兵自らの手で爆破された。
 特攻兵たちは攻撃もできず逃げ場も失い、全員が自決した。
 
Tokashiki6
 
 金網の脇から中に足を踏み入れ、中をのぞくと真っ暗だ。本島のガマのように奥深くはない小さな洞穴で、遺骨はもちろん遺品らしきものなど何も残っていなかったが、なにか異様な雰囲気があって奥まで入ることは躊躇してしまった。
 だいいち、中の様子が分からないと、狭いので頭をぶつけたり服を汚す覚悟がいる。
 次の機会には、誰か案内を頼んで同行してもらおう。
 
 何枚か写真を撮っているうちに、オーブが写り込んでいることに気づいた。
 最初は小さなのが一つ二つだったのに、この写真では壕の中から団体でこちらに向かって来ている。
 危険を感じてあわてて離れた。
 
 今回は本島がメインで、離島はついでだったので、案内を頼まなかった。
 次の機会には、慶良間諸島全域を回ってみたい。
 ボートをチャーターしなければならないだろう。
 
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